受注管理をエクセルで行う方法【無料テンプレ付き】

エクセルで受注管理表を作れば、追加の費用をかけずに、モールごとの注文をまとめて記録できます。さらに本記事の無料テンプレートを使えば、商品コードを入力するだけで商品名と金額が入ります。今日から記録を始めるのも難しくありません。
ただ、注文や店舗が増えるにつれて、書き写しの手間とミスも増えていきます。エクセル管理の限界が近いかどうかを見分ける目安は、1日の処理時間・書き写しの回数・ピークの日の件数の3つです。
本記事では、エクセルで受注管理する手順として、無料テンプレートの構成と使い方を紹介します。そのうえで、エクセルで管理を続けるメリットと限界、システムに切り替える目安と手順を解説します。
エクセルで受注管理するには?
エクセルで受注管理表を作る手間を省けるよう、無料のテンプレートを用意しました。商品の一覧と注文を入力すれば、その日から受注を記録できます。
1. テンプレートの構成
無料テンプレートのシートは5枚で、日々の入力に使うのは「受注一覧」と「商品マスタ」の2枚です。商品マスタに商品を登録しておくと、受注一覧では商品コードと個数を入れるだけで済みます。
| シート名 | 役割 | 入れるもの |
|---|---|---|
| 受注一覧 | 注文を1行1件で記録する管理表(15列、500件分) | 注文ごとの内容。商品名・単価・金額は自動で入る |
| 商品マスタ | 商品コード・商品名・単価の一覧 | 扱う商品 |
| 設定 | プルダウンの候補(状況・支払方法・モール) | 自社の呼び方に合わせた候補 |
| 集計 | モール別・状況別の件数と金額 | なし(自動で計算される) |
| 使い方 | テンプレートの手順 | なし |
受注一覧と商品マスタには、架空のサンプルが3行ずつ入っているので、自社の商品と注文に置き換えて使ってください。
2. 入力するもの
受注一覧は、1行に1件の注文を記録する形式です。入力する項目は次の7つで、送り状の作成からモールへの出荷報告までに要る情報をそろえてあります。列の名前は、モールの管理画面の文言にそろえておくと、見比べやすくなるでしょう。
| 列名 | 入れる理由 |
|---|---|
| 注文番号 | 同じ注文を二重に取り込まないようにするため、新しい注文を入れるときは、同じ番号がすでに入っていないかを確かめる |
| モール(店舗名) | どの店舗の注文かを分ける。店舗ごとの件数や出荷の状況を見る区切りになる |
| 注文日時 | 古い注文から順に処理し、出荷の遅れを見つける基準になる |
| 状況 | 確認待ち・入金待ち・出荷待ち・出荷済みなど、どこまで進んだかを選ぶ |
| 商品コード・個数・金額 | 何をいくつ、いくらで売ったかの記録になる。商品名・単価・金額は、商品コードと個数から自動で入る |
| 送り先(購入者名・郵便番号・住所・電話番号) | 送り状を作るためのデータになる |
| 支払方法・配送番号 | 支払方法で、入金の確認が要る注文かを分ける。配送番号は、出荷後にモールへ報告するために持つ |
商品コードはモールごとに違う場合があるので、管理表では自社で決めた1つのコードにそろえると、あとの集計が楽になります。
3. 使い方
- 「商品マスタ」に、扱う商品の商品コード・商品名・単価を入力します。サンプルの3行は上書きして構いません。
- 「設定」で、状況・支払方法・モールの候補を、自社の呼び方に合わせます。
- 「受注一覧」のサンプルの3行を消します。商品名・単価・金額の列は、数式が入っているので、消さないでください。
- モールの管理画面で新しい注文を確かめ、1件ずつ行を足します。商品コードと個数を入力すると、商品名・単価・金額が入ります。
- モール・状況・支払方法は、プルダウンから選びます。出荷したら、状況を「出荷済み」に変え、配送番号を入力しましょう。
- 「集計」で、モール別・状況別の件数と金額を確かめます。
4. 工夫ポイント
テンプレートは、関数と入力規則だけで動き、マクロは使っていません。次の3つの仕組みで、入力の手間と入力ミスを減らせます。
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商品名と単価の自動入力:商品コードを入力すると、商品マスタから商品名と単価が入り、単価に個数をかけた金額も出ます。商品マスタにないコードを入れたときは、空欄のままです。
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注文番号の重なりの色付け:同じ注文番号を2回入力すると、そのセルが赤くなります。二重に入力していないかが、一目でわかります。
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プルダウン:モール・状況・支払方法は、候補から選ぶ形です。「出荷済」と「出荷済み」のような表記のゆれを防げるので、集計もそろいます。
テンプレートは無料で使えるので、ぜひ今日からの受注管理に役立ててください。
エクセルで続けるメリットと限界は?
エクセルは多くの職場にすでにあるソフトなので、追加の費用をかけずに始められます。店舗も注文も少ないうちは、1件ずつ入力しても対応できるため、エクセルで足りるでしょう。
ただ、注文や店舗が増えると、次の5つの点でつまずきやすくなります。
1. 毎日の処理に時間がかかる
原因:モールの画面を開いて内容を確かめる、管理表へ書き写す、購入者へメールを送るといった作業を、1件ずつ人間が行うので、件数が増えるほど時間がかかります。
すぐにできること:テンプレートのように、関数を活用して商品名や金額を自動で入れると、入力の手間を減らせます。エクセルのマクロを使えば、取り込んだCSVの並べ替えや送り状用データの出力も、1回の操作で済みます。ただ、モールから注文を集める作業と、注文を1件ずつ確かめる作業は残ります。
システムで解決すること:受注管理システムを導入すれば、各モールの注文が自動で取り込まれます。入金や在庫などの条件がそろった注文は、人間が手を動かさなくても出荷の準備まで進み、購入者へのメールも決めたタイミングで自動で送られます。人間が確認するのは、備考欄に記入がある注文など、条件に当てはまって止まった注文だけです。

2. 書き写しで間違いが起きる
原因:書き写すたびに、郵便番号や住所の取り違え、配送番号の入力ミスが入り込みます。注文が増えるほど目で確かめる件数も増え、見落としも増えていきます。
すぐにできること:モールの管理画面から注文のCSVを出して管理表へ取り込むと、1件ずつ書き写す手間はなくなります。ただ、店舗ごとにCSVを出す作業は毎日残ります。また、CSVをエクセルで直接開くと、電話番号の先頭の0が消えることがあるので、電話番号や注文番号の列は文字列として開きましょう。
システムで解決すること:受注管理システムを導入すれば、モール・カートの注文が自動で伝票になり、送り状のデータも伝票から作れるので、モールから管理表、管理表から送り状への書き写しがなくなります。書き写す回数そのものが減るので、入力ミスが入り込む余地もなくなります。ただし、APIで取り込めないカートの注文は、CSVを取り込む手作業が残ります。
3. ファイルの共有でつまずく
原因:エクセルのファイルは、ブラウザ版でない限り、複数人が同時に編集して保存できません。そのため、古い版のファイルで上書きしてしまい、直したはずの内容が消えたり、同じ注文を2人がそれぞれ処理してしまったりします。誤って数式を消してしまうと、商品名や金額が自動で入らなくなることもあります。
すぐにできること:ファイルに触れる人と、入力の時間帯を決めておきましょう。また、数式が入ったセルは、エクセルの「シートの保護」でロックしておくと、消される心配がなくなります。バックアップも、1週間に1回など定期的に取っておくと安心です。
システムで解決すること:受注管理システムを導入すれば、担当者ごとのアカウントで同時に作業できます。1つのファイルを上書きし合う形ではないので、直した内容が消えることはありません。伝票ごとに、誰がいつ何を変えたかも履歴に残ります。
4. 作った人にしか直せない
原因:数式やマクロで自動にしているほど、列を足したときやモールの管理画面の仕様が変わったときに、処理が止まりやすくなります。マクロはプログラムで動くので、直せるのは作った人か、プログラムを読める人に限られます。
すぐにできること:数式やマクロの役割と、確認する注文の条件は、手順書に書き出しておきましょう。担当者が替わったときの引き継ぎの手がかりになります。
システムで解決すること:受注管理システムを導入すれば、確認する注文の条件や自動で書き換える内容を、画面から設定できます。プログラムを書かずに設定できるので、担当者が替わっても運用を続けられます。初期設定や運用の相談に、サポートが付いているシステムもあります。
5. セールや繁忙期に追いつかない
原因:ピークの日は、確認・書き写し・メールの送信が、同じ担当者に一度に集まります。手作業の時間は件数に比例するので、注文が数倍になれば作業も数倍になります。
すぐにできること:遅れると購入者に影響が出る作業(発送連絡のメールやモールへの出荷報告)と、後回しにできる作業(集計など)を分けておきます。ピークの前に担当と締めの時刻を決めておくと、負担をいくらか軽くできるでしょう。
システムで解決すること:受注管理システムを導入すれば、注文の取り込み、購入者へのメール、モールへの出荷報告が自動で進みます。件数が増えても、人間の手が要るのは確認が必要な注文の分だけになります。
システムに切り替える目安と手順は?
1. 切り替えを考える目安
件数が増えると、負担もミスも件数に比例して増えていきます。次のような状態になったら、システムへの切り替えを考える時期です。
・発送業務・在庫の更新・サンクスメールに、毎日1時間以上かかっている
・1件の注文を何度も書き写している(モールの画面から管理表へ、管理表から送り状へ、配送番号を管理表からモールへ、など)
・同じ管理表を複数人で触り、どの注文がどこまで進んだのか、すぐにわからない
・セールや繁忙期の日に、処理が追いつかない
2. 切り替えの手順
システムの導入は、次の3つの手順で進めます。
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作業を書き出す:受注から出荷までの作業を書き出し、とくに時間がかかっている工程や、ミスが多い工程がどこかを確認しておきましょう。システムに任せる範囲を決める材料になります。
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商品コードをそろえる:モールごとに別の商品コードで管理しているなら、基準にする店舗を1つ決めてコードをそろえます。基幹システムやPOSのコードがあれば第一候補にします。
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過去の注文を数件で試す:試す前にメールの自動送信とモールへの出荷報告を止め、終わったら取り込んだ注文を取り消します。
コードの決め方や試し方は、次の記事で詳しく解説しています。
受注管理をシステムにした導入事例
手入力の伝票整理とミスを解消し、受注処理を丸一日から半日に
合同会社わらいみらい様は、長野県南信州の市田柿やスイーツを、楽天・Yahoo!ショッピング・Amazonで販売しています。12月には1日数百件の注文が入る日もあり、夜中まで伝票整理に追われていました。繁忙期以外も1日20件ほどを、注文画面を見ながら伝票へ手入力で書き写しており、ヒューマンエラーが1年に2〜3件ありました。
最初に使っていた他社のサービスではPayPayの連動ができなかったため、一元管理システムへ切り替えました。初期設定は、サポートに順を追って教わりながら進めています。受注の処理は導入前の丸一日から半日ほどで終わるようになり、浮いた時間で新商品を作り、売上は導入前の2倍になりました。
目視の注文確認と出荷メールの手作業を解消し、約99%を自動化
株式会社サウナキャンプ様は、テントサウナの専門店として、自社ECサイト・楽天市場・Amazonで販売しています。本業を持つ2人が副業で運営しており、注文を目視で確認して、注文処理から出荷メールの送信までを手作業で行っていました。売上が伸びると「もう無理だな」と感じるほど追いつかなくなりました。
そこで、受注処理を自動化するために一元管理システムを導入し、倉庫管理システムと連携して、出荷指示まで自動で流れるようにしています。受注処理から出荷指示までのフローの約99%を自動化できたと話しており、人間の手が必要なのは、イレギュラーな注文が入って確認待ちになったときだけです。
受注完了メールの手動送信によるクレームを解消し、パートの定時退社を実現
有限会社大澤洋蘭園様は、胡蝶蘭を専門に、自社サイト・卸・楽天・Yahoo!ショッピング・Amazonで販売しています。各モールの管理画面を行き来して受注を処理し、受注完了メールも手動で送っていました。ただ、受注担当のパートの勤務が15時までのため、午後の注文は翌朝以降の送信になり、クレームも出ていました。
楽天のイベントでおすすめされた一元管理システムを導入し、各モールの管理画面を開かずに、1つの画面で処理できるようになっています。受注完了メールは自動で送られるようになってクレームはゼロになり、パートのスタッフが定時で帰れるようにもなりました。
まとめ
無料のテンプレートを使えば、日々の受注を記録するところまでは、今日から始められます。ファイルの上書きや入力のゆれは、担当の決め方やシートの保護、プルダウンで減らせます。
ただ、件数が増えるほど、書き写しの負担もミスも増えていきます。限界を感じたら、システムの導入も視野に入れてみてください。
よくある質問
Q. 受注管理のエクセルテンプレートで足りますか?
テンプレートで、日々の受注の記録と、モール別・状況別の集計までは足ります。ただ、モールの注文を書き写す作業は残るので、店舗や件数が増えるほど、処理時間とミスが増えます。見直しの目安は、本文の「システムに切り替える目安と手順は?」の章をご覧ください。
Q. 何件までエクセルで管理できますか?
一般的には、決まった件数はありません。毎日の処理時間、書き写しのミス、ピークの日に追いつくかで判断するのが現実的です。システムの検討が始まりやすいタイミングは、本文の「システムに切り替える目安と手順は?」の章で紹介しています。
Q. マクロで自動化できますか?
取り込み後の並べ替えや整形、送り状用データの出力は、マクロで自動にできます。ただ、モールから注文を集める作業は残ります。マクロの役割は手順書に書き出し、引き継げる形にしておくのが現実的です。
Q. エクセルからシステムへはCSVで移せますか?
一般的には、管理表をCSV形式で保存し、システムの取り込み形式に整えて取り込みます。過去の注文を取り込める場合も、取り込んだ注文が料金の対象になるシステムがあるので、必要な期間の分に絞るとよいでしょう。
Q. 無料で試せるシステムはありますか?
一般的には、無料のお試し期間を設けているシステムがあります。たとえば、ネクストエンジンには30日間の無料体験があり、機能制限はなく、本契約の手続きをしない限り、料金は自動では発生しません。







