中国への越境EC参入方法とは?守るべきルールやポイントも紹介

国を越えて電子商取引を行う越境EC。経済のグローバル化が進む中、海外へ渡航せずに取引ができることから、一気に市場規模が拡大しています。

その中でも中国市場は大きく、越境ECを検討中の方の多くは「中国の越境ECの参入方法は?」「中国のECの現状は?」などの疑問を抱えているのではないでしょうか。

そこで、本記事では中国の越境ECの参入方法・守るべきルール・ポイントなどを解説していきます。

中国へ越境EC参入するにはどうすればいい?

中国へ越境EC参入するには、おもに以下の5つの方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

中国で展開している越境ECモールに出店する

1つ目の参入方法は、中国で展開している越境ECモールに出店することです。アリババグループの天猫国際(Tmall Global)や、京東商城グループのJD Worldwideなどの越境ECモールに出店すれば、中国に法人を作らずに中国の越境ECへの参入が可能になります。

中国越境EC用の自社ECサイトを立ち上げる

2つ目の参入方法は、中国越境EC用の自社ECサイトを立ち上げることです。近年モールへの出店要件が厳しくなっているため、中国消費者向けの自社ECを立ち上げる事業者も増える可能性も高いです。

国内で自社ECを展開する場合と同様に、集客は自社で行う必要があるため、中国人ユーザーに対しての集客施策に注力する必要があります。

越境EC事業者に業務委託する

3つ目の参入方法は、越境ECを得意とする事業者へ業務委託することです。このような事業者は独自に築いた販売経路や卸小売店舗などとの人脈があり、店頭販売・EC販売など多方面からユーザーとのマッチングを行ってくれます。

WeChatミニプログラムで展開する

中国版のLINE「WeChat」の中の出店機能「WeChatミニプログラム」を使用することで、中国の越境ECに参入できます。比較的参入は簡単で決済機能も備わっており利便性のよい機能ですが、多くの人々が利用しているアプリのため出店数が多く、知名度の低い商品やブランドは集客が難しいといわれています。

中国の企業と連携して卸売をする

中国の販売代理店や輸入業者などの企業と連携して卸売りを行うことも、中国の越境ECに参入する方法の1つです。連携先の企業によっては販売ボリュームの増加が期待できます。一方で、エンドユーザーが見えにくいためマーケティングが難しいことや、連携先の企業が主体となるビジネスになりかねないといったデメリットも考えられるでしょう。

中国EC市場が注目されているポイント4つ

なぜ中国EC市場が注目されているのでしょうか。注目されているポイントを4つピックアップして解説していきます。

ECの市場規模が世界第1位

中国のEC市場規模は世界第1位のため、世界各国から注目されています。中国は人口が多くEC市場規模の母体も大きいため、今後の成長も見込めるでしょう。

中国では以前から夫婦共働きの家庭が大半であるうえ、単身世帯も増加しており、ECサイトで購入した商品を勤務先で受け取り、自宅へ持ち帰るといった人や、ECサイトの利用者数増加にともない各所に設置された宅配ロッカーを利用する人も多いです。

中国の3大企業が市場を牽引している  

中国のEC市場は、アリババ・京東・ピンドゥドゥの3大企業が市場を牽引している点もポイントの1つでしょう。

アリババグループが運営する天猫国際(Tmall Global)は、中国最大の越境ECサイトです。天猫国際が商品を仕入れて販売するB2B2C型と、企業が出店する販売手法B2C型を組み合わせてECサイトを運営しています。取扱商品が多いことや出店基準が厳しい点などから、信頼できる越境ECサイトとして中国EC市場のトップを走っているのです。

京東商城グループの京東国際(JD Worldwide)も、天猫国際と同じくB2B2C型とB2C型を組み合わせてECサイトを運営しており、配送スピードや正規品保証などの面で人気を集めています。

2015年にサービスを開始したECサイト「拼多多(ピンドゥドゥ)」は、2020年12月末時点での利用者数が7億8,800万人と発表され、初めてアリババ(7億7,900万人)を抜き、1位になったことも大きな話題になりました。今後も目が離せない企業と言えるでしょう。

ライブコマースによる商品購入が人気

ライブコマースによる商品購入が人気を集めているのも、中国EC市場が注目を集めるポイントの1つです。ライブコマースとは、ライブ配信とEコマース(電子商取引)を掛け合わせた言葉です。インフルエンサーが動画中継で商品を紹介し、視聴者が配信を見ながら商品を購入できるという新しい販売方式となっています。

キャッシュレス決済の普及

中国ではキャッシュレス決済が普及している点も中国EC市場が注目を集めるポイントです。クレジットカードよりも、支付宝(アリペイ)やWeChatペイ(微信支付)などのモバイル決済サービスの利用が主流のため、中国EC市場に参入する際にはモバイル決済サービスの導入が必要不可欠と言えます。

中国越境ECで人気の商品ジャンルランキング

中国越境ECサイトで人気の商品ジャンルは以下のとおりです。

中国では美容や健康への意識が高まっているため、メイクアップ用品やサプリメントを購入する方が多いようです。それに加えて日本製品への安全性・信頼性の高さから、食品や日用品などの実用的な商品も人気が高いことがわかります。

中国越境ECを行う前に理解しておきたい3つのポイント

中国越境ECを始める前に、理解しておきたいポイントが3つあります。それぞれ具体的に解説していきます。

適正価格の目安は日本での販売価格+10〜20%

適正価格の目安は日本での販売価格+10〜20%です。適正価格を決める際は、まず販売する商品がどのくらいの価格で販売されているか調べることから始めましょう。同じ商品がない場合は類似品を検索し、適正価格の参考にしてください。

次に、通関手続き時にかかる関税費用を確認します。通関手続きとは、送る商品や数量、金額、輸出先などの情報を税関に申告し、許可をもらう手続きのことです。その際に関税がかかることがあるため、その関税金額も商品の販売価格に反映する必要があるからです。

以上の2点を確認したうえで、自社での販売価格を決め、その後は販売しながら定期的に価格を見直していきましょう。

中国での顧客対応はチャットが主流

中国での顧客対応はチャットが主流です。商品に関する対応のほかに値引きの交渉もチャットで行う場合があります。使い方次第では、新商品を紹介したり、あわせ買いをすすめたりして購入を促すことも可能です。チャットの使い方が日本と異なるため、中国越境ECを始める前に理解しておきたいポイントの1つです。

ゼロから勝負するなら黒字まで3年程度の計画を立てる

2023年1月現在の中国市場でECサイトをゼロから運営する場合、3年程度で単月黒字を目指して事業計画を立てるのが一般的です。

インフルエンサーの紹介により売り上げが一気に伸びたケースもありますが、これはごく稀なケースです。投資と売り上げのバランスを見ながら、地道に育てていく必要があるでしょう。

日本とは違う?中国の越境ECで遵守すべきルール

中国の越境ECではいくつかの遵守すべきルールがあります。以下で詳しく解説していきます。

中国電子商取引法は必ず遵守する

中国における電子商取引分野に対して、秩序の維持と継続的な発展を目指して「電子商取引法」を2019年より施行開始しました。インターネットを利用した中国国内における商品の販売やサービスに適用されます。

この法律は、EC事業者にとって厳しい内容となっています。一例を挙げると、期限内に商品を提供することやサイト内での営業許可証の表示、事業を終了する際は30日前までにサイトのトップページに詳細を掲示するなど、細かく定められているのです。

中国での安全性の基準

日本から中国への越境ECの場合、商品に関わる安全性の基準は日本の法律を守るべきか、中国の法律に従うべきか判断に迷うこともあるかと思います。

販売者が日本法人であれば日本の基準を優先することが多いです。しかし、過去には中国側の安全基準が適用されたケースもありました。今後のために、こういったケースもあるという認識を持っておくとよいでしょう。

消費者への告知義務

販売者が日本法人の場合、国境を越えて取引を行う場合、販売者は購入者に対して

  • 商品の品質
  • 安全性
  • 環境保護
  • 衛生
  • 表示など

の基準や技術基準を満たしていることを証明する告知書が必要です。

日本と異なる税制のルール

中国の越境ECで遵守すべきルールとして、税制が挙げられます。それぞれについて具体的に解説していきます。

直送モデルの場合は”行郵税”

行郵税とは、個人が海外で買い物をした商品や、海外から輸入した商品に課せられる関税のことです。そのため、越境ECで商品が購入され、日本から直接消費者に送付した場合、行郵税が課せられます。

ただし、50元未満の行郵税であれば免税されるので、比較的小規模の越境ECであれば直送モデルを利用するとよいでしょう。

保税区モデルの場合は“越境EC電商税”

保税区モデルとは、保税区内にある保税倉庫に、事前に商品を保管しておき、購入されればその保税倉庫から購入者に商品を発送するモデルです。

保税区と保税倉庫については下記となります。

保税区中国の税関により設置、もしくは認可されているエリアのこと。そのエリアに限り、通関手続きをせずに中国国内に商品を輸入できる。
保税倉庫保税区内にある倉庫のこと。通貨手続きをせずに輸入した商品を、保管しておく倉庫。

保税区モデルの場合、越境EC電商税がかかります。越境EC電商税では関税が0%、増値税と消費税70%が課税されます。おもな商品の税率としては、化粧品、食品、日用品など11.2%、ワイン、貴金属など20.2%です(税率は増値税と消費税含む)。

保税区モデルの場合、商品受注後に中国国内から発送されるため、配達日数が少なく、送料も抑えられるメリットがあります

まとめ:注意点をチェックして中国越境ECを成功させよう!

日本から中国へ国境を越えて電子商取引を行う越境EC。市場規模は大きく魅力的ですが、一方で注意が必要な点も多くあります。本記事で紹介した参入するための方法や遵守すべきルールを十分に理解した上で、中国越境ECへの参入を検討してみてはいかがでしょうか。

なお、中国以外の地域を含めた越境EC全体についてお知りになりたい方は、以下の記事もぜひご参考ください。

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