Shopifyで月商1000万円以上を目指すための施策

この記事では、Shopifyを活用して自社ECをゼロから立ち上げ、月商1000万円を果たすまでに成長させる施策を紹介します。グロースモデルの詳細は、2022年3月17日(火)に開催されたEC Growth Day「月商1000万へのグロース戦略とそれを支えるオペレーションの構築」内で語られたStoreHero社CEOの黒瀬淳一氏の講演内容をもとにしています。同セミナーの「コマースメディア井澤氏が語る ECの成長支えるオペレーション構築とは」の記事はコチラ

EC事業立ち上げ時に注力しておきたい準備

1000万まで稼げるEC事業を展開することを目指すなら、立ち上げ時から販売戦略を練ることが必要です。具体的には、「誰に」「何を」「どのように」販売するか、念入りに検討すること です。

「誰に」:商品を買ってくれそうな人物像を明確に

自分のECサイト(ストア)に来てくれそうな顧客像はできるだけ明確にしておきましょう。ペルソナを意識して、顧客のニーズを把握します。ターゲットがなぜ買ってくれるのか、その理由を理解していれば、施策を立てやすくなるからです。お客さんを徹底調査して、「買ってくれる理由」が腑に落ちるまで理解しましょう。

顧客のニーズを把握しづらい時には、試験的にLP(ランディングページ)を作成して反応をテストしてみたり、アンケートを実施して、顧客理解を深めておきましょう。SurveyMonkeyなどのサービスを利用すれば、低コストで市場調査やアンケートを実施できます。

ストアを作って売り出す前に、ここをしっかりやっておくことが失敗を少なくできるポイントです。

「何を」:ターゲットが欲しがる商品を取り扱う

「誰を」で買ってくれる理由をしっかり理解した上で、フィットする商品を考えます。この際、ゼロから考えるのではなく、商品のアイデアがあれば、AmazonやAliExpressなどの大手ECサイトで検索することで、商品価格の相場やクチコミ情報、類似商品の有無などの販売状況は簡単に確認できます。また、顧客として実際に商品を購入してみれば、カスタマーサポートや梱包状態も確かめられます。

取り扱う商品の選定には、商品特性からの判断も必要です。ニーズはあっても、自社ストアでの取り扱いには向かない商品もあるからです。例えば、コンビニで簡単に手に入る商品なら取り扱っても苦戦するでしょう。大きなサイズや重い商品は配送料がかさむので、販売利益に影響します。自社ECをわざわざ運営する大きな理由のひとつはリピートを抱えられることなので、リピーターを見込めるか否かも重要な判断材料になります。

取り扱う商品はストアの要なので、ここでの準備の手間は惜しまないことが重要で、のちに大きく影響してきます。

「どのように」:顧客イメージと商品が決まれば、販売戦略は自然と決まる

「誰に」と「何を」が決まれば、その商品を売りやすいスタイルは自然と定まります。もし「どのように」が自然に決まらないなら、「誰に」と「何を」がぼやけている可能性があるので、立ち戻ってみましょう。

事業計画がなければストア構築の予算も決められない

自社ECの場合は、自然に売上が立つことはほぼないので、「必要なコストと工数」を管理しながら、「売上をつくる」ために必要な施策を検討し、そのための事業計画を立てましょう。この事業計画が、軌道に乗るまでの運営基準になります。売上に対してどのくらい販売費用や広告費用をかけられるかが決まってくると、おのずとストア構築にかけられる費用も決まってきます。

ストア構築はシンプルに

Shopifyは機能が充実していて、カスタマイズ用の拡張アプリも豊富です。しかし、最初は必要最小限の機能だけで構成したシンプルなストアづくりをお勧めします。

ストア立ち上げ直後は、運用面での試行錯誤が必要です。最初から複雑な機能を盛り込んでしまうと、仕様を変更しづらくなります。「必要に応じて必要な機能を追加する」くらいの気持ちで、シンプルなストアをシンプルに運用することから始めたほうが、Shopifyを有効活用できます。ネクストエンジンなどの受注管理システムやWMSなどの連携するシステムなどとも簡単に連携できたりもするので、あまり作りこみすぎないほうがShopifyのメリットを享受できます。

月商300万円達成までは、デジタルマーケティングの基本を愚直に実践

自社ストアを立ち上げてからは、「売上獲得」「見込み顧客獲得」「新規集客」の3つの柱を軸に、バランス良く最適化しながら運用を続けていきます。

売上が継続して月300万を超えるまでは「売上獲得」が最重要項目です。デジタルマーケティングの基本施策をコツコツと実践しながら、安定した売上獲得を目指しましょう。具体的には、次のような施策です。

出典:StoreHero

喜んでくれそうな人にDMで売り込み

メルマガ機能などを利用してキャンペーンや商品の提案をお知らせするDM営業は、自分発信のクチコミです。手間はかかりますが、地道にコツコツと続けていると顧客と良い関係を築いてフィードバックを得やすくなったり、ファンの輪が広がるきっかけになったりするので、ぜひ実施してみてください。

広告予算が用意できない初期段階では、最もコンバーションレート(CVR、成約率)が高い施策だけに、DM営業で売れなかった場合は、商品や顧客リストを見直した方がいいでしょう。

アフィリエイターを独自に開拓

Google検索上位のブロガーや良質な発信をしているアフィリエーターを探して売り込みをかけるなど、自分でアフィリエイト開拓する手も有効です。大手のASP にお願いするより手間はかかりますが、トータル工数は抑えられます。

Shopifyでは、GoAffproなどのASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)を介さずに、自社でアフィリエイトプログラムができるアプリが使えます。

Google広告・Facebook広告・Instagram広告でアピール

ストアの存在をアピールするためには、インターネット広告が有効です。代表的なところでは、Google広告、Facebook広告、Instagram広告などがあります。

Google広告は、商品があれば買いたいと思っている顕在層の顧客開拓に有効です。調整項目が豊富なので、広告の予算やターゲットに応じて自由にカスタマイズできます。工夫次第で成果が出やすい広告です。

Facebook広告やInstagram広告は、写真を有効活用して商品の魅力をアピールできるので、潜在層の開拓だけでなく、売上重視の運用も可能になります。事前にSNSをチェックして、オーディエンス(見込み顧客のリスト)を設定しておきましょう。

Facebook広告ライブラリを活用すると、競合他社がFacebook内でどのような広告を出しているのか確認して、参考にすることができます。

LPを最適化

広告の効果を高めるには、最適化されたLPの活用が重要です。特に、Facebook広告では最適化されたLPを経由すると、コンバーションレートも購入率も上がる傾向があります。

このとき、訪問ユーザーの行動を分析したり可視化できるツールを活用すると、LPの広告効果を客観的に把握できます。代表的なツールで、Shopifyの拡張アプリとして連動して使えるのはlucky orangeやhotjarなどです。

オーディエンス、広告の内容、LPをマッチさせても売上につながらない場合は、最初の「誰に」「何を」「どのように」の段階から見直した方がいいかもしれません。こうした試行錯誤の立て直しをする可能性もあるので、最初のストア構築はシンプルにすることをお勧めしています。

説得力を増すコンテンツで、売上を底上げ

他の人からの評判は、購買意欲をかき立てます。メールや広告での訴求と並行して、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の権威性を活用しましょう。コンテンツを充実させるほど、説得力の補完になります。SNSやブログ、掲示板、YouTubeやInstagramなどの各種ソーシャルメディアで情報を発信するほか、他のユーザーからの感想やコメントを収集すれば「ユーザーの声」として活用できます。

顧客リストをセグメント分けして、ピンポイントで提案メールを送る方法も有効です。もちろん、提案する内容はセグメントごとに分けます。Shopify拡張アプリのKLAVIYOを利用すると、「商品ページの閲覧回数が多い」「カートに商品を追加している」「クーポンを所持している」など、ユーザーのセグメントを分類して提案メールを送ることができます。

月商1000万円を目指すなら顧客との関係性を大切に

月商300万の売上を達成し、さらなる高みとして月商1000万への成長を目指すなら、「新規集客」と「見込み顧客の獲得」に力を入れていく必要があります。

出典:StoreHero

見込み顧客を獲得するために集客チャネルを広げる

集客を広げるとコンバージョンレートは悪くなるので、「見込み顧客」を呼び込んだり、時間をかけて関係性を育てていく意識が大切です。これまでの注文データを分析してみると、確保したい集客対象が見えてきます。

新たな見込み顧客は、これまで広告成果の出ている流入元から、少し広めに集める方法がやりやすいでしょう。Google広告の内容を見直して条件を調整してみたり、CV獲得ができているキーワードの上位サイトを狙って、アフィリエイト広告を持ちかける手もあります。

他にも、クラウドファンディング形式で商品訴求すれば、売上獲得と同時に見込み顧客も獲得できます。MakuakeやCAMPFIREのような既存プラットフォームを利用するだけでなく、「Crowdfunder」などのShopifyの拡張アプリを活用すれば、自社ストア内でもクラウドファンデングを実施できます。

無作為に集客を広げるのではなく、ライフタイムバリュー(LTV、顧客生涯価値)の高い見込み顧客を獲得できるような施策を重ねていくことが大切です。

ストアに来てくれた訪問客をつなぎ止めるためのCRM

きめ細やかなCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)を心がけて、顧客と良好な関係を構築、維持していくことも重要です。

例えば、Shopifyと連携してストア運営をサポートしてくれる「ネクストエンジン」を活用すれば、注文内容に応じた特記事項をメールで伝えることができます。過去の購入傾向から商品のコーディネイトやお得なセット販売を提案したり、まとめ買い用のクーポンを発行するようなアクティブな活用もできます。

顧客のニーズに適した商品を提案するパーソナライズ販売も有効です。このとき、オンライン診断ツールを使うと見込み顧客のデータも収集できます。診断結果に応じたオススメ商品を提案しつつ、回答データを蓄積することで、見込み顧客への提案制度を高めることができます。

月1000万円の売上が視野に入るくらいの頃は、リスト化された顧客の数も、いろいろな施策を試したことによる知見も増えているはずです。「新規集客」「見込み顧客獲得」「売上獲得」の三つの柱に対して、バランス良く対策を講じながら運用を続ければ、着実に成長を続けられるでしょう。

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【講演者】
StoreHero  Co-founder & 代表取締役CEO 黒瀬淳一氏
筑波大学卒業、神戸大学大学院修了後、(株)アクシイズに参画。取締役としてSaaSの開発/販売に従事し、同社を売却。その後、(株)インターネットインフィニティ、(株)チームスピリットに参画し、事業開発、営業/マーケティングを担当し、その後、同社はそれぞれ上場。Ginzamarkets(株)のカントリーマネージャーを経て2019年、(株)StoreHeroを創業。https://storehero.io/ja/


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