リードタイムとは、流通・製造業でよく使われる言葉で、注文が入ってから顧客に商品を届けるまでの期間のことを指しています。しかし、業種や工程により、リードタイムが示す言葉の意味が異なることがあるので注意しましょう。
この記事は、以下のような疑問を解決できる内容となっています。
- 納期と何が違うの?計算方法は?
- リードタイムは売り上げに影響する?
- リードタイムを短縮するメリットは?
最後に、リードタイム短縮に役立つ、便利なECツールも紹介しますのでぜひ参考にしてください。
リードタイムとは?「納期」との違いとは
リードタイムによく似た言葉として「納期」という言葉が存在しますが、リードタイムと納期はそれぞれ別の意味があります。ここではリードタイムと納期のそれぞれの言葉の意味を解説しますので、両者の違いについて見ていきましょう。
リードタイムは「発注から納品までの時間」のこと
リードタイムとは、顧客が商品を発注してから、納品が行われるまでにかかる時間のことを指しています。ECサイトでのショッピングであれば、顧客がサイト上で注文確定を行い、顧客のもとに商品が届くまでにかかった時間のことです。
しかし、リードタイムは業種や工程によって、その言葉が示す範囲が異なることもあるので、リードタイムが示す範囲について社内で統一しておくことが重要だと言えるでしょう。
リードタイムは「時間」、納期は「期限」を指す点で違いがある
納期とは、◯月◯日の◯時というように、特定の時間を指しており、商品を顧客に届けるまでの期限です。一方で、リードタイムは発注から納品までにかかる時間を指しているので、リードタイムは「時間」、納期は「期限」を示しているという点で異なっています。
ECサイト上では、顧客が商品を注文する前に「商品が届くまでに何日かかるのか」といったおおよその目安を把握できるよう、リードタイムがあらかじめ商品ごとに記載されていることが多いです。
リードタイム1日とは?リードタイムの計算のしかた
リードタイムは、顧客が商品を発注した当日を起点に、翌日を「リードタイム1日」、翌々日を「リードタイム2日」として数えます。つまり、リードタイム1日とは、発注日の翌日です。
また、EC業界においては、配送リードタイムの表現として「中2日」という表現も聞いたことがあるでしょう。「中2日」とは、間に2日要するという意味なので、商品の到着は発注日の3日後となります。
工程ごとに生まれるリードタイム4種類
冒頭でもお伝えしましたが、リードタイムは工程ごとに言葉が示す範囲が異なります。工程はおもに4つに細分化されています。
- 開発リードタイム
- 調達リードタイム
- 生産リードタイム
- 配送リードタイム
4つの中でも配送リードタイムは、EC事業との関係が最も深いと言えるでしょう。そのほかのリードタイムについても、まったく無関係ではないので、それぞれの意味を理解することは重要です。
それぞれの意味について解説しますので、確認していきましょう。
開発リードタイム(商品の企画から完成まで)
開発リードタイムとは、商品を企画してから完成に至るまでの期間のことです。開発リードタイムの中にも、商品の企画、素材の選定、生産場所の決定など、さまざまな業務工程が存在します。
調達リードタイム(仕入れ先から調達し納入されるまで)
調達リードタイムとは、仕入れ先から調達し納入されるまでの期間を指しています。購入元の生産リードタイムや配送業者の配送リードタイムに左右されるのが特徴です。
海外などから調達する場合は、税関を通す際の手続きなどもあるため、より長い調達リードタイムを必要とします。
生産リードタイム(生産開始から予定数の完成まで)
生産リードタイムは、商品の生産を開始してから予定数を完成させるまでにかかる期間です。生産リードタイムを短縮するには、人材を適切に配置したり、デジタル技術を活用したりすることが有効です。
配送リードタイム(受注から納品まで)
配送リードタイムは、顧客が商品を発注してから、顧客のもとに納品するまでの期間を指しています。配送リードタイムは、配送方法や距離によって変動しますが、配送リードタイムを縮めたいのであれば、受注から出荷までの流れを効率よく行うことが重要です。
リードタイムが売り上げに与える影響
リードタイムが長ければ、自社の倉庫内に多数の在庫を抱えている状態となり、結果的に収益の悪化につながります。
ここでは、リードタイムが売り上げにどのような影響を与えるのか、3つの側面から解説しますのでぜひ参考にしてください。
リードタイムが長いと売り上げ機会の損失になりかねない
ECサイト上で顧客が欲しい商品を見つけた際、注文確定をする前に目にするのがリードタイムの項目です。このリードタイムがほかと比べて長いと、顧客は別のサイトからの注文を検討する可能性が高くなるので、売り上げ機会を損失することになるでしょう。売り上げ機会の損失を防ぐためにも、各リードタイムを短縮する工夫を行うことが重要です。
リードタイムが長いと在庫が増える
リードタイムが長ければ、在庫が減らず、倉庫内に在庫が溜まっていきます。在庫が増えると懸念されるのが、在庫スペースが減少することです。入荷してきた商品を本来収納すべき位置に収納できなくなるため、倉庫内環境が悪化します。倉庫内環境が悪化した状態では、ピッキング効率が落ちるなど、さまざまな業務に支障をきたすことになるので、こまめな整理が必要です。
在庫の増加により収益の悪化につながる
在庫が増加することで、在庫の管理コストが上がり、結果的に収益の悪化につながります。ほかにも、上記で紹介した販売機会の損失や作業効率の低下も重なり、負のスパイラルを招くことでしょう。
これらは、事前に業務体制を見直し、リードタイムを短縮しておくことで防げます。
リードタイムを短縮することで得られるメリット4つ
リードタイムを短縮することで、上記で紹介したデメリットをメリットに変えられます。得られるメリットは以下の4つです。
- 商品管理コストの削減ができる
- 顧客ニーズに応えられる
- 売り上げ機会の増加が見込める
- 他社と差別化できる
それぞれのメリットがどのような好影響をもたらすのか、具体的に解説していきます。
①商品管理のコストを削減できる
リードタイムを短縮できれば、倉庫内に在庫が滞留しないため、倉庫スペースを有効活用でき、商品管理のコストが削減可能です。
また、リードタイムを短縮し、注文が入った商品をすぐに出荷できる体制を整えておくことは、賞味期限切れや商品の劣化を防ぐ効果もあります。
②顧客のニーズに応えられる
リードタイムを短縮しておくことで、市場の変化にも柔軟に対応できます。需要が増加した時に、短い納期でより多くの商品を供給できれば、後述するように、販売機会を逃さず、売り上げの増加が見込めるでしょう。
需要が減少した際も、倉庫内に在庫が滞留していないので、在庫リスクを軽減できます。
③販売機会を逃さない
上記でも軽く触れましたが、リードタイムの短縮は販売機会を逃さず、売り上げの増加につながります。顧客は似た性能の商品で、価格が同じであれば、より早く入手できるサイトで購入することが予想されるでしょう。
④対応の面で他社との差別化になる
ネットショッピングが当たり前の時代となり、顧客にはより早く商品を入手したいというニーズが生まれています。その中で、「当日発送」や「翌日配達」など、スピーディな対応がなされていれば、顧客の記憶に残り、再度注文したいと考えるはずです。
このように、リードタイムの短縮は、他社との差別化をもたらし、売り上げの増加につながるでしょう。
リードタイムを短縮するときの注意点2つ
リードタイムを短縮することばかりに気を取られ、サービスが手抜きになり、ミスが頻発してはいけません。リードタイムを短縮する際の注意点を2つ紹介するので、あらかじめ対策しておきましょう。
ミスや手抜きにつながりがち
リードタイムを短縮しようと意識した結果、作業工程を飛ばしてしまったり、ミスを発生させてしまったりすることがあります。リードタイムの短縮にこだわりすぎるあまり、EC業務においては、本来チェックすべき項目を見落としてしまい、誤った商品や数量で出荷をしてしまうこともあるでしょう。ミスや手抜きを行った工程によっては、商品に針や刃物が混入するなど、顧客の安全に関わる重大なミスを発生させることにもなりかねません。
業務の効率化を行うため、作業工程に変化を加えた場合でも、対応の質が落ちないような工夫をすることが大切です。
欠品させないよう管理が必要
リードタイムが短縮されることによって、倉庫内に在庫が溜まらないことはメリットとしてお伝えしました。しかし、同じ商品の注文が殺到した場合、在庫に余裕がなければ欠品を起こす可能性もあるため、注意が必要です。
とくに発注単位の少ない小ロットの商品は、一定数を下回ったら発注を行うなど、事前に取り決めをしておきましょう。
EC運営でリードタイムを短縮するには?4つの方法を紹介
EC運営でリードタイムを短縮するには、人材や設備を見直し、各工程の作業を効率化することが有効です。
リードタイムを短縮する取り組みとして有効なものを4つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
①入荷や出庫作業を効率化する
EC業務において、全体の作業の中でも入庫や出庫作業がかなりの割合を占めています。そのため、入庫や出庫作業を効率化することは、リードタイムの短縮に大きな効果をもたらすでしょう。後述する人員や使用機器の見直しを行うことが、入庫や出庫作業を効率化することにつながります。
②人員の整理や人材教育をする
リードタイムを短縮するには、各工程に最適な人数、最適な能力を持った人員を配置することが欠かせません。人員をむやみに増やしても、作業スペースの兼ね合いから、逆に作業効率を落とすこともあるため、ただ人員を増やせばいいわけではない点に注意しましょう。
また、適切な能力を持った人材が不足している場合は、人材教育を行うことも重要です。
③配送にかかわるネットワークを見直す
一般的に、EC事業者は配送を専門に行う配送業者に委託しているケースが多いでしょう。配送業者は、独自の配送ネットワークを構築しており、効率的な配送ルートを確保しています。
しかし、拠点の位置や数によっては、必要以上にリードタイムがかかっていることもあるでしょう。自社の商品の特性や拠点の位置などから、現在利用している配送手段が最も適切であるかをあらためて検討することが大切です。
④使用機器やツールを見直す
使用機器やツールを見直し、手作業で行っていた工程を機械化することで、リードタイムを短縮することが期待できるでしょう。新しい機器やツールの導入には、大きなコストが必要となりますが、リードタイムを短縮する以外にも以下のような効果が見込めます。
- ミスの削減
- 省人化
- 企業イメージの向上
- 機器の保守・運営費用の削減
EC業務を効率化する機器やツールは、多く存在しますが、自社が取り扱う商品の特性や事業規模に適したものを選ぶようにしましょう。
受注業務の効率化については「FAXは古い?受注業務を自動化するメリットやその方法を解説」の記事もご参考ください。
まとめ:ルーティンワークの自動化・効率化でリードタイムを短縮しよう
リードタイムは、収益に直接影響しうる要因であり、短縮するための工夫が求められています。そのためには、出荷や入荷などのルーティンワークを自動化し、効率化を図ることが効果的だと言えるでしょう。
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