
一度申し込めば、指定したタイミングで商品が自動的に届く──
楽天市場の「定期購入」サービスは、ユーザーにとっての利便性はもちろん、店舗にとっても売上の安定化や利益予測のしやすさといった大きなメリットがあります。
そして2025年3月末、この定期購入サービスが大規模リニューアルを実施。
今回の改修により、これまで導入をためらっていた店舗やユーザーにも使いやすくなり、売上アップに直結する可能性が広がります。
本記事では、楽天定期購入の基本からリニューアルの背景、変更点、そして売上を伸ばすための具体的な活用ポイントまで、わかりやすく解説します。
楽天の定期購入とは
楽天市場の定期購入とは、同じ商品をユーザーの希望に合わせて継続的にお届けする販売方法です。
一度申し込みをすれば、あとは指定した間隔で自動的に商品が届く仕組みになっており、特に日用品や消耗品などのリピート需要がある商品との相性が抜群です。
仕組みとしては、販売店舗があらかじめ定期購入に対応させたい商品を設定し、ユーザーがお届け間隔や開始日などを選んで申し込みます。
申し込みが完了すると、あとはそのスケジュールに沿って自動的に注文が確定し、商品が発送されるという流れです。
「リピート率を上げたい」「もっと安定した売上を作りたい」と考えている店舗にとって、楽天市場の定期購入はまさに今、活用を検討すべき仕組みだと言えるでしょう。
楽天の定期購入に向いている商材・向いていない商材

定期購入に適した商品には、以下のような共通点があります。
・定期的な購入が必要な消耗品
・詰め替えやリピートが前提の商品
・使い続けることで効果を実感できる商品
ユーザーが「気づいたら無くなっている」「常にストックしておきたい」と思うような商品は、定期購入と非常に相性が良いと言えます。
向いている商材
楽天市場で定期購入に向いているとされる代表的なジャンルは以下の通りです。
・飲料・食品(ミネラルウォーター、米、レトルト食品など)
・日用品(洗剤、ティッシュ、トイレットペーパーなど)
・化粧品・スキンケア用品
・ベビー・ペット用品(おむつ、フードなど)
・健康食品・サプリメント、ヘルスケア用品
中でも化粧品や健康食品は、「効果を実感するには継続が必要」「買い忘れると困る」という特性から、定期購入による訴求がしやすく、単価も高めのため利益面でもメリットが大きいとされています。
向いていない商材
一方で、以下のような商品は定期購入にはあまり向いていません。
・高額で購入頻度が低い商品(家電や家具など)
・嗜好性が高く、気分や季節で需要が変わる商品(お菓子、雑貨など)
・セールによって価格が頻繁に変動する商品
これらの商品は、ユーザーが定期的に同じものを購入するニーズが少なく、「定期的に届く」こと自体が不便になってしまう可能性があります。
楽天の定期購入のメリット

楽天市場の定期購入は、ただ売れるだけでなく、“継続して売れ続ける仕組み”をつくれることが最大の魅力です。
特に2025年のリニューアル以降、その導入・運用ハードルが大きく下がり、今あらためて注目が集まっています。店舗にとっての主なメリットは、次の4つです。
① 売上が安定し、リピート率が向上する
定期購入は、一度申込みがあればその後は自動的に注文が繰り返される仕組みです。
ユーザーの買い忘れが減るため、リピート率が高く、単発のプロモーションに依存せず売上を積み上げられるのが最大の強みです。
特に消耗品や定期的な使用が前提の商品には、長期的に継続される傾向があります。
② 運用の見通しが立てやすく、経営の効率化に貢献
定期購入は、ユーザーごとの注文サイクルが可視化されるため、売上予測・在庫計画・出荷スケジュールの精度が格段に向上します。
登録件数や解約率から将来の売上動向も読みやすく、安定した経営計画の立案が可能に。
さらに、過不足ない在庫確保で物流・保管コストも最適化され、経営全体の効率アップに寄与します。
また、継続購入を通じてユーザーとの関係性が深まり、LTV(顧客生涯価値)の向上やファン化にもつながります。
③ 登録・運用コストゼロで、売上の柱を育てられる
2025年3月のリニューアルにより、定期購入の申込手続きや月額利用料が完全無料化されました。
これにより、初期コストや固定費を気にすることなく導入でき、小規模なテスト運用や一部商品のみの展開も気軽にスタートできます。
さらに、運用にかかる手間も大幅に簡素化されており、コストをかけずに売上の柱を育てられる点は、大きな魅力です。
④ ポイント負担の見直しと、SPU対応で利益と販促を両立できる

ポイント負担は初回のみ高倍率が適用され、2回目以降は自動で1倍に調整されるため利益率が安定し、かつ店舗の負担は軽減できます。
さらに、2025年4月からは定期購入がSPU対象となり、ポイントアップによる販促効果も期待できるため、集客・CV率の向上につながります。
これにより、ユーザーへのアピールポイントが増え、定期購入の利用者を増やすチャンスにつながります。
楽天定期購入利用時の注意点
① 決済方法の制約
定期購入を導入する際は、「どの決済方法に対応するか」が大きなポイントになります。
なかでもクレジットカード決済は、自動で引き落としが行えるため、最も定期購入と相性が良い決済手段です。
一方で、楽天バンク決済・代金引換・コンビニ決済といった“都度決済”が必要な方法も利用できますが、購入ごとに手間がかかるため、定期購入の利便性が損なわれやすくなります。
特に、クレジットカードを持っていないユーザーには利用ハードルが高く、未払い・支払い遅れのリスクもあるので、店舗側はメルマガや同梱物でクレジットカード払いへの切替を促す工夫が必要です。
② セール時の価格設定と販売戦略に注意
定期購入を導入する際は、通常販売との価格のバランスや販売戦略に注意が必要です。
楽天市場では、「楽天スーパーSALE」や「楽天大感謝祭」などの大型セールが頻繁に開催されます。
そこで定期購入より安い価格で同じ商品を販売してしまうと、定期で買うメリットがないと感じたユーザーが解約してしまうリスクがあります。
特に2025年の制度変更以降は、定期購入価格を通常購入価格より5%以上安く設定することが必須となっており、価格設計にいっそうの工夫が求められます。
また、楽天市場のランキングシステムは短期間での売上急増を重視する仕組みのため、定期購入のように継続的に安定した売上が出る商品はランキングに反映されにくいという特性があります。
加えて、定期購入ユーザーはセール期間中の購入活動に参加しないことも多く、ランキング上昇や短期的な販促成果を出しにくい点も注意が必要です。
③ 顧客獲得には時間がかかる傾向も
定期購入は、一度契約すると「自由にやめづらい」「次回も自動で届く」というイメージから、ユーザーが慎重になる傾向があります。
そのため、通常購入と比べて顧客獲得までに時間がかかることもあります。
このハードルを下げるには、
・初回限定の割引
・おまけやプレゼントの同梱
・いつでも解約可能な仕組み
など、まず試してみようかなと思ってもらえる仕掛けが効果的です。
また、定期購入の利点(手間の削減・お得な価格・買い忘れ防止など)をしっかり伝えることも大切です。
“しばり”ではなく“便利な選択肢”として受け入れてもらう視点が成功のカギとなります。
④ 解約しやすいため、継続利用の工夫が必要
楽天市場の定期購入には契約期間の縛りがないため、ユーザーの判断でいつでも解約が可能です。
これはユーザーにとって安心材料である一方で、店舗側にとっては一度獲得したら安定売上が見込めるというわけではありません。
長く利用してもらうためには、
・商品自体の品質や満足度の向上
・サンプルやメッセージカードなどの付加価値提供
・購入後のフォローメールや同梱物による継続的なコミュニケーション
といった工夫が求められます。また、解約理由で多いのが「商品が余ってしまった」という声。
使用頻度の目安や使い切るコツの案内、スキップ・お届け頻度変更などの機能説明を丁寧に行うことで、継続率アップにもつながります。
楽天定期購入の始め方と料金

料金
2025年3月のリニューアルにより、楽天市場の定期購入サービスは月額利用料が完全無料になりました。これまで「毎月費用がかかるのはちょっと…」と導入をためらっていた店舗も、気軽にスタートできる仕組みに変わっています。
ただし、サービス利用にあたっては通常のシステム利用料に加えて+2%の手数料が発生します。
売上に応じた課金体系なので、導入時に大きなコストはかかりませんが、利益率とのバランスを見ながら活用していくことがポイントになります。
商品登録が簡単になり、申し込み不要でスムーズに導入可能に
2025年3月のリニューアル以降、楽天市場の定期購入サービスは利用申し込みが不要となり、すぐに導入できるようになりました。
商品登録の手順もシンプルになっています。通常の商品登録画面に「定期購入」タブが統合されており、
・「定期購入」の設定を「設定する」に変更
・定期購入価格を入力
以上を行うことで、定期購入商品の登録が完了します。
登録画面は通常商品と共通なので、ひとつの画面で両方の商品をまとめて管理できるのも便利なポイント。
さらに、商品画像は最大20枚まで登録可能となり、より訴求力の高いページ作りも可能になりました。
なお、定期購入商品は通常購入商品とセットでの登録が必須です(定期購入専用商品のみの販売は不可)。
また、楽天市場のルールにより、定期購入価格は通常価格より5%以上安く設定する必要があります。
▼楽天市場の商品登録については以下の記事で詳しく紹介しています。
導入のハードルが下がったことで、定期購入を活用した売上の積み上げを図るチャンスが広がっています。
楽天定期購入のまとめ
楽天市場の定期購入は、「継続して売れ続ける仕組み」をつくれる販売手法として、今あらためて注目を集めています。
2025年のリニューアルにより、月額利用料が無料になり、商品登録の手順も簡素化されたことで、これまで導入をためらっていた店舗でも取り組みやすい環境が整いました。
とくに、リピート性の高い日用品や化粧品、健康食品などを扱っている店舗にとっては、売上の安定化やLTV向上を目指すうえで、大きな武器になるはずです。
一方で、価格戦略や決済方法、解約率対策といった点には注意も必要です。
定期購入ならではの運用上のポイントをきちんと理解し、適切に対応することで、継続率の高いユーザーを育てていくことができます。
導入自体のコストが抑えられるいまこそ、まずは一部の商品から試験的に定期購入を始めてみるのもおすすめです。
「在庫を切らさず届けたい」「お得に継続利用してもらいたい」そんなニーズに応える手段として、楽天定期購入をうまく活用していきましょう。
楽天定期購入の成功のカギは継続できる運用体制

楽天市場で定期購入を導入すると、通常の注文に加えて「定期的な受注処理」や「在庫の引き当て」など、新たな業務が発生します。
- 売上は伸びているのに処理に時間がかかる
- 在庫の引き当てミスが増えて不安
といった課題に直面する店舗も少なくありません。
こうした運用の負担を軽減し、無理なく定期購入を続けていくためには、効率的な業務体制の構築が不可欠です。
仕組みを始めて終わりにせず、顧客対応や在庫管理を含めて継続できる体制を整えることが、成功への第一歩です。
そこでおすすめしたいのが、EC一元管理システム「ネクストエンジン」の活用です。
楽天市場の定期購入にも対応しており、受注・在庫管理の自動化や業務効率化をサポートします。
その他、主な機能は以下のとおりです。
・在庫の自動引き当て・一元管理
・商品情報の一括登録・更新
・倉庫システムとの連携
・ステータスごとの自動メール送信 など
料金は初期費用なし・月額3,000円+受注件数に応じた従量課金制。
月200件までは従量課金なしで利用できるため、これからECを始める方にも始めやすい料金体系です。
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