近年越境ECがより身近になり、国境を越えたEC売買が一般的になっています。
その中で注目されているのがKOL(Key Opinion Leader)を活用したマーケティング手法です。「インフルエンサー」という言葉は日本でも一般的になっていますが、とくに中華圏では「KOL」と呼ばれる人たちが重要な役割を果たしています。
KOLは単なるSNSの有名人ではなく、専門知識を持ちフォロワーのあつい信頼を得ています。
そんなKOLは具体的にはどんな特徴があり、中華圏で注目されている背景は何があるのでしょう?また、彼らを起用する際にはどんな点に注意が必要なのでしょうか?
本記事はKOLについての基礎知識から起用方法までを解説します!
KOLとは?
KOL(Key Opinion Leader)は中華圏でのマーケティング戦略に欠かせない存在です。KOLは例えば化粧品や子ども用品など、特定の分野での専門知識を持っており、信頼性のある情報源としてフォロワーに支持されています。
中国ではライブコマースが日本よりも盛んに行われていることもあって、企業の商品やサービスをKOLが自身のSNS等で紹介すると、フォロワーの購買意思決定に大きな影響を及ぼします。
KOLとインフルエンサーの違いは?
日本ではSNS上の影響力のある人を「インフルエンサー」と呼び、KOLと似た存在に思われますが、KOLとインフルエンサーには違いもあります。
インフルエンサーは多くのフォロワーを持つ人全般を差し、幅広い分野で活躍していますが、KOLは特定の分野の専門性を持ち、それを生かして活躍しているという違いがあります。
中華圏ではKOLは企業からの信頼もあつく、マーケティング戦略の1つとして高い効果を期待されている存在です。
KOCとの違い
KOLと似た言葉に「KOC」があります。KOCはKey Opinion Consumerの略で、KOLよりも一般の消費者に近い立場のインフルエンサーといえます。
KOCはフォロワー数はそれほど多くないものの、自分自身のリアルな商品の使用感やサービスを受けた体験を共有することで、フォロワーの共感を得ています。
KOLが専門性や信頼性を重視するのに対して、KOCは親しみやすさや身近な存在としての立場からフォロワーの購買意欲に直接影響を与えています。
中国・香港でKOLマーケティングが注目される理由
中華圏ではKOLマーケティングがとても盛んですが、その背景にはどういった理由があるのでしょうか?
インターネット規制
中国の場合、金盾(きんじゅん)と呼ばれるインターネット検閲システムが敷かれています。インターネット上の表現の規制が行われているため、マスメディアが発信する情報や企業の広告に対して信頼度があまり高くないといわれています。
また、Googleなどの検索エンジンや主要なSNS(Facebook、Instragram、Xなど)は利用できません。そのため、WeChatやWeibo、Douyinといった中国のプラットフォームが広く普及しています。
消費者は現地のプラットフォームから発信しているKOLの影響を受けやすく、自分が信頼する個人が発信する情報に購買行動が左右される傾向が強いです。
一方、香港にはインターネット規制はないため、InstagramやFacebook、YouTubeなどの国際的SNSが広く使用されています。香港は国際的な都市であり、中国本土や海外の消費者との橋渡しの役割が期待でき、外資ブランドなどからも注目されています。
口コミ重視の文化的背景
中華圏には昔から圏子(チュエンズ)というコミュニティのような概念があり、同じ地域や職場などの所属先の仲間が団結し助け合い、かつては相互扶助の役割を果たしてきました。
現代では圏子はインターネット上でも形成され、所属先や年齢も関係なく、趣味嗜好を軸に他のメンバーの利益になるような情報・体験をシェアし合うという形に変化しています。
権威的な存在よりも、いわゆる口コミ、とくに自分が所属するコミュニティの仲間からの情報を重視する傾向は、KOLが中華圏で強い影響力を持つことと無関係ではないでしょう。
KOLを起用するメリット
KOLを起用するメリットにはどんなものがあるでしょうか。解説します。
専門性・信頼性があり、認知度拡大ができる
KOLは専門知識や自分自身の経験をもとに情報発信しており、フォロワーから信頼されているため、そのKOLから推薦されることで商品・サービスの信用度や価値を上げることができます。
また、商品のターゲット層に近いフォロワーを持つKOLに依頼すれば、KOLを通して認知度を一気に拡大することが可能です。とくにSNSでのシェアやレビューは拡散効果が高いです。
KOLのライブコマースや動画でのレビューは購買行動に結びつきやすく、販売促進に直結する点も重要なポイントです。
海外ユーザーに向けてアピールできる
日本の事業者が海外市場を狙う場合にもKOLの起用は効果的です。
日本からの発信では届きにくい海外ユーザー、とくに中華圏では先ほど解説したとおり、現地のSNSを通して、それぞれのコミュニティで影響力のあるKOLに商品を推薦してもらうことが認知度を上げ・販売促進する上でとても重要です。
KOLを起用する際の注意点・デメリット
KOLを起用する際、注意しておきたい点がいくつかあります。
詳しくチェックしていきましょう。
KOLとそのファンが自社の商品にあっているか
国内でインフルエンサーマーケティングを行う際にもいえることですが、フォロワー数の多さだけでなく、自社の商品の特性や顧客層に合った専門性を持つKOLを選定しましょう。
依頼するKOLのフォロワーが本物であるかや、KOLとフォロワーのエンゲージメントの高さなども事前に調査し確認しておくと安心です。
効果測定が難しい
KOLの影響による認知度向上や販売促進効果を正確に測定するのは簡単ではありません。そのためKOL起用の事業者の中には、費用対効果が測りにくいという課題を指摘することも多いです。
フォロワー数の多いKOLは依頼費用も高くなりやすいです。費用対効果は測りにくいという事情を踏まえた上で、どのKOLに依頼するかを検討しましょう。
一過性の施策になりやすい
KOLによるプロモーションは短期的に話題を呼びやすい一方、持続的な効果が見込めない場合もあります。キャンペーン終了とともにフォロワーからの注目もなくなり、売り上げが安定しないという課題が発生することも。
KOLの起用はあくまでさまざまな施策のうちの1つとして、広告など他の施策と合わせて行いましょう。
急な受注増に対応できるバックヤード体制を構築しておく
KOLの起用とプロモーションがうまくいき、いざ商品の受注が急に増えた際、受注管理や在庫管理、越境物流の対応が間に合わず、クレームが多発したり販売機会を逃してしまったり……なんてことは避けたいことです。
とくにKOLを起用したキャンペーンは期間限定や、SNS上で複数のKOLに一斉に拡散してもらうなど、受注が集中することも予想されますので、スムーズなバックヤード体制を整えて準備することも必要になってきます。
おすすめの受注管理システムについては以下の記事で詳しく解説しています。
中国・香港でのKOLマーケティングのプラットフォーム
KOLが活動するプラットフォームはどんなものがあるのでしょうか。中国と香港では事情が異なるためそれぞれ確認しておきましょう。
中国
中国ではWeibo(新浪微博)、Wechat(微信)、Douyin(中国版TikTok)、RED(小紅書)といった中国独自のSNSが主流です。
上記のプラットフォームでは中国市場に特化したKOLマーケティングがしやすく、フォロワーとの関係性を構築しやすいのが特徴です。
Weibo(新浪微博)
Weibo(新浪微博)は、X(旧Twitter)に似て短文・画像投稿がメインのSNSで、トレンドや最新情報の拡散に強く、中国では大きな影響力を持っています。中国では企業やメディア、芸能人やインフルエンサーも積極的に利用しています。
Weiboは広告機能が充実しており、一般投稿やフォロワー限定投稿、ライブ配信など、企業が目的に応じて使い分けができます。
KOLに依頼して認知度向上やプロモーションも行いやすいです。ライブ配信やストーリー機能を用いて新製品やキャンペーンの紹介など、話題性を重視したプロモーションに向いていますし、ライブコマースも非常に人気です。
Wechat(微信)
Wechat(微信)はLINEに似たタイプのメッセンジャーサービスアプリです。個人間のコミュニケーションのほか、ビジネスでも利用されており、幅広い層に広く使われています。
メッセンジャー機能以外にもブログやFacebookに近い機能や、ミニプログラムというアプリ内のミニアプリがあり、ショッピング機能やゲーム機能なども提供しています。
企業やブランドは「公式アカウント」を開設し、フォロワーに対して情報発信やプロモーションも行うことができます。
「モーメンツ」というSNS機能では、ユーザーがコメントや写真・動画、リンクを共有し、友人が閲覧・コメントできます。KOLがモーメンツ上に商品紹介をすることでフォロワーに対して認知度を上げることができます。
さらに、KOLの紹介で興味を持ったユーザーは、ミニプログラムでスムーズに商品購入まで完了できます。
RED(小紅書)
RED(小紅書)はInstagramやPinterestのような、写真や動画投稿が中心の若年層に人気の口コミ投稿型SNSです。REDはショッピング機能とSNS機能を組み合わせたプラットフォームで、ユーザーは気になる商品についてのレビューを確認し、そのまま商品を購入できます。
化粧品やファッション、旅行などトレンド感のある商品が多く、ライブコマースにも対応しています。KOLマーケティングと相性がよく、多くのKOLやKOCが活動しているSNSです。
香港
香港の場合は中国と異なり、インターネット規制がないため、他の国と同様にInstragramやFacebook、YouTube、Threadsが広く使われています。
Threadsは比較的新しいプラットフォームですが、Instaframと連携しやすいため、Instagramで影響力を持つKOLがThreadsを使ってフォロワーとの双方向の対話やリアルタイムの情報共有を行っています。
また、中国本土ほどではありませんが、REDやWechatも利用して中国本土に向けた情報発信を行うKOLもいて、さまざまなプラットフォームを駆使し、グローバルな影響力を持つのが香港KOLの特徴といえるでしょう。
KOLを依頼する方法
代行サービスに依頼
KOLの選定や言語面でも直接KOLに依頼するのは難しい場合、KOLのキャスティング代行サービスに依頼する方法があります。
とくに初めてKOLを起用する場合は、代行サービスに依頼することでスムーズに選定から依頼・条件交渉が行えます。
代行サービス内容によっては、対象地域の文化や消費者の特徴に合わせた投稿内容の企画まで依頼ができます。
直接依頼
KOLに直接SNSのDMなどに連絡し、アプローチすることもできます。
仲介業者を介さずに直接こうしょうすることで、コストを抑えて依頼することができますが、交渉も直接自社で行うことになりますので、ある程度の知識や交渉スキルも必要です。
また、影響力のあるKOLの場合は事務所に所属して活動している場合も多いです。事務所によっては依頼企業のニーズなどに応じて適したKOLを案内してくれる場合もあります。
マーケティングのサポートつきの越境ECサイトに出店する
ECサイトによってはマーケティングサポートも行ってくれるところもあります。越境ECの出店先もこれから決めるという場合にはこういったサービスが受けられるサイトを利用するのもよいでしょう。
YAICHIとは
「YAICHI」は香港市場に強い越境ECプラットフォームです。
多言語対応はもちろん、国際物流に精通した専門家を活用しているため、トラブルの発生を最小限に抑え、配送スピードと安全性を両立しています。
現地のマーケティングチームによるマーケティングサポートも行っていて、例えばKOLの支援ではサンプル商品や新商品をKOLに配布して宣伝してもらったり、「1名だけ当たるキャンペーン」を実施し、フォローとリツイート拡散を狙うなど、KOLマーケティング初心者にも安心して取り組めるサポートがあります。
越境ECの事例についてさらに詳しい解説は以下の記事もご覧ください。
まとめ KOL起用で越境ECの売上をUPさせよう!
越境EC市場の拡大に伴い、とくに中華圏では、現地で消費者の購買行動に影響力を持つKOLの活用が注目されています。
専門的知見を持ちつつ、現地の文化や嗜好を理解したKOLはフォロワーの信頼度、親近感も高く、商品・サービスの認知拡大から購買促進まで高い効果が見込めます。
今回の記事で解説したように、効果測定が難しいという側面はありますが、自社商品に合ったKOLを起用することで売り上げアップも見込めますので、越境ECに力を入れたい場合には積極的に起用してみてはいかがでしょうか。
また、KOLマーケティングが成功して受注量が急激に増加しても対応できるように受注管理システムの導入も検討してみてください。
越境ECも!EC運営効率化ならネクストエンジン
越境ECを検討中のEC事業者の方のなかには国内ECを既に複数展開しているという場合も多いかと思います。
日々の受注管理や在庫管理といったECバックヤード業務が忙しく、越境EC進出の壁になってしまわないか心配……と感じられる方におすすめしたいのがEC一元管理システム「ネクストエンジン」です。
ネクストエンジンはEC運営のバックヤード業務を効率化・自動化するEC一元管理システムです。
おもな機能は
など。
対応モール・カートは業界最大級で、越境ECでもよく利用されているShopifyやSTORESといったカートや、香港に強みをもつ越境モール「YAICHI」にも対応しています。
以下から無料の資料がダウンロードできますので、お気軽にご活用ください。