化粧品ECが抱える課題とは?市場規模・成功事例を知って売り上げアップを目指そう!

さまざまな業界でEC化が進むなか、化粧品のEC販売を検討している方は多いと思います。しかし、化粧品ECは競合が多く、新規参入の難易度は決して低くありません。

そこで本記事では、化粧品ECが抱える現状の課題や市場規模を解説したうえで、サイト運営を成功させるためのポイントをご紹介します。

記事の後半では、化粧品ECの業務を効率化するためのECシステムもご紹介するので、化粧品ECを成功させたい方は、ぜひ参考にしてください。

化粧品ECの市場規模とEC化率

まずは、化粧品ECの市場規模とEC化率をみていきましょう。経済産業省が2023年に公表しているデータをもとに、それぞれ解説します。

国内化粧品ECの市場規模

分類2021年※下段:前年比2022年※下段:前年比
市場規模(億円)市場規模(億円)
化粧品、医薬品8,552(9.82%増)9,191(7.48.%増)
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」をもとに作成

国内化粧品・医薬品のECの市場規模は、2021年が8,552億円、2022年が9,191億円です。2021年は前年から9.82%増、2022年は前年から7.48%増と市場規模はわずかながら上昇しています。

しかし、化粧品・医薬品ECの市場規模が爆発的に伸びた実績はここ数年なく、生活家電や生活雑貨などの分類と比較すると、市場規模は低水準といわざるを得ません。

化粧品業界のEC化率

分類2021年2022年
EC化率(%)EC化率(%)
化粧品、医薬品7.52%8.24%
出典:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」をもとに作成

化粧品のEC化率は2021年が7.52%、2022年が8.24%とわずかながら上昇しました。しかし、ほかの業種ではEC化率が20%を超えているケースも多いので、化粧品のEC化率は決して高くありません。

これは、化粧品EC市場が抱える、さまざまな課題と関係しています。

化粧品ECのビジネスモデルは2種類

化粧品ECのビジネスモデルは、「総合通販型」と「DtoC型」の2種類に分けられます。それぞれのビジネスモデルを紹介するので、自社の商品に適したものを選びましょう。

総合通販型

総合通販型とは、セレクトショップのように複数の既存ブランドの化粧品を集めて販売する方法です。総合通販型の化粧品ECでは、@cosme(アットコスメ)が広く知られています。

このビジネスモデルのメリットは、最初から知名度のある化粧品を販売できることです。有名ブランドの化粧品を仕入れることができれば、売り上げが立つまでにさほど時間はかかりません。

しかし、有名ブランドの化粧品はすでに多くのECサイトや店舗で販売されているので、競合が多い点には注意しておきましょう。価格競争を意識して薄利多売になりがちなため、利益率はどうしても低くなってしまいます。

DtoC型

DtoC(Direct to Consumer)型とは、自社でオリジナルの化粧品を製造し、自社のECサイトで直接販売する方法です。代表例としては、DHCが広く認知されています。

DtoC型のメリットは、まったく同じ商品を取り扱う競合が存在しないことです。価格設定においても、他社の動向をあまり気にする必要がありません。また、ほかの化粧品にはない強みをアピールして差別化できれば、多くの顧客を獲得できる可能性があります。

しかし、オリジナルの化粧品は、認知されるまでに時間がかかるというデメリットが存在します。したがって、売り上げがなかなか立たず、苦しい時期が続くことも覚悟しなければなりません。そのため、まずはマーケティングに注力し、商品の認知を図ることが大切です。

D2C販売や自社ECを構築する方法について、以下の記事で紹介しておりますので参考にしてください。

化粧品EC市場の課題

化粧品EC市場には、市場規模の増加を妨げるさまざまな課題が存在します。以下で、それぞれの課題をくわしく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

実店舗で使用感を試したいニーズが高い

化粧品は、実際に使用しなければ、自分の肌に合っているかを確認できません。そのため、店舗に設置しているテスターで、使用感を試してから購入したいという方が多くいます。

したがって、使用感を確かめにくいECは、まだまだ利用率が低いのが現状です。今後化粧品ECの需要を高めていくためには、店舗に足を運ばなくても使用感を確かめられる「バーチャルメイクサービス」などを取り入れるとよいでしょう。

業界内の競争が激しい

化粧品は、ほかの業界と比較しても業界内の競争が激しい傾向にあります。とくに、化粧品のメーカーシェア率は大手5社がシェア率全体の約4割を占めていることから、新規参入の厳しさがうかがえるでしょう。

企業名2019年売上高(百万円)シェア
資生堂グループ370,73013.2%
花王グループ340,36012.1%
コーセーグループ205,8007.3%
P&G104,4203.7%
ポーラ・オルビス85,820 3.0%
ホーユーグループ71,3902.5%
ユニリーバ・ジャパン64,4452.3%
日本ロレアル59,7952.1%
ファンケル52,3001.9%
ディーエイチシー43,0001.5%
その他(2,990社)1,416,79050.3%
合計2,814,850100.0%
出典:経済産業省「化粧品産業ビジョン」より作成

一般的に業界内での競争を勝ち抜くためには、価格競争に勝つ必要があります。しかし、これから化粧品業界に参入する会社が大手化粧品会社に価格競争を挑むのは、現実的ではないでしょう。

そこで、化粧品業界の競争を制するためにも、デジタル技術を活用した販売戦略を組み立てることが有効です。ライブ配信を活用した商品の宣伝や、「オンライン」と「オフライン」の強みを組み合わせる「オムニチャネル」化を促進するなど、自社に適した施策を試してみましょう。

購入トラブルが多い

以下は、国民生活センターに寄せられた「化粧品をネットで購入した際のトラブル件数」を年度別にまとめたものです。化粧品は、定期コースで販売されることも多く、解約金関係のトラブルが多く寄せられています。

年度2020年2021年2022年
相談件数2,668件3,272件4,296件
出典:国民生活センター「化粧品の危害」より作成

多くの購入トラブルがあることから、ECサイトでの購入に警戒心を持つ消費者も少なくありません。

このようなイメージを払拭するためにも、ECサイト上で購入や解約に関する注意書きをわかりやすく明記するなど、クリーンなサイト運営が求められます。

新規参入の難易度が高い

前述の通り、化粧品業界は大手メーカーが業界シェア率の多くを占めており、新規参入の難易度は高くなっています。また、Googleのアルゴリズムでは大手メーカーの公式サイトやショッピングモールのページが上位に表示されやすくなっており、新規参入の自社サイトをGoogle検索の上位に表示させることもハードルは高くなっています。

そこで、新規参入の難易度を少しでも下げたいなら、以下の施策を検討してみてください。

  • 既存メーカーとの連携
  • インフルエンサーの起用

まず、既存メーカーとの連携が実現すれば、製造設備・技術・ノウハウなどを活用できます。既存メーカーのブランド力や販売チャネルを活かすことで、新規参入企業の知名度や信頼の獲得を早められるのがメリットです。

また、商品のプロモーションにインフルエンサーを起用すると、商品の認知度を効率よく高められます。

化粧品EC市場の成功事例

化粧品ECの成功事例を5つご紹介します。成功事例を参考に、自社に活かせるものは取り入れてみてください。

ファンケル

ファンケルは、1980年創業の化粧品・健康食品メーカーです。無添加商品を取り扱うなど、利用者の健康を第一に考える姿勢が高い人気を集めています。

同社の2023年3月期決算によると、売上高は前期比0.4%減の1,035億9,500万円でした。

店舗や海外販売の売り上げは、新型コロナウイルスの影響で落ちているものの、EC事業はその限りではありません。専用アプリの開発やLINEを活用したマーケティング施策の実施など、広告宣伝に力を入れることでEC事業は増収を実現しています。

新日本製薬

新日本製薬は、福岡県福岡市に本社を構え、化粧品・健康食品・医薬品などを企画・販売している会社です。主力商品である「パーフェクトワンシリーズ」を中心に、手軽にスキンケアを行える商品が注目されています。

また、同社はすべての製品を外部委託で製造しており、製品工場を保有していません。その分、商品の企画やマーケティングに注力し、順調に売り上げを伸ばしています。

2022年の9月期業績で公表している通信販売分野では、クッションファンデーションと「FOCUS」ラインのECの売り上げが伸び、361億700万円で着地しています。

オルビス

オルビスは、1985年に設立した化粧品メーカーです。研究開発とダイレクトマーケティングを得意としており、顧客の声を活かして商品を開発しています。

同社は、広告宣伝費を減らし、実店舗での接客販売とユーザーからのレビューといった口コミによって顧客を獲得しているのが特徴です。2018年には、ECサイトをリニューアルし、ユーザーの利便性を高めることで売り上げを伸ばしています。

再春館製薬所

再春館製薬所は、1932年創業の化粧品メーカーです。店舗販売は行っておらず、テレビ通販や現在ではEC販売にも力を入れています(新規顧客の約9割がオンライン経由)。

主力商品は「ドモホルンリンクル」で、売り上げの約9割を占めているのが特徴です。もともとは、コールセンターから見込み客に電話をかける「アウトバウンド」による販売を中心に行っていました。しかし、電話営業が強引だと問題視されるようになると、1990年以降は広告中心のインバウンドセールスに転換します。顧客満足度を高めるべく「インバウンド」のビジネスモデルに方向転換したことが、再春館製薬所の飛躍のきっかけといえるでしょう。結果的に顧客満足度は向上し、売り上げの9割以上はリピート客で構成されています。

また、2000年から自社ECを開始し、現在はAmazonやYahoo!ショッピング等にも出店しているものの、EC売上の98%は自社ECであり、自社ECだからこそできる手厚いサポートを行っているようです。

2023年3月期の通信販売事業の売上高は235億円となっています。

※参考:「再春館製薬所、「人の力」を活用しEC事業強化 『ドモホルンリンクル』の継続率を支える”肌のコンシェルジュ”」ネット経済新聞

ザボディショップ

ザボディショップは、イギリス生まれの自然派化粧品ブランドです。日本でザボディショップの商品を販売しているザボディショップジャパンは、2005年からECショップにて化粧品の販売を行っています。

ECサイト運営を始めた当初は、担当者の“勘”を頼りに在庫の分配を行っていたため、在庫の持ちすぎや、在庫切れなどのチャンスロスも発生していたそうです。その後受注管理システムを導入し、受注管理業務を効率化したことで、考える時間・手を動かせる余裕が生まれ、施策の実行スピードを上げることができました。システム導入後は2桁の成長率で売り上げを伸ばしています。

実店舗が全国で110店舗(2019年時点)あるなか、今後もECと実店舗どちらを重視するかではなく、お客様にオンラインとオフラインをいかに意識しないで商品を購入してもらえるかに重きをおいて、環境を整えていくそうです。

化粧品ECで売上アップを図るためのポイント

ここでは、化粧品ECで売り上げアップを図るためのポイントを5つご紹介します。

バーチャルメイクサービスを取り入れる

バーチャルメイクサービスとは、AIやAR(拡張現実)の技術を活用し、ユーザーの顔にまるで本物のメイクを施しているかのように見せるサービスのことです。ユーザーは、希望の化粧品を選び、自分の顔をアップロードすることで、Web上で化粧品の使用感を試せます。

このバーチャルメイクサービスを自社のサイトに取り入れれば、化粧品ECの課題である「実店舗で使用感を試したい」という問題を解決することが可能です。

リピーターを増やす

新規顧客獲得に注力し続けることは、広告宣伝費を圧迫するので、あまり賢い選択とはいえません。逆に、リピーターを獲得できれば、安定した売り上げを確保できるので、全体的な売り上げも伸ばしやすくなります。

リピーターを増やす方法としては、定期購入サービスの導入がおすすめです。化粧品は毎日使用するものなので、一度気に入れば継続して使う可能性も高く、お客様としても都度購入しに行く手間も省けるため、顧客満足度もアップするでしょう。

SNSを活用する

自社ECサイトの集客を行うためにも、SNSの活用は必須です。SNSは、ターゲット層へのリーチ力と拡散力が高く、商品やサービスの認知度を効率よく高められます

具体的には、X(旧Twitter)やInstagramを活用して、サイトや商品の宣伝、キャンペーン情報の告知を行うとよいでしょう。

インフルエンサーとコラボする

化粧品の認知度を広げるための方法として、インフルエンサーとコラボするのも有効です。すでに多くのファンを獲得しているインフルエンサーに自社の化粧品を紹介してもらえば、認知度を爆発的に広められる可能性があります。

近年では、ショート動画で手短に紹介するケースが主流になりつつあるので、ぜひ取り入れてみてください。

公式サイトを充実させる

公式サイトを充実させることは、ユーザーの利便性アップにつながるので、結果的に売り上げの増加をもたらします。具体的には、以下の施策が有効です。

  • 商品の口コミやレビューを掲載する
  • 化粧品の使い方や組み合わせ方を紹介する
  • 顧客の購入履歴や閲覧履歴を分析して、おすすめ商品を表示する

実際に、大手化粧品メーカーのコーセーは、メイク投稿コンテンツの配信を行うことで大きな注目を集めています。

オンライン接客をする

オンライン接客とは、店舗で美容部員が行っている「化粧品に関するアドバイス」のオンラインバージョンです。実際に、大丸松坂屋百貨店が展開する「DEPACO(デパコ)」では、美容部員がビデオチャットにて1対1のカウンセリングを実施しています。

オンライン接客を導入することにより、今まで店舗で化粧品を購入することにこだわっていた方でも、気軽に化粧品ECを利用しやすくなります。

ECの売り上げや集客を伸ばす方法については、以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ:化粧品ECで売り上げアップを目指そう!

化粧品ECは、商材の特性や実店舗の利便性との差などの理由から、ほかの分野に比べると市場規模は低いのが現状です。

しかし、バーチャルメイクサービスやオンライン接客など、新たな施策に挑戦する事業者も増えています。

また、化粧品ECではリピーター獲得が重要なポイントとなっていきますので、これから化粧品ECを運営しようと検討されている方は、本記事で紹介した成功事例や売り上げアップのコツを参考に、さまざまな施策を取り入れてみてください。

化粧品ECの運営を効率化するなら「ネクストエンジン」の導入を

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など。

成功事例でもご紹介したザボディショップ様はネクストエンジン導入後、運営人員の削減に成功しています。また、システム操作が容易な点にも魅力を感じていただけているので、業務が属人化することを懸念されている方も導入を検討してみてはいかがでしょうか。

さらに詳しくは以下の記事もご覧ください。

なお、「ネクストエンジン」は、2023年6月よりサービス料金を改定し、基本料金が安くなりました。月3,000円の手軽な料金でご利用いただけるようになったため、小規模事業者やECサイト運営を始めたばかりの方にもおすすめです。

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