コマースメディア井澤氏が語る ECの成長支えるオペレーション構築とは

この記事では、ECサイトのオペレーションで抱えがちな課題と、OMSを導入するメリットについて紹介します。内容は、ECサイトの構築から運用までの総合的な支援を手掛けているコマースメディア株式会社代表取締役の井澤孝宏氏による講演(※)に基づいて構成しています。同セミナーの「Shopifyで月商1000万円以上を目指すための施策」の記事はコチラ

※2022年3月17日(火)開催のEC Growth Day「ECの成長を支えるオペレーションの構築とは」

多くのEC事業者が抱える課題

――EC事業者のトータルサポートを手掛けてきた井澤さんから見て、EC事業者さんが頭を悩ませがちな課題は何ですか。

EC事業者を悩ませる課題は「販売促進」と考えられがちですが、それより大きな課題は「運営」にあります。具体的に言えば、現場のオペレーションが最適化されていないため、日常業務をこなす人手や時間を取られて、身動きが取りづらくなっているのです。

その結果、販促活動にまで手が回らない、売上を伸ばしたくても伸ばせないという悩ましさを感じている事業者は少なくありません。実際、大手ECでも現場が疲弊しているので、成長が頭打ちにならざるを得ないと頭を抱えていたりするのです。

売上規模が大きくなったECがオペレーションで苦労する理由

――なぜ、それほどまでに現場が疲弊することになるのですか。

ECサイトの運営には、商品のマーケティングに関わるフロント業務(商品企画、仕入・製造、サイトの更新、販促プロモーションなど)と、商品が売れた後に発生するバックエンド業務(受注処理、在庫管理、出荷、配送、問い合わせ対応など)があります。

商品が売れる数が増えるほどバックエンド業務の処理が増大するので、売上規模が大きくなれば負担も大きくなります。さらに多店舗展開をすると、それぞれのストアで受発注処理をして、出荷作業を行ない、問い合わせもバラバラに対応しようとするので、時間も人手もとられて疲弊してしまうのです。

近頃は、ネクストエンジンを筆頭にOMS(Order Management System/オーダーマネジメントシステム)と呼ばれる、EC向けの一元管理システムが数々登場してきたこともあり、改善傾向にはあると思います。

オペレーションに関する情報が少なすぎる

――店舗が拡大してから、運営の大変さに直面しているのですね。その前にオペレーションを整えることはされないんでしょうか。

オペレーションまわりの情報が少なすぎるのです。参考になりそうな事例や最適解が分からないので、自分たちのやり方が正しいのか模索するしかないという現実があります。

EC事業に関するセミナーも増えていますが、売上アップのためのセミナーやマーケティング関連のセミナーは多いのですが、オペレーションをどのように回すのか情報を共有するためのセミナーはまだまだ少ないです。

――オペレーションが課題だと気付いた方たちは、どのように改善を図っているのですか。

さまざまなOMSを実際に試してみながら、自分が運営しているECに合うか合わないかを取捨選択していくパターンが多いですね。オペレーションの限界が見えた時点で、助けてくれるパートナー様を探して課題に気付くパターンもあるようです。

EC運営の最適解は一つではありません。取り扱う商品のジャンルに寄っても異なりますので、まだまだ改善できる余地は多いという印象です。

1店舗経営ならOMSはいらないは本当?

――自社ストアのみを経営されている方、特にShopifyのように拡張性の高いプラットフォームを使っているなら、OMSは導入しなくてもいいんじゃないかという疑問もありますが。

1店舗運営の場合でも、月商300万円の場合と、月商1000万円の時とでは、オペレーションが大きく異なります。在庫が増えた結果、倉庫を変えないといけなくなることもあります。OMSが導入されていないと、そうしたイレギュラーな対応に耐えられず、オペレーションの組み直しで時間を取られたりするのです。

我々の支援スタイルは売上アップをサポートすることなので、経営する店舗数に関わらずOMSでの運用をお勧めしています。時間と人手を効率良く活用するには、早い段階でOMSを導入しておいたほうがメリットが大きいからです。

月商1000万円ならではのオペレーション対応

――月商1000万円を超えるようなECの運用では、どのようなオペレーションが必要になり、どのような対策を講じたら良いのでしょう。

顧客対応の一元化でミスを回避

お勧めしているのは、大きく分けて2つの一元化です。1点目は顧客対応の一元化です。月商1000万レベルのECは受注数が多くなる分、問い合わせ対応も増えます。総じてミスを呼び込みやすい状態になるので、ミスをどれだけ回避するかが重要になります。

多店舗展開していると、問い合わせ内容が販売サイトではないところから来ることがあるんですね。楽天で販売したものが自社ストアの問い合わせにくるとか。店舗ごとにチームを分けたオペレーション構築をしていると、こうした問い合わせの対応が漏れてしまうことがあります。

そこで、問い合わせが一元管理できるツールを導入して、カスタマーサポート全体をまとめて管理することを勧めています。代表的な顧客対応ツールは、メールディーラー(Mail Dealer)やリレーション(Re:lation)、ShopifyアプリだとZendeskなどです。

在庫受注の一元化で大幅な効率アップ

もう1点は、受注管理、在庫管理の一元化です。特に多店舗展開している場合は、どこかの店舗で商品が売れたら、他の店舗の在庫数も減らす必要があるし、入庫情報を更新しないといけません。こうしたオペレーションを確実に効率良く行なうことが大切です。

OMSを導入すると、こうした処理が少人数で管理できるようになります。1企業で8店舗展開しているお客様の例で言えば、OMSを導入して受注や在庫の管理を全店舗連携した結果、店舗別に専任者を配置する必要がなくなり、運営に携わっている人数は2人のみだといいます。

――効率的に管理できるだけでなく、人件費のコスト削減に直結するわけですね。

大きく効果が表れるところですね。現状では、月商1000万円規模のECは3~4人でオペレーション対応されていることが多く、人件費で利益が相殺されてしまうパターンも少なくありません。OMSを導入することで人件費が半減され、しっかりと利益が出せるオペレーション体制になります。

もともと少人数でオペレーションを回している場合も、OMSを使えば大幅な効率化が図れます。

例えば、商品が売れた後に必要な業務を考えると、受注データをダウンロードして、倉庫に情報を送って出荷を指示し、お客様には出荷完了メールを出すという、いくつもの処理が発生します。これがOMSを利用すると、一度のオペレーションで出荷の準備処理が完了します。データが連携されているので、多店舗展開していても同様です。時間を有効に活用できるだけでなく、人為的なうっかりミスも回避できるわけです。

コスト削減のつもりが、絶好の機会を失うことに!?

――OMS導入をためらう事業者さんは、どのようなデメリットを感じているのでしょうか。

「自分でできるのに、OMSの利用料を払うのはもったいない」というコスト意識が一番ですね。ただ、将来的な成長を考えるなら、できるだけ早い段階でOMSを導入しておいたほうが、むしろコストは有効活用できると思います。

運営のオペレーションにかける時間と人手を効率化して、いい商品の調達や販促活動を充実させたほうが、売上アップにつなげやすいからです。

例えば、キャンペーン運営です。楽天だったらスーパーセールやお買い物マラソンなど、年間を通じていくつも開催されるセールイベントがあります。売上アップに直結する機会ですから、やはりキャンペーン向けの商品企画ページを作ったり、メルマガを出すなどの販促活動をしたいところです。日常に追われて何の手も打てなければ、みすみす機会を失うことになりかねません。

――人材の有効活用を考えたら、システムの利用料は十分ペイできるということですね。

コストよりも、人という資産をどのように活用していくかで考えた方でいいと思います。少なくとも、OMSは煩雑になりがちなオペレーションを改善し、現場の皆さんを元気にできる仕組みだと思うので、検討する価値はあるといいと思います。

ECを大きくしたいならOMSの早期導入を

――OMSを導入するタイミングは、どのあたりが適切なのでしょうか。

ECを大きく成長させたいのであれば、初期段階から導入することが理想です。

手動オペレーションの場合、1人でできる限界値は月商300万までと聞いたことがあります。受注単価5000円だとして出荷数で計算する600件。月に20営業日だとすれば、1日あたり30件。それを超えてくると、人手に頼るオペレーションはかなり大変です。

OMSを導入する最大のメリットは情報の一元管理による効率化です。少人数でも効率良く現場を回せる仕組みを早いうちに作っておくことで、売上が伸びてもびくともしない組織体になります。

――数あるOMSの中で、ネクストエンジンならではの優位性はどこにありますか。

対応しているプラットフォームが一番多いことですね。しかも、海外ECへの対応、いわゆる越境ECができるのはネクストエンジンしかありません。これから国内だけでなく海外展開も考えているのなら、国内配送と海外配送が一つのOMSで一元管理できる点も見逃せないと思います。

――OMS以外にも、WMSなどの管理システムはどのように使い分けたらいいですか。

WMS(Warehouse Management System/倉庫管理システム)は商品の入出庫管理、主に倉庫まわりを得意とするシステムです。OMSは受注管理を得意としていますが、WMSの機能も内包して一元管理できるシステムもあります。さらに、先述した問い合わせが一元管理できるツールを組み合わせるのが、ECの事業体として理想的なシステム構成でしょう。

まず、一番大事なのは、すべての情報を一元管理していくことです。それから外れるものは極力少なくしていく。そういった思想でオペレーションを組んでいくと、非常に売上あがったあとも耐えれる組織になります。

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【講演者】
コマースメディア株式会社 代表取締役 井澤孝宏氏
Shopifyエバンジェリスト。2011年楽天株式会社に入社。ECコンサルタントとして、さまざまなジャンルのストアサポートを行う。さらにベンチャー企業にてEC事業の立ち上げから上場を経験した後、2016年コマースメディア株式会社を設立。2017年日本で3社目となるShopifyエキスパートに認定。Shopify及びモールを含めた、ECサイトのマーケティング・制作・運用・ロジスティクスのサポートおよびコンサルティングを手掛けている。
https://commerce-media.info/

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