委託倉庫とは?自社倉庫との違いと、受注から出荷までの流れ

委託倉庫とは、商品の保管から出荷までを任せる、外部の倉庫のことです。自社で梱包・発送しきれないほど出荷が増えたら、検討したい選択肢の1つといえるでしょう。
委託倉庫は商品を預ければ終わりではなく、出荷の指示と結果を倉庫とやり取りし続ける必要があります。とくに自社倉庫と併用するときは、モールに出す在庫数を片方の倉庫の数だけで決めると、もう片方に在庫があっても売り切れの表示が出てしまいます。
本記事では、委託倉庫と自社倉庫の違い、受注から出荷までの流れ、つまずきの防ぎ方を解説します。
委託倉庫とは?自社倉庫との違い
委託倉庫を検討するときは、まず自社倉庫との違いと、任せるメリットを押さえておきましょう。
自社倉庫との違い
自社倉庫と委託倉庫を、作業する人と費用のかかり方などで比べると、次のとおりです。
| 項目 | 自社倉庫 | 委託倉庫 |
|---|---|---|
| 作業する人 | 自社の担当者 | 倉庫会社 |
| 費用のかかり方 | 人件費と倉庫の費用。出荷が少ない月も一定額かかる | 毎月かかる保管料・システム利用料と、出荷数や在庫量で増える入庫料・ピッキング料・検品料・梱包料・配送料 |
| ギフト包装など個別の対応 | 自社で決められる | 倉庫全体の効率が優先され、手書きのメッセージカードや細かい梱包の指示には応じられないことがある |
| 在庫と出荷の情報の受け渡し | 受注の担当と出荷の担当が社内で直接伝え合う | 出荷依頼と出荷実績を倉庫とデータで受け渡す |
委託倉庫に任せられるのは、入荷・検品・保管・ピッキング・梱包・出荷といった、倉庫の中の作業です。一方、注文を受けて内容を確かめる受注管理と、在庫数を記録してモールに出す数を決める作業は、自社に残ります。
そのため、自社倉庫から切り替えていちばん変わるのは、倉庫との情報の受け渡しです。倉庫とのやり取りが遅れたり漏れたりすると、倉庫が出荷できない注文が出たり、モールの在庫数が実際とずれたり、購入者への発送の連絡が遅れたりします。
なお、ギフト包装や同梱物など手をかけたい商品がある事業者は、自社倉庫と併用する方法もあります。その商品だけを自社に残して定番品を委託倉庫に預ければ、出荷の手間を減らしながら、きめ細かい対応も続けられます。
委託倉庫のメリット
委託倉庫に任せるメリットは、次の4つです。
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保管の場所と入出庫の手間を持たずに済む:商品が増えるほど保管する場所が足りなくなり、入荷や出荷のたびに棚から商品を出し入れする手間も増えます。倉庫会社に任せれば、保管の場所も入出庫の作業も、自社で持たずに済みます。
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作業の費用が、出荷の量に合わせて増減する:自社で作業者を雇うと、出荷が少ない月も同じだけ人件費がかかります。委託倉庫でも保管料などは毎月かかりますが、入庫料や梱包料は入荷数や出荷数に応じて決まります。そのため、出荷が少ない時期は作業の費用を抑えられます。
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繁忙期の人手の確保を任せられる:繁忙期に急いでアルバイトを雇おうとしても集まりにくく、集まっても作業を一から教える手間がかかります。委託倉庫なら、倉庫会社が作業者を手配するため、自社で集めたり教えたりする必要がありません。
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空いた時間を商品や販売の仕事に使える:注文が増えて出荷の作業に人手と時間を取られていたなら、その分を商品開発や販促に回せます。
委託倉庫を使うと、受注から出荷まではどう進む?
委託倉庫を使うときは、次の4つの手順で進めます。
なお、受注と在庫をまとめて管理する一元管理システムのうち、倉庫と自動でデータをやり取りできるものを使えば、手順2〜4の受け渡しはシステムが行います。

1. 商品を預け、入荷を記録する
委託倉庫を使い始めるときは、まず預ける商品の商品コードや商品名を、倉庫のシステムに登録します。自社と違う商品コードで登録すると、倉庫から届いた入荷の数が自社の在庫表のどの商品の数なのかわからなくなるので、コードは自社とそろえておきましょう。
商品を送るときは、いつ何をいくつ送るかを書いた入荷予定を倉庫へ送ります。倉庫は届いた商品を検品し、入荷した数を入荷実績として返す流れです。
ただし、倉庫に商品が入っただけでは、まだ販売できません。入荷実績の数を自社の在庫表や一元管理システムの在庫に足し、モールの在庫数に反映した時点で、はじめて販売が可能になります。
入荷した商品をすぐ販売するには、入荷実績が届いたその日のうちに在庫へ足しましょう。
2. 注文が入ったら、倉庫へ出荷を依頼する
入金や内容の確認を終えた注文は、倉庫が指定したフォーマットのCSVファイルにまとめ、出荷依頼として倉庫へ送るのが一般的です。
倉庫には、その日のうちに出荷する注文を受け付ける締め切りがあり、締め切りを過ぎて届いた注文は翌日の出荷に回ります。
締め切りちょうどに送ると、送信に時間がかかって間に合わないことがあります。また、出荷依頼を手で作っていて送る時刻が決まっていないと、締め切りを過ぎたことに気づかないまま、注文が翌日に回ってしまいます。
当日に出荷するには、倉庫の締め切りから逆算して、出荷依頼を送る時刻を1日の中で決めておきましょう。
3. 出荷実績を受け取る
倉庫が出荷を終えると、出荷した注文と配送番号をまとめた出荷実績が、倉庫から届きます。出荷実績を手で取り込んでいる場合、取り込む時刻を決めていないと、届いた実績が翌日まで手つかずになりがちです。
出荷実績は、倉庫から届く時刻に合わせて、毎日取り込む時刻を決めておきましょう。
4. モールへ出荷を報告する
倉庫が商品を出しただけでは、モールの注文は発送済みになりません。配送番号を添えてモールへ出荷を報告すると、注文が発送済みに変わり、購入者に発送のお知らせが届く仕組みです。そのため、出荷実績の取り込みが遅れると、購入者へのお知らせも遅れます。
取り込んだ出荷実績は、その日のうちにモールへ報告しましょう。報告を終えたら、その日に依頼した注文がすべて発送済みになったかを、各モールの管理画面で確かめます。
委託倉庫を使うときのつまずきと防ぎ方は?
委託倉庫を使うと、注文・在庫・出荷の情報を倉庫とやり取りする場面が増え、自社倉庫と併用すれば在庫も2か所に分かれます。委託倉庫の運用でよくつまずくのは、次の3つです。
1. 片方の倉庫の在庫が0になると、売り切れの表示になる
原因:自社倉庫と委託倉庫のように在庫の置き場所が2か所あるのに、モールにはそのうち1か所の在庫数だけを出していることがあります。そのため、その1か所の在庫が0になった時点で、ほかの場所に在庫が残っていても売り切れの表示になります。
また、在庫表で置き場所ごとに数を分けて記録していても、モールの在庫数を直すときに、片方の倉庫の数だけを見て入力してしまうことはよくあります。
かといって、置き場所ごとの在庫を1つの数にまとめて記録すると、今度はどこにいくつあるかがわかりません。注文が入っても、どちらの倉庫から出荷すればよいかを決められなくなります。
すぐにできること:商品コード・置き場所・在庫数の3列で表を作り、商品コードごとに合計を出して、モールに出す数はその合計から決めましょう。在庫数が0のセルに色を付けておけば、注文が入ったときに在庫の残っている倉庫がすぐわかり、そこから出荷できます。
ただし、在庫数が変わるたびに、モールに出す数を手で直す手間は残ったままです。
システムで解決すること:一元管理システムには、自社倉庫・委託倉庫などの置き場所ごとに在庫を記録したうえで、それらを合わせた数を1つのモールに出せるものがあります。導入すれば、1か所の在庫が0になっても、ほかの置き場所に在庫があれば販売を続けられます。
また、置き場所ごとの在庫数も残るため、注文が入ったときに、どちらの倉庫から出荷するかで迷うこともありません。
ただし、置き場所ごとの在庫を合わせて出す連携に対応していないモール・カートもあります。その場合は表で合計を出す作業が残るので、注意が必要です。
なお、自社倉庫と委託倉庫の在庫を合わせた数を、モールへ自動で出すところまで求める場合は、置き場所ごとの在庫連携機能を備えたシステムが必要です。
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2. 倉庫へ依頼する前にキャンセルに気づけない
原因:キャンセルの連絡は、モールごとの管理画面に届きます。画面を1つずつ開いて探す方法では、店舗が増えるほど見落としが増えがちです。
さらに、委託倉庫では、出荷依頼を送ったあとの取り下げや修正が簡単ではありません。ピッキング中の取り下げは有料で、梱包が始まったあとは取り下げられない倉庫もあるため、キャンセルに気づくのが遅れると、キャンセルされた注文まで出荷されてしまいます。
すぐにできること:出荷を依頼する直前に、各モールの管理画面でキャンセルが入っていないかを確かめましょう。依頼したあとでキャンセルに気づいたときは、すぐに倉庫へ連絡して、出荷を止められるかを聞いてください。ただし、確かめてから依頼を送るまでのあいだに入ったキャンセルには、この方法では気づけないのが難点です。
システムで解決すること:一元管理システムのなかには、モールで受けたキャンセルを、取り込んだ注文へ自動で反映できるものがあります。導入すれば、各モールの画面を1つずつ開いて探さなくても、倉庫へ依頼する前にキャンセルに気づけます。
ただし、キャンセルが自動で反映されるモールは、システムによってまちまちです。反映されないモールでは、管理画面でキャンセルを確かめる手作業が残ります。
3. 倉庫とのやり取りに手間と時間がかかる
原因:倉庫では、入出庫と在庫を管理する倉庫管理システム(WMS)を使っています。WMSは、自社で注文を管理するエクセルや一元管理システムとは別の仕組みなので、2つのあいだで注文と出荷の情報を受け渡す作業が発生します。
この受け渡しをメールや表計算ソフトで行うと、依頼のたびに手作業が発生します。モールの注文データを倉庫が決めたフォーマットのCSVに作り直して送り、返ってきた出荷実績を自社の表や一元管理システムに取り込まなければなりません。
手間がかかるからと1日1回夕方にまとめて送ると、朝に入った注文が倉庫に届くまで半日以上かかり、当日の締め切りに間に合わないこともあります。
すぐにできること:倉庫が指定するCSVのフォーマットどおりに、出荷依頼の表のひな形を作りましょう。配送業者や商品コードなど選択肢が決まっている列は、エクセルの入力規則でドロップダウンから選ぶ形にしておけば、入力のミスと表記ゆれを減らせます。
あわせて、依頼を送る回数を午前と午後の2回に分ければ、朝の注文も当日の締め切りに間に合わせやすくなります。
ただし、目視と手作業で対応できるのは、1日の出荷が数十件までです。数百件、数千件に増えると、ひな形への入力と確認が追いつきません。
システムで解決すること:一元管理システムのなかには、入金や内容の確認を終えた注文を、出荷依頼として倉庫へ自動で送れるものがあります。倉庫から出荷実績が届くと、注文を出荷済みにして配送番号を入れ、モールへの出荷報告まで進める仕組みです。
使う倉庫とつながるシステムを導入すれば、出荷依頼を作って送る作業も、出荷実績を取り込む作業も、手で行わずに済みます。
システムと倉庫のつなぎ方は倉庫ごとに異なり、主にAPI・アプリ・CSVの3つです。APIとアプリでは、システム同士がデータを自動でやり取りします。一方、CSVでは担当者がファイルを書き出して相手のシステムに取り込むため、手作業が残ります。
使う倉庫がどの方式でつながるかは、一元管理システムのサービスサイト上にある連携先の倉庫の一覧で確かめましょう。
また、出荷依頼を倉庫へ送れるのが1日1回だけのシステムでは、倉庫はその1回分しか作業できず、送ったあとに入った注文は翌日に回ります。1日に出荷できる件数が限られるため、何回送れるかもあわせて見ておきましょう。
なお、出荷だけでなく、倉庫へ商品を納めるときの入荷予定と、入荷した数のやり取りまでシステムで行いたい場合は、発注から入荷までを倉庫とやり取りできるシステムを選ぶ必要があります。
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委託倉庫との連携の導入事例
委託倉庫とのやり取りを、一元管理システムで見直した事業者の事例を、3社紹介します。
CSVでの出荷指示の手間をなくし、一人で月1時間の運営に
Global Leavolution Partners合同会社様は、イギリスの会社が作る知育玩具「Morphun」を輸入し、卸売り・自社サイト・Amazon・Yahoo!ショッピングで販売しています。倉庫業務ははじめから外部に任せており、販売や在庫のデータをまとめて管理するERPソフトのCSVを倉庫へ取り込んで、出荷を指示する運用でした。Amazonの注文でも同じ作業を繰り返すのが負担でした。
そこで、複数の販路の出荷指示と在庫管理をまとめて行える一元管理システムを導入し、倉庫と連携させました。その結果、受注から出荷までが自動になり、残る作業は経理処理と倉庫への細かな在庫の指示だけです。2019年11月からは、一人で月1時間ほどで運営できています。
ショップごとの出荷指示をまとめ、時刻で区切って実質1.5人で運営
とよす株式会社様は、柿の種専門店『かきたねキッチン』として、自社サイト・Amazon・Yahoo!ショッピングの3店舗でECを展開しています。発送は委託倉庫から行っており、倉庫への出荷指示は、ショップごとに受注が20件たまるたびに作っていました。そのため、出荷指示を作る時刻がショップごとにばらばらになり、通常の時期には、倉庫でピッキングする人の手が空く時間もありました。
一元管理システムを導入してからは、全ショップの注文をまとめて、注文の締め切りを12:00、出荷指示の完了を16:00と時刻で区切れるようになりました。EC運営のスタッフも、2人から実質1.5人になっています。
倉庫との連携を見直し、1時間あたりの出荷を1.5倍以上に
株式会社松屋フーズホールディングス様は、牛丼チェーン「松屋」などを運営し、ECでは『牛めし』を中心に販売しています。以前の一元管理システムでは、出荷依頼を倉庫へ送れるのが昼頃の1日1回だけでした。そのため、倉庫は1日5,000件ほど出荷できる力がありながら、実際には3,000件しか出荷できていませんでした。
そこで、倉庫が本来の件数まで出荷できるよう、一元管理システムを乗り換えました。その結果、1時間あたりの出荷件数は50件程度から80件程度へと1.5倍以上に増え、今では月5万件以上の出荷を3名の受注処理担当で安定して処理しています。
まとめ
委託倉庫を使うなら、出荷依頼と出荷実績を受け渡す時刻を決め、モールに出す在庫数は置き場所ごとの合計から決める必要があります。そうすれば出荷の遅れを防げ、自社倉庫と併用しても売り切れの表示を出さずに済みます。
まずは、委託倉庫に預ける商品と自社に残す商品を分け、倉庫の締め切りに合わせた1日の流れを決めるところから始めてみてください。そのうえで、倉庫とのやり取りが手作業で追いつかなくなったら、使う倉庫と自動でつながる一元管理システムを検討するのも1つの方法です。
よくある質問
Q. 委託倉庫と3PLは、何が違いますか?
3PLは、物流の業務をまとめて外部の会社に任せることを指す広い言葉です。委託倉庫は、そのうち保管から出荷までの倉庫の作業を任せる倉庫を指します。ECサイトの運用やカスタマーサポートまで任せるサービスは、フルフィルメントサービスと呼ばれます。
Q. 委託倉庫の費用は、どのように決まりますか?
毎月決まってかかる費用(システム利用料・保管料)と、出荷数や在庫量で増える費用(入庫料・ピッキング料・検品料・梱包料・配送料)の合計で決まるのが一般的です。金額は倉庫会社ごとに違うため、見積もりを取って比べましょう。
Q. 委託倉庫に任せても、受注処理は自社で行うのですか?
一般的に、受注処理は自社で行います。倉庫に任せるのは入荷から出荷までの作業で、注文の確認や在庫の管理は自社に残ります。自社で確認を終えた注文を、出荷依頼として倉庫へ送る流れです。
Q. 委託倉庫を別の倉庫に変えるときは、何に気をつければよいですか?
倉庫を変えるときは、モールに出す在庫数を新しい倉庫の数に切り替える日と、出荷依頼の送り先を変える日を先に決めておきます。2つの日がずれると、新しい倉庫にまだない在庫を売ったり、商品のない倉庫へ出荷を依頼したりすることになります。あわせて、新しい倉庫とシステムがつながるかも、事前に確かめましょう。
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