EC業務を効率化する方法|受注・在庫・出荷の手作業を減らす

複数のモール・カートで売っていると、注文の確認や在庫数の書き換え、送り状の作成といった手作業が、注文と店舗の数だけ増えていきます。そのため、注文が増えるほど、売り方や商品を考える時間がとれなくなりがちです。
こうした手作業を減らす方法はいくつかありますが、なかでも、受注・在庫・出荷を1つの画面で扱える一元管理システムを使うと、残る手作業がいちばん少なくなります。
本記事では、受注・在庫・出荷の手作業を減らす4つの方法のメリット・デメリットを比べ、進めるときの注意点と、受注・在庫・出荷を一元管理システムでつなぐ手順を解説します。
EC業務の手作業を減らす4つの方法は?
EC業務の手作業を減らす方法は、次の4つです。
- 作業の手順とルールをそろえる
- 送り状発行システムを使う
- 発送などの作業を外部に任せる
- 一元管理システムで受注・在庫・出荷をつなぐ
ただし、どの方法を選んでも梱包は人の手で行う必要があります。
1. 作業の手順とルールをそろえる
メリット:在庫数を書き換える時刻や、発送前に保留にする注文の決め方などは、意外と明文化されていないことが多いものです。こうしたルールを手順書にしっかり書き出しておくと、書き換えの漏れや入力ミスが減り、担当者が替わっても同じ判断で作業を続けられます。
デメリット:どれだけルールをそろえても、注文の書き写し、店舗ごとの在庫数の書き換え、送り状の作成は手作業のまま残ります。そのため、注文や店舗が増えれば、その分だけ作業も増えます。
2. 送り状発行システムを使う
メリット:モールの管理画面から出した注文のCSVを、送り状を作って印刷する送り状発行システムに取り込めば、住所を1件ずつ打ち込む手間を省けます。
デメリット:店舗の数だけCSVを出す作業と、注文を1件ずつ確かめる作業は残ります。在庫数の書き換えと配送番号の入力も手作業のままです。また、モールごとにCSVを出す操作と送り状発行システムの使い方を、担当者それぞれが覚えなければなりません。
3. 発送などの作業を外部に任せる
メリット:発送代行の会社や物流倉庫に梱包と発送を任せれば、その作業と送り状の作成を社内で行う必要がなくなります。
デメリット:委託の費用がかかるのに加え、注文の確認と在庫数の書き換え、倉庫から受け取った配送番号をモールへ入力する作業は、社内に残るのが難点です。
さらに、倉庫へ出荷を指示する作業と、倉庫が出荷した結果である出荷実績を受け取る作業が、新たに加わります。このやり取りをメールやエクセルで行うと、出荷を指示するときも出荷実績を受け取るときも、注文と1件ずつ照らし合わせる手間がかかります。
4. 一元管理システムで受注・在庫・出荷をつなぐ
メリット:一元管理システムを使うと、モール・カートの注文が自動で取り込まれ、1つの画面に集まります。
また、備考欄に記入がある注文など、人が確かめたい注文の条件を登録しておけば、システムがその注文だけを「確認待ち」にして止めます。条件はシステム側に残るので、ほかの担当者も確かめられるのが利点です。
さらに、在庫数をシステムが1か所で管理するため、商品が売れるたびに各店舗の在庫数が自動で書き換わります。この「在庫連携」があれば、在庫数を手で直す必要はありません。
送り状のデータも、モールをまたいでまとめて書き出せます。送り状発行システムから配送番号の入ったデータを取り込めば、モールへの入力もシステムが行います。
受注・在庫・出荷の手作業をまとめて減らせるのは、4つの方法のなかでこの方法だけです。
デメリット:一元管理システムを使うには初期費用や月額の利用料がかかり、受注件数やつなぐモール・カートの数に応じて料金が増えるサービスもあります。また、使い始める前に、店舗ごとに違う商品コードをそろえるといった準備が必要です。
なお、一元管理システムを使っても、システムとモール・カートの組み合わせによっては、注文をCSVで取り込むなどの手作業が残ることがあります。導入前に、使っているモール・カートとどの方法でつながるかを確かめておきましょう。
方法3と方法4は、組み合わせて使うことも可能です。出荷を外部に任せたうえで一元管理システムを倉庫のシステムとつなげば、在庫数の書き換えや出荷の指示、出荷実績の受け取りもシステムで行えます。
EC業務の効率化を進めるときの注意点は?
EC業務の効率化を進めるときに気をつけたいことは、次の3つです。
1. 時間がかかっている作業を先に書き出しておく
どの作業に毎日どれだけ時間がかかっているかを把握しないまま方法を決めると、いちばん減らしたい作業が残ってしまいがちです。たとえば、在庫数の書き換えに毎日1時間かかっているのに、注文の書き写しだけが減る方法を導入すると、その時間は減らせません。
まずは、受注・在庫・出荷の作業ごとに、1日にかかる時間と担当者を書き出しておきましょう。そのうえで、時間のかかっている作業を減らせる方法を見比べれば、自社に合う方法を選びやすくなります。
2. 1つの店舗・少ない商品数で試してから広げる
新しいツールやシステムに、すべての店舗を一度に切り替えると、設定に誤りがあったときに全店舗で同時に問題が起きかねません。たとえば、一元管理システムで在庫連携を始めると、店舗の在庫数はシステムに登録した数で上書きされます。そのため、登録した数に誤りがあると、一度に切り替えた店舗すべてで在庫数が実際の数とずれてしまいます。
最初は、1つの店舗の一部の商品だけで試しましょう。在庫数が正しく送られることを確かめてから、ほかの商品や店舗へ広げれば、問題が起きても影響を小さく抑えられます。
3. 変えた手順を、担当者全員に共有しておく
ツールやシステムで作業のやり方を変えても、変えた中身を一部の担当者しか知らないと、その人が休んだときに作業が止まります。たとえば、確認待ちにする条件を一部の担当者しか知らないと、その人がいない日に止まった注文をどう処理すればよいかがわかりません。
ツールやシステムを入れたあとは、変えた手順と設定した条件、その理由を手順書に残して、担当者全員が見られる場所に置きましょう。そうしておけば、担当者が休んでも、ほかの人が手順書を見て作業を引き継ぐことができます。
一元管理システムで受注・在庫・出荷をつなぐ手順は?
まず、候補となる一元管理システムを探しましょう。それぞれのサービスサイト上にある連携先の一覧で、出店しているすべてのモール・カートと、使っている送り状発行システムや倉庫のシステムにつながるかを確かめます。
一元管理システムには契約前に試せる無料体験があるものが多いため、候補が決まったら、そのあいだに次の4つの手順で試します。
なお、すでに一元管理システムを使っていて別のシステムへ乗り換える場合の進め方は、次の記事で解説しています。

1. モール・カートとつなぎ、注文を自動で取り込む
試しに注文を処理してもモールや購入者に伝わらないよう、店舗をつなぐ前に、メールの自動送信とモールへの出荷報告を止めておきましょう。
止めたら、まずは1つの店舗をシステムにつなぎ、注文が自動で取り込まれることを確かめます。なお、モールによっては、APIで注文を取り込む前に申請が要ります。つなぐ前に、モールの案内で確かめておきましょう。
2. 商品コードをそろえ、在庫数を各店舗へ自動で送る
システムは商品コードを手がかりに、売れた商品を見分けて在庫数を各店舗へ送ります。同じ商品でもモールごとに「TS-001-RED-M」と「ts001rm」のように別のコードだと、システムは別の商品として扱います。
そのため、商品コードは、すべての店舗で同じ商品に同じコードを付けてそろえましょう。
在庫連携を始めると、各店舗の在庫数はシステムに登録した数で書き換わります。商品コードをそろえたら、システムに登録した在庫数が実際の在庫と合っているかも確かめましょう。
無料体験のあいだは、1つの商品だけを実際の店舗とつなぎ、システムで在庫数を変えたときに店舗の在庫数も変わることを確かめます。本契約のあとは、まず1つの店舗の一部の商品で在庫連携を始め、在庫数が正しく送られることを確かめてから、ほかの商品と店舗へ広げましょう。
3. 送り状発行システムとデータをやり取りし、配送番号をモールへ自動で返す
出荷の準備ができたら、送り状データをシステムから書き出します。一元管理システムなら、モールが違っても発送方法ごとに1つのファイルにまとまるので、このファイルを送り状発行システムに取り込めば、送り状の一括印刷が可能です。
荷物を発送したら、配送番号の入った出荷済みのデータを送り状発行システムから書き出し、一元管理システムに取り込みます。その後、システムで出荷を確定すれば、配送番号と発送済みの情報が自動でモールへ送られます。
最初は1件だけ出荷済みのデータを取り込み、配送番号が注文に入ることを確かめましょう。
倉庫に出荷を任せている場合は、倉庫のシステムともつなげます。出荷の指示はシステムから倉庫へ送られ、倉庫が出荷した結果もシステムに取り込まれます。
4. 試しの注文で、受注から出荷まで通してみる
手順1〜3でつないだら、試しの注文を受注から出荷まで処理して、手作業がどこに残るかを確かめます。試しているあいだは、手順1で止めたメールの自動送信とモールへの出荷報告を、そのまま止めておきましょう。そうすれば、テストで処理した注文が、発送済みとしてモールに伝わらずに済みます。
テストが終わったら、テストのために取り込んだ注文をシステム上で取り消します。取り込んだ注文が残っていると、システムがその分の在庫を出荷待ちの注文のために取っておくので、店舗に表示される在庫数が減ってしまうことがあります。
試していて気になる点が出たら、その都度、提供会社に問い合わせて確かめましょう。
受注・在庫・出荷をまとめて管理できる「ネクストエンジン」を見てみる(30日間無料体験)
受注・在庫・出荷の手作業を減らした導入事例
受注・在庫・出荷の手作業を減らした事業者の事例を、3社紹介します。
伝票とメールの手作業を減らし、売り方を考える時間をつくった
株式会社スペースアイランド様は、食品・調味料・日用品などのこだわりの商品を、自社の本店サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピングで販売しています。事業を始めて3年目ごろから、社員3人のうち2人が、モールごとに伝票番号を1件ずつ出力して発送し、サンクスメールも個別に送っていたといいます。そのため、毎日の作業が終わるのは0時過ぎでした。
パートナー会社に紹介された一元管理システムを導入したところ、注文ごとに今どの作業まで進んだかが一目でわかり、サンクスメールや出荷通知も自動で送られるようになりました。その結果、売り方を考える時間ができ、運用の施策づくりや商品紹介ページの作成に取りかかれるようになりました。人も増やし、組織を広げたといいます。
受注処理を1つの画面で終え、パートさんが定時で帰れるようになった
有限会社大澤洋蘭園様は、胡蝶蘭のギフト商材を、自社サイトと卸のほか、楽天・Yahoo!ショッピング・Amazonで販売しています。繁忙期は1日平均150鉢を出荷し、受注処理や立札の作成も重なって、毎年徹夜を覚悟するほどの忙しさだったといいます。また、受注完了メールを手動で送っており、受注担当のパートさんが15時までの勤務だったため、午後の注文への連絡が翌朝以降になってクレームも出ていました。
楽天の勉強会でおすすめされた一元管理システムを、追加の機能を足して細かく効率化できそうな点と、価格の安さで選びました。導入後は、各モールの管理画面を開かずに、1つの画面で受注処理を終えられるようになりました。受注完了メールも自動で送られるため、クレームはゼロになり、パートさんも定時で帰れています。
セールの深夜作業をなくし、定時で帰れるようにした
株式会社B.B.T.様は、野球を中心としたスポーツ用品を、ECのみで5店舗運営しています。導入前は自社ですべて出荷しており、大きなセールで1日1,000件を超える受注が入ると、代表を含む社員総出で深夜1〜2時まで梱包を続けていました。そのため、販促に時間を使えなかったといいます。
そこで、出荷を外部の物流サービスに任せ、一元管理システムで受注処理を自動化しました。その結果、セールの時期でもスタッフ全員が8時半に出社し、定時の18時に退社できるようになりました。在庫もシステムで管理するようになり、在庫に関するクレームがなくなったといいます。
まとめ
受注・在庫・出荷の手作業をまとめて減らせるのは、4つの方法のなかで一元管理システムでつなぐ方法だけです。ただしどの方法にも残る手作業はあるため、自社で時間のかかっている作業が減るかどうかで選びましょう。
まずは、受注・在庫・出荷の作業ごとに、1日にかかる時間を書き出すところから始めてみてください。一元管理システムを導入する場合は、無料体験で試しの注文を受注から出荷まで通してみることをおすすめします。
よくある質問
Q. EC業務の効率化は、どの業務から始めればよいですか?
毎日、いちばん時間がかかっている作業から始めましょう。受注・在庫・出荷の作業ごとに、1日にかかる時間と担当者を書き出せば、どの作業から減らすかが決まります。
Q. 一元管理システムを入れると、EC業務の手作業はなくなりますか?
ゼロにはなりません。梱包は自社か委託先に残ります。また、備考欄に記入があるなど、確認待ちになった注文は人が確かめるしかありません。送り状発行システムとデータをやり取りする作業と、APIで取り込めないカートの注文をCSVで取り込む作業も残ります。
Q. EC業務の効率化に、AIは使えますか?
使えます。ただし、AIの活用は商品説明文や画像の作成など、商品ページづくりや集客の作業が中心です。受注・在庫・出荷の手作業を減らすなら、一元管理システムが向いています。
Q. 発送代行に任せれば、在庫管理の手作業もなくなりますか?
なくなりません。梱包と発送は任せられますが、店舗ごとの在庫数の書き換えは社内に残ります。なお、各店舗へ在庫数を自動で送るには、在庫連携ができる一元管理システムを導入する必要があります。
おすすめの記事

2022.08.26
FAX受注を効率化する方法|ネット注文とまとめて管理する手順
電話・FAX・卸の注文を受けていると、注文書を見て書き写す時間や写し間違いが負担になりがちです。また、どの注文が出荷まで…

2022.10.31
物流アウトソーシングとは?メリット・デメリット、費用相場などを解説
EC事業における物流は、求められる作業量が多く高い品質を求められるため、改善に頭を悩ませている方も多いのではないでしょう…

2025.12.19
EC一元管理システム比較14選|受注・在庫管理を自動化
複数のモールや自社サイトで販売していると、店舗が増えるほど在庫と受注の管理に手間がかかり、在庫数のずれから売り越し(在庫…




