初心者がネットショップを開業するには|手順やおすすめの方法を解説

コロナ禍以降、ネットショップの需要が急激に高まり、新たにネットショップを開設したいという方も増えました。しかし、ネットショップを開設する方法は多岐にわたるため、何から始めるべきかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、ネットショップの開設手順やその方法を初心者にもわかりやすいように解説します。

ネットショップの売り上げを伸ばすコツやおすすめのECシステムもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

初心者がネットショップを開業するメリットとデメリット

まずは、初心者がネットショップを開業するメリットとデメリットをご紹介します。ネットショップの特徴を把握した上で、開業するかを判断しましょう。

ネットショップを開業するメリット

ネットショップを開業するメリットは、以下の4点です。

  • 時間や場所を問わず購入してもらえるチャンスがある
  • 開業や運営にかかるコストが実店舗より低い
  • 実店舗より開業にかかる期間が短い
  • 個人でも気軽に運営できる

まず、ネットショップは24時間365日、どこからでも商品を購入してもらえるのが大きなメリットです。実店舗であれば、立地や営業時間の関係でターゲットにできないユーザーが多数存在しますが、ネットショップは時間や場所を問わず購入してもらえるチャンスがあります

また、ネットショップは実店舗に比べ、開業や運営にそこまで多くのコストがかかりません。失敗したときのリスクも少ないので、個人でも気軽に運営できます。さらに、実店舗のように各種届出に時間がかからないので、短い期間で開業できるのもメリットです。

ネットショップを開業するデメリット

ネットショップを開業する際は、メリットだけではなく、以下3つのデメリットを理解しておく必要があります。

  • 返品トラブルが多い
  • 集客が難しい
  • 生鮮食品などの取り扱いが難しい

ネットショップを利用する消費者は、商品を直接目で見て購入できないため、「イメージと違う」などといった理由での返品がどうしても多くなります。その際、電話でクレームを受けるケースも多いので、カスタマー対応の体制を整えておくことが重要です。

また、ネットショップに集客することは容易ではありません。Amazonや楽天市場を筆頭に、すでに多くのネットショップが存在するので、インターネットの検索結果で埋もれやすいのも事実です。広告やSNSなどで集客に注力する必要があります。

さらに、商品を直接手に取れないといった関係上、鮮度が命の生鮮食品は難易度が高くなります。取り扱う商品選びは慎重に行いましょう。

食品の販売を検討している場合は、以下の記事でも食品EC成功事例などを記載していますので、ぜひ参考にしてください。

初心者がイチから始めるネットショップ開業の手順

ここでは、初心者がネットショップを開業するために必要な手順を解説します。細かく9つのステップに分けて解説していくので、ぜひ参考にしてください。

1.ネットショップで何を売るかを決める

商品選びは、ショップ名や販売戦略など、今後の方向性を左右する重要なポイントです。まず最初にネットショップで取り扱う商品やジャンルを決めておきましょう。

なお、ターゲットが幅広い商品は競合も多いので注意が必要です。これから業界に新規参入するネットショップ初心者が価格競争で勝つのは難しいため、差別化を意識しながら商品を選びましょう

2.ショップ名とコンセプトを決める

販売する商品が決まった後は、販売ターゲットや解決するニーズなど、具体的にコンセプトを決めましょう。コンセプトが曖昧だと、誰からも魅力を感じてもらえないショップになってしまうためです。

コンセプトは、取り扱う商品の市場を調査し、顧客層のニーズを分析して決めるとよいでしょう。例えば、アクセサリーを扱うのであれば、アクセサリーを身につける人の特徴を洗い出し、どのようなシーンで着用するのかなどを考えます。コンセプトが決まったら、コンセプトに沿ったショップ名をつけてください。

3.販売する商品を用意する

ショップ名やコンセプトが決まった後は、商品の生産方法や仕入方法を決めます。それぞれの考え方を解説するので、ぜひ参考にしてください。

仕入販売かオリジナル商品かを決める

商品を用意する方法として、他社が生産した商品を仕入れる方法とオリジナル商品を生産する方法の2つの選択肢があります。

仕入販売は、商品を企画する手間や費用を省けますが、オリジナル商品のように差別化ができません。

一方、オリジナル商品は、企画に多くの手間や時間がかかるので、初心者にはハードルが高いといえます。オリジナル商品を効率よく生産したい場合は、既存メーカーの知恵や技術を活用する、OEM生産を行うのもひとつの手です。

OEMについては、以下の記事で解説していますのでこちらもご参考ください。

商品の仕入方法を決める

商品の仕入方法は多岐にわたるので、自社サイトに適した方法を模索することが大切です。ネットショップで商品を仕入れる方法の例として、以下などが挙げられます。

  • メーカーと直接契約して仕入れる
  • オークションサイトやフリマアプリから仕入れる
  • 仕入れの専門サイトで仕入れる
  • ドロップシッピングを活用する

まず、仕入れの量や安定性を重視するなら、メーカーと直接契約して仕入れる方法がおすすめです。契約の難易度は、メーカーによって異なりますが、契約さえできれば安定した仕入量を確保できます。

中古やアウトレット品などを仕入れる際は、オークションサイトやフリマアプリを活用しましょう。掘り出しものを安価で仕入れられれば、利益率を高められます。

一方、仕入相場の調査を行いながら幅広い商品を仕入れたい方は、仕入専門サイトを利用するのがおすすめです。

ドロップシッピングは、注文が入ってからドロップシッピング業者を介して商品を仕入れる方法で、メーカーが直接購入者に商品を配送してくれます。自社で在庫を抱えないので、在庫リスクや管理の手間を削減できるのがメリットです。

ドロップシッピングについては、以下でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

4.出店形態・サイトの作成方法を決める

サイトの作成方法や出店形態には、さまざまなものがあるため、自社サイトに適した方法を選択しましょう。以下では、4種類の作成方法を紹介するので、参考にしてみてください。

ASPカート型

ASPとは、Application Service Providerの略で、ネットワークを介してさまざまなアプリケーションを提供する事業者のことです。

ASPカートには、ショッピングカート機能や決済機能をはじめとした、ECサイト構築に必要な機能が備わっているので、手軽にECサイトを構築できます。

また、初期費用を抑えて導入できるほか、顧客情報を自社で管理できる点も大きなメリットです。

ASPカート型のサービスを提供している事業者は多く存在しますが、無料で導入したいならBaseやShopifyなどの利用を検討してみてください。

ASPカートについて詳しくは以下の記事で解説しています。

モール型

モール型とは、ECモールと呼ばれるショッピングサイトに、ひとつの店舗として出店する方法です。モールそのものに知名度や信頼性があるため、開設したばかりのECサイトでも集客のハードルを下げられます。

ただし、モールに対して売り上げの数パーセントを販売手数料として支払ったり、毎月、出店料を支払ったりするので、売り上げと集客力のバランスを考慮しながら検討する必要があります。

EC初心者ではじめて開設するなら、モール型でまずは利用者が多いAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどに出店するのがおすすめです。

パッケージ

パッケージとは、ECサイトの構築・運営に必要な基本機能がパッケージングされた製品のことです。在庫管理や売上管理などの基本機能が備わっているため、自社のサーバーにインストールするだけで、ネットショップを手軽に開設できます。

カスタマイズ性が高いので、自由度の高いサイト運用を行えますが、メンテナンスを自社で行う点には注意しましょう。担当のエンジニアが必要になるほか、初期費用もかかるので、ネットショップ初心者にはあまりおすすめできません。

パッケージでサイトを構築するサービスとしては、ecbeingやSI Web Shoppingがあります。

クラウド

クラウドは、クラウドの運営会社から環境をレンタルして、クラウド上でネットショップを開設・運用する方法です。サイトに合わせてカスタマイズができるほか、各システムとの連携も可能なため、比較的自由度の高いサイト運営が行えます。

また、クラウドの運営会社がシステムの保守やアップデートを行ってくれるので、自社でシステムを管理する必要がありません。ただし、保守管理やレンタルに費用がかかるので、売り上げとのバランスを考慮しながら慎重に検討する必要があります。

クラウドのサービスを導入するなら、メルカートやebisumartが挙げられます。

5.販売に必要な許認可を申請する

取り扱う商品の種類によっては、各種許認可や届け出が必要です。許認可が必要な例を以下にまとめましたので、確認しておきましょう。

販売ジャンル販売商品必要な許可・資格申請先
中古品PC、スマートフォン、カメラなど古物商許可所轄の警察署
食品肉、魚、菓子、パンなど・食品衛生責任者資格
・食品衛生法にもとづく営業許可
各都道府県の食品衛生協会所轄の保健所
お酒ワイン、ビール、日本酒など・通信販売酒類小売業免許
・酒類製造免許(自分で製造する場合)
所轄の税務署
化粧品化粧水、香水、スキンケア商品など・化粧品製造販売業許可
・化粧品製造業許可(自分で製造する 場合)
・所轄の保健所
・各都道府県の薬務課

上記は一例なので、自分が取り扱う商品で許認可が必要ないか、念の為確認しておきましょう。

6.決済方法を決める

ネットショップでの決済方法には、以下が挙げられます。

  • クレジットカード
  • コンビニ払い
  • 代金引換
  • 銀行振込
  • QRコード決済
  • あと払い(ペイディ)

ECサイトへの訪問者は、普段使用している決済方法が使えないと、サイトを離脱してしまう可能性が高まります。販売機会の損失を防ぐためにも、サイト利用者のニーズに沿った決済方法を用意しておくことが重要です。

ユーザーのニーズを調査する際は、競合他社が用意している決済方法が参考になります。また、アンケートを実施して、ターゲット層のニーズを調査するのもおすすめです。

7.配送方法を決める

配送業者によって価格設定が異なるため、自分が扱う商品に適した配送業者を選ぶことが大切です。また、商品の大きさや種類によって、配達に適した業者は異なります。

例えば、小型かつ軽量な商品であれば郵便局に依頼するのがおすすめです。レターパックなどを利用すれば、比較的安い料金で配送してもらえます。

一方、一定以上の大きさの商品や割れ物は、専門の配送業者に任せるのがおすすめです。ヤマト運輸や佐川急便などに任せるとよいでしょう。なお、ヤマト運輸であれば、冷蔵や冷凍での配送にも対応しています。

8.ネットショップを制作・開設する 

いよいよ、ネットショップを制作して開設します。手順4で決めた出店形態でネットショップを開設しましょう。

まずは、ネットショップを制作・開設するサービスの公式サイトにアクセスします。

次に、事業者情報の登録や決済方法の設定など、必要な手続きを行い、販売する商品の登録を行ってください。

利用するサービスによっては、サイトデザインのテンプレートなどが用意されているので、販売する商品やコンセプトに適したデザインを設定しましょう。

9.開業届と青色申告の申請をする(個人の場合)

個人でネットショップを立ち上げて運営する際は、開業届や青色申告の申請も事前に済ませておきましょう。開業届は、事業を開始してから1カ月以内、青色申告の申請は開業届を提出してから2カ月以内と国税庁が定めています。

申請しなくても罰則などはありませんが、青色申告の申請をしておくと、所得税の計算時に最大65万円の控除が適用されます。大きな節税効果が期待できるので、個人事業として本格的にネットショップを運営していくのであれば、ぜひ申請しておきましょう。

なお、開業届と青色申告の申請は、最寄りの税務署に直接提出する方法のほか、郵送やe-Taxでも行えます。

国税庁のホームページより、各種申請書類をダウンロードし、任意の方法で提出しましょう。

「個人事業の開業・廃業等届け出書」はこちら

「所得税の青色申告承認申請書」はこちら

ネットショップの売り上げを伸ばすには?基本の集客施策3つ

ネットショップの売り上げを伸ばすためには、集客に力を入れる必要があります。どんなによい商品を取り扱っていても、サイトの存在自体が認知されていなければ、商品が売れることはありません。

ここでは、集客の基本施策を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。

SNS

ICT総研が実施した、2022年度のSNS利用動向に関する調査によると、日本のSNS利用者は8,270万人もいることが報告されています。ネットユーザーの約80%がSNSを利用していることが判明しており、SNS利用者は年々増加しているとのことです(出典:ICT総研「2022年度SNS利用動向に関する調査」)。

したがって、ネットショップへの集客は、SNSの活用が鍵を握ります。イベントやセール情報などを積極的に発信し、ネットショップの存在を世間に周知しましょう。

SEO対策

SEO対策とは、Googleなどの検索エンジンの検索結果で自社サイトを上位表示させるために行う施策のことです。検索エンジンの検索結果で上位表示されれば、ネットユーザーの目に留まりやすくなるため、集客力の向上が見込めます

なお、ネットショップのSEO対策では、以下の施策が有効です。

  • タイトルやディスクリプションに検索してほしいワードを入れる
  • カテゴリーページのディスクリプションを追加する
  • Google Search Consoleで自分のネットショップを登録する

ディスクリプションとは、サイトの概要や商品の特徴を紹介する文章のことで、Googleなどの検索エンジンにサイトの概要を知らせてくれる役割をしています。

なお、Googleの検索ロボットがネットショップを登録していない場合は、Googleの検索結果にサイトが表示されません。通常、とくに何もしなくても表示されるようになりますが、Google Search Consoleを使って自分のネットショップを登録すれば、早めにGoogle認知されるようになるので登録しておきましょう。

ネット広告

ネット広告を利用すれば、自社サイトの露出頻度を上げられるので、集客力の向上が見込めます。費用はかかりますが、短期で集中的に集客することが可能です。

ネット広告には、以下のものが存在します。

  • リスティング広告
  • アフィリエイト広告
  • SNS広告

まず、リスティング広告とは、ユーザーが特定のキーワードで検索することによって表示される広告を指しています。Googleの検索結果の上位に表示される「スポンサー」と表示されるサイトのことです。

一方、アフィリエイト広告は、ブログやWebサイトと提携し、自社のネットショップや商品を宣伝してもらうことを指しています。商品が売れた場合のみ報酬を支払う成果報酬型を採用しているので、比較的宣伝コストを抑えられます。

SNS広告は、X(旧Twitter)やLINEなどに表示される広告です。ユーザーの興味関心や属性に応じて広告が表示されるので、一定数のアクセス増加が期待できます。

ネットショップの売り上げを伸ばすコツについては以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。

初心者がネットショップ開設で失敗しないために押さえたい4つのポイント

ネットショップ開設で失敗しないためには、いくつか押さえておくべきポイントが存在します。

それぞれのポイントについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

①開業前にコストと利益をシミュレーションする

まずは、開業前にコストと利益をシミュレーションし、利益を出しながらネットショップを運営できるか確かめておきましょう。

開業してからしばらく赤字が続くようでは、すぐに閉業に追い込まれてしまいます。仕入価格や販売手数料、配送料なども含めて計算することが大切です。

②具体的な売上目標を設定する

ネットショップを開設した後は、最初に具体的な売上目標を設定しましょう。売上目標を設定することで、取るべきアクションや施策が見えてきます。

ネットショップの売り上げは、以下の計算式で成り立っています。

「売り上げ=アクセス人数 × 購買率(CVR) × 客単価」

売り上げを構成している各要素を日々分析し、売上目標や分析状況に適した施策を行いましょう。

③特定商取引法にもとづく表記・販売禁止商品などのルールを理解する

ネットショップを運営する際は、特定商取引法にもとづく表記を行いましょう。特定商取引法では、事業者と消費者の間でトラブルが生じないよう、販売者の氏名や連絡先を記載することが義務付けられています。

また、ネットショップを運営していく上で、販売禁止商品などのルールを理解しておくことも重要です。医薬品などの規制品に加え、偽ブランド品は例外なく販売が禁止されているので注意しましょう。

④セキュリティ対策を怠らない

ネットショップの管理人として、セキュリティ対策は万全にしましょう。近年、サイバー犯罪が増加しており、顧客の連絡先やクレジットカード情報などが盗まれる被害が起きています。

このような被害に遭うと、顧客の信用を一瞬にして失うばかりか、最悪の場合は損害賠償問題にも発展しかねません。

ネットショップの構築サービスによって、それぞれセキュリティ対策が施されているので、セキュリティ面にも注目してサービスを選ぶことが大切です。

なお、不正注文については以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ:手順やポイントを把握してネットショップ運営を始めましょう!

一見複雑に思えるネットショップの開設ですが、手順やポイントを押さえれば、誰でもすぐに開設できます。取り扱う商品やコンセプトを決め、運営するネットショップに適した出店形態や構築方法を選びましょう。

なお、ネットショップ初心者に向けて、EC事業の業務を詳しく解説した資料「ECビジネスの基礎」を無料で公開しています。以下からダウンロードできますので、お気軽にご活用ください。

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ネットショップをこれから運営していくにあたり、少ない労力で効率的に利益を出していきたいと考えている方は、EC一元管理システム「ネクストエンジン」の導入をぜひご検討ください。ネクストエンジン導入することで、以下のようなルーチンワークを自動化・効率化でき、ネットショップ運営がずっとラクになります。

導入事例として1社ご紹介させていただくと、徳島県の老舗アパレルメーカー丸久株式会社様は、ネットショップを開設した初期段階でネクストエンジンを導入いただききました。

多店舗出店など、先を見据えて早期にネクストエンジンを導入したことにより、立ち上げる際には考慮されていなかった運用上の課題も簡単に解決できたとのことです。その結果、主力商品である子ども服を多く販売することに成功し、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2021」で「SOYキッズ・ジュニア部門」を受賞しています。

さらに詳しくは以下のページをご覧ください。

なお、「ネクストエンジン」は、2023年6月よりサービス料金を改定し、基本料金が安くなりました。月3,000円の手軽な料金でご利用いただけるようになったため、ネットショップをこれから立ち上げる初心者の方にもおすすめです。

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