在庫回転率とは?その重要性と計算方法をわかりやすく解説!

日々のEC運営において、大きな課題1つに在庫の適正化があげられます。在庫は多すぎても不良在庫を抱えることになりますし、少なすぎても売り逃して機会損失を招いていまいます。どうすれば適正な在庫数を保つことができるのかと、頭を抱えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、在庫回転率とは何かといった基本的なことから、適正な在庫回転率を算出することで、不良在庫や在庫切れを防ぐ方法についてわかりやすく解説していきます。

在庫回転率とは?

在庫回転率とは、現在保有している在庫が一定期間に何回入れ替わりが発生したかを計算した数値を意味します。商品回転率や、棚卸資産回転率ともいいます。

算出方法には、「金額」から算出する方法と「個数」から算出する方法の2種類があります。例えば、金額を使った算出方法は、平均在庫金額が10万円の商品が40万円分売れた場合の在庫回転率は、「4」となります。

一方、個数から算出する方法は、ある商品の平均在庫が10個の場合、その商品が30個売れたときの在庫回転率は「3」となります。

在庫回転率は、その商品がどんなペースで売れているかを示しているため、数字が大きいほどその商品は売れ筋の商品であることを表します。逆に数字が小さい場合は、その商品は売れるのに時間がかかっていることを表しています。

商品が売れるまでに時間がかかると、商品を保管するコストがかかってしまいます。したがって、このコストを下げるためには在庫回転率を上げる施策を打つ必要があります。

と言っても、一概に数値の低い商品が必ずしも売れていない商品と位置づけられるわけではありません。なぜなら、商品はそれぞれ種類も違えば性質も異なるため、アイテムによっては在庫回転率の平均値は変動するからです。

また、逆に数値が高すぎた場合も注意が必要です。なぜなら、商品を仕入れる数が不足してしまって在庫切れによる「販売機会の損失」が発生してしまう恐れがあるからです。

在庫回転率は、業種や商品の種類によって水準も変わり、季節によっても変動してきます。数値の推移だけを追いかけるのではなく、前年の同じ時期との比較や同業他社ともしっかりと比較して最適な在庫回転率を把握しましょう。

在庫回転期間とは?

在庫回転期間とは、商品を仕入れてから販売するまでの期間を示す数値です。在庫回転期間が短ければ商品の入庫から出庫までの期間が速いことを意味し、長ければスピードが遅いことを表します。

在庫回転期間の計算式は、以下のようになります。

「在庫回転期間」=「棚卸資産」÷「売上高」

例:仮に、年間の売上高が1,000万円とした場合で棚卸資産が50万円のとき、1日の在庫回転期間は、

50 ÷(1,000 ÷ 365日)=18.25日

となります。これは、平均約18日で在庫が出庫していることを表しています。

なお、棚卸資産については以下の記事で解説していますのでご参考ください。

在庫回転率と在庫回転期間の把握が必要な理由

在庫回転率と在庫回転期間について理解したところで、それではなぜこの2つを把握する必要があるのでしょうか。

主に、以下の3つのポイントにしぼられます。

  • 在庫の動きを可視化するため
  • ムダなコスト発生を防ぐため
  • ユーザーのニーズを把握するため

それぞれ解説していきます。

在庫の動きを可視化するため

在庫回転率や在庫回転期間を算出し調査することで、在庫がどのように動いているかを可視化できます。それまで、「在庫がなくなったら発注をする」という後手に回っていた対応が、これらの数値を追いかけることで、どれほどの数を仕入れる必要があるかを予測することが可能となり、余裕をもって仕入れの処理が行えるようになります。それにより、メーカー欠品中となっていた場合のトラブルに繋がるケースにも対応がしやすくなるというメリットがあります。

ムダなコストの発生を防ぐため

在庫回転率や在庫回転期間の算出により、商品を仕入れてから、売り切るまでの期間が把握できます。それにより、必要最低限の仕入数を予測でき、「過剰在庫」や「在庫切れ」を発生させないための「適正在庫」を求められるようになります。適正在庫を常に意識しながら運営することで、無駄なコストをかけずに利益の最大化を目指します。

ユーザーのニーズを把握するため

ユーザーのニーズを把握するためには、現在抱えている在庫の内、どの商品が売れ筋で、どの商品が死にゆく商品かを見極めることが重要です。それにより、今後も人気の商品として売り出すと決めたものは在庫を多く抱え、キャンペーンなどを企画して積極的に売り出していきます。一方、在庫回転率が低迷している商品は、残りの在庫を売り切ったらもう仕入れをしない(撤退する)という判断が必要になります。ユーザーに人気の無い商品ほど、撤退を早く見極めることが大切です。

在庫回転率の計算式

在庫回転率の算出には、以下の2種類の方法があります。

  • 金額から算出
  • 数量から算出

それぞれ詳しく解説していきます。

金額から算出

在庫回転率を金額から算出する方法は、以下の計算式となります。

「在庫回転率」=「売上原価」÷「平均在庫金額」

売上原価の求め方は、以下の計算式で算出します。

「売上原価」=「期首の在庫金額」+「年間の仕入れ高」-「期末の在庫金額」

つまり、「調査を開始する期首の売れ残った在庫の金額」に、「新しく入荷する在庫の仕入れ原価」を足して、「調査が終了する期末に売れ残っている在庫の金額」を引くことになります。

売上原価を、平均在庫金額でわったものが在庫回転率です。

また、平均在庫金額は、「平均商品在庫高」や「棚卸し資産」ともいわれ、以下の計算式で算出できます。

「平均在庫金額」 = (「期首在庫金額」+「期末在庫金額」)÷ 2

数量から算出

在庫の数を使った在庫回転率の算出方法は、以下の計算式で算出できます。

「在庫回転率」=「総出庫数」÷「平均在庫数」

総出庫数とは、1期における出庫数量の総合計です。

平均在庫数は以下の計算式で求められます。

「平均在庫数」=(「期首の在庫数」+「期末の在庫数」)÷ 2

在庫回転率を上げるための方法

在庫回転率を上げるための方法として、以下の3つがあげられます。

  • 在庫の整理をする
  • 目標値の設定をする
  • 定期的に在庫回転率を確認する

どれも、在庫回転率を向上させる良いヒントとなりますので、詳しく見ていきましょう。

在庫の整理

在庫回転率を上げるためには、不要な在庫をなくすことです。なぜなら、回転率を悪化させる最大の要因は不良在庫だからです。長期にわたって不良在庫が倉庫に残ってしまうと、新しい商品を入荷するチャンスが減ってしまい、結果的に在庫回転率が悪化してしまいます。

在庫は適切な個数にとどめるようにして、必要以上の在庫を抱えないようにしましょう。

普段からしっかり倉庫全体を管理していないと、どうしても見落とされてしまう在庫が存在します。売れ残った商品は長い期間、倉庫へ放置されてしまうケースも多いので、管理方法をイチから見直して倉庫全体の管理体制を強化するようにしましょう。

目標値の設定

不良在庫が整理できたら、次は在庫回転率の目標値を決定します。具体的な目標を立てることで、スタッフのモチベーションの向上にもつながることでしょう。

在庫回転率の目標値を設定するときは、次の計算式から算出します。

「在庫回転率目標値」=「1期あたりの目標売上金額」÷「目標平均在庫金額」

たとえば、1期の売上目標額が2,000万円の場合、目標の在庫平均金額が200万円であれば、在庫回転率の目標値は「10」を設定します。

また、同じ種類の商品を取り扱う同業他社に関する在庫回転率についても、リサーチすることで最適な在庫回転率の目標設定が可能となります。

同業他社の在庫回転率は、経済産業省のホームページで確認できます。

参考:4.中小企業の商品(製品)回転率

定期的な在庫回転率の確認

目まぐるしく新しい商品が誕生し、スマホやタブレットなど情報の発信源が豊富な現代において、ユーザーが求めるニーズは日々変化していきます。その変化に追いついていくためには、棚多しの時期にだけ在庫数を管理し在庫回転率を調査していたのでは、とても現代のユーザーニーズのスピードにはついていけないでしょう。

したがって、年1回の決算時に在庫回転率を算出するのではなく、月1回、週1回と調査を短いスパンで実施することで、現状の細かな問題点に気づくことが可能になります。それにより、回転率の悪い商品に早く気づけるようになり、価格の調整や売りつくしセールなどの対応を早く打てるようになります。

そうすることで、余剰在庫を適正な在庫数へ日々近づけられるようになり、人気商品の在庫数も在庫切れとならないよう、前もって調整できるようになります。結果的に、年間を通して自社の取り扱う商品が満遍なく適正在庫に近い状態を保てるようになり、売上の最大化を測ることが可能となります。

まとめ 適正な在庫の管理はシステム化で解消しよう!

近年のECの成長に伴い、豊富なアイテムをそろえ、お客様のニーズに応えようとする事業者も多くなりました。しかしその反面で、抱える在庫数や扱うアイテムの種類も膨大となり、管理することが非常に煩雑になってしまいがちです。

ムダなコストを防ぐには、在庫回転期間と在庫回転率を調査して、常に適正な在庫数を保つような管理が必要ですが、手作業での在庫管理ではとても難しいのが現状です。

そこでおすすめしたいのが在庫管理システムの導入です。システム導入をすれば、在庫回転率や在庫回転期間などを自分で計算することなく、ひと目で分かるようになります。不良在庫のコストや在庫切れによる販売機会損失の問題が解消できます。

この記事をきっかけに、システム化を検討されてみてはいかがでしょうか。

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