EC・ネットショップの不正注文とは?手口や種類、対策方法を詳しく紹介!

EC・ネットショップの不正注文とは、転売や詐欺目的で商品を注文することを指しており、EC市場の拡大とともに不正注文による被害が増えてきています。

EC事業者の皆さんの中にも不正注文にお悩みで、その対策を行いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、不正注文の手口や対策方法をご紹介します。不正注文に困っていても、正直忙しくて対応する時間がない!という方のため、記事の最後にEC運営に便利なツールもご紹介しています。ぜひ参考にしてください。

ECサイトの不正注文とは?

ECサイトの不正注文とは、転売目的の注文に加え、詐欺目的で料金を支払わずに商品を購入しようとする悪質な注文のことです。第三者のクレジットカード情報を使用し、不正な注文を行うケースも含まれます。

以下では、不正注文されやすい商材やクレジットカード不正利用の被害額を紹介するので、まずは不正注文の実態を把握しましょう。

不正注文されやすい商材

フリマサイトやオークションサイトで転売しやすい、換金性の高い商品は不正注文されやすい傾向にあります。

以下の商品ジャンルを取り扱っている場合は、とくに注意が必要です。

  • ゲーム機器
  • 家電製品
  • PC・周辺機器
  • ブランド品
  • 化粧品
  • 健康食品

化粧品や健康食品などは、オークションサイトにおける需要が高いため、商品単価が低くても被害に遭う可能性があります。

また、発売から間もない新作のゲーム機器も転売目的で大量購入されるケースが多発しているので注意しましょう。

クレジットカード不正利用の被害額

期間偽造カード被害額番号盗用被害額その他不正利用被害額合計被害額
2021年1.5億円311.7億円16.9億円330.1億円
2022年1.7億円411.7億円23.3億円436.7億円
出典:日本クレジット協会の「日本のクレジット統計2022年版」をもとに作成

クレジットカード不正利用の被害額は、毎年日本クレジット協会がその調査結果を公表しています。

各不正利用の被害額を上記にまとめました。

まず、毎年最も被害が大きいのは、番号盗用被害です。フィッシング詐欺などで他人のクレジットカード情報を盗み取ることで、ECサイト等の注文時に不正利用されています。

また、クレジットカード不正利用の被害額は、年々上昇傾向にあるため、EC運営側・サイト利用者側双方の注意が必要になってきています。

不正注文の目的

不正注文の目的はおもに3つあります。

それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

転売目的

転売目的の不正注文は、フリマアプリやオークションサイトへの転売を前提に購入する注文です。とくに、購入者情報を隠蔽するために、住所や氏名を偽装して注文されるケースが多発しています。

ただし、サイト規則や法律で禁止されていない商品でない限り、転売自体は不正取引に該当しません。

しかし、ECサイトの運営者として以下3つの被害が生じる可能性があります。

  • 商品の値崩れ
  • 企業や運営サイトの信頼低下
  • 購入者によるクレームの多発

自社サイトで販売していた商品が別のプラットフォームで安く売られることで、商品の値崩れが起き、自社サイトの売り上げが低下する可能性があります。

また、品質の悪化した商品が転売されることで、購入者からのクレームが多発することにも注意が必要です。商品に対する印象が悪くなるだけでなく、企業や運営サイトの信頼が低下することにもなりかねません。

アフィリエイトの報酬受け取り目的 

アフィリエイトとは、商品広告を自身のSNSやサイトに設置し、広告経由で商品を購入してもらうことで宣伝報酬を受け取る一連の広告プログラムのことです。

このアフィリエイトの報酬を増やすため、自身が宣伝している商品を自身で購入し、受け取り拒否をすることでアフィリエイト報酬のみを得ようとする悪質な注文が増えています。

また、購入した商品を転売することで二重利益を得ようとするアフィリエイターも存在するので注意しましょう。

発送作業や返品受付作業の手間が増えるほか、転売による値崩れで利益が激減する可能性があります。

嫌がらせ目的

単純にサイト運営者の業務を妨害するため、嫌がらせ目的で不正注文を行うケースです。

大量に購入した商品をすべて返品する行為のほか、第三者の個人情報を利用して他人の住所に商品を届けさせる悪質な事例も存在します。

企業やサイト自体の信頼性低下につながるので注意しましょう。

不正注文の種類

不正注文は、おもに3つの種類が存在します。

それぞれ種類別に解説していくので、ぜひ参考にしてください。

クレジットカードを不正利用する「なりすまし注文」

なりすまし注文とは、購入者が他人の住所やクレジットカード情報を利用して行う不正注文のことです。クレジットカード所持者が身に覚えのない請求を確認することで発覚します。

この場合、クレジットカード所持者はクレジットカード会社に不正利用の被害報告をするとチャージバックされる一方、ECサイトの運営側は商品代金を受け取れません。

売上金も商品も回収できず、ECサイト運営者にとっては大きな損害となります。

後払い決済を利用した「取り込み詐欺」

取り込み詐欺とは、注文時に後払い決済を選択した購入者が、商品受け取り後に支払いを行わず行方をくらませるケースのことを指します。

ほとんどのケースでは、購入した商品が転売に利用されるので、商品が返ってくることもありません。

売り上げを一時的に下げるだけでなく、転売されることによって企業の信頼性低下にもつながりかねない悪質な不正注文です。

代金引換えを利用した「転売目的の注文」や「いたずら注文」

転売やECサイト運営者の業務妨害を目的にした不正注文です。代金引換えを選択後、商品を受け取らずに返品されるケースが増えています。

これにより、送料負担や返品対応の人件費といった面の不利益を被るため、ECサイト運営者の被害は決して軽いものではありません。

また、はじめから転売目的で商品を注文し、商品が届く前にネットオークションやフリマサイトなどで出品をしているケースもあります。この場合、ネットオークションやフリマサイトなどで出品している商品が購入されたら注文商品を受け取り、購入されなかったら受け取り拒否をするといった不正注文が行われています。

不正注文の手口事例5選

ここでは、不正注文の手口事例を5つご紹介します。

それぞれの事例を把握し、同様の被害を受けないように対策しましょう。

集合住宅の空室やレンタルオフィスで受け取るケース 

集合住宅の空室やレンタルオフィスを受け取り場所に指定するケースです。

商品の購入者が自身の住所を特定されるのを防ぐためだと考えられますが、集合住宅の空室を受け取り場所に指定されると不法侵入の罪に問われます。

一方、レンタルオフィスを受け取り場所に指定するケースは、不正注文だと断定できず、見極めるのが容易ではないので、十分に注意が必要です。

海外転送サービスを悪用するケース

海外転送サービスを悪用して受け取り場所を海外にすることで、住所から不正注文であることを分からないようにする手口です。

この場合、フィッシング詐欺などで不正に取得したクレジットカードを使用した「なりすまし注文」を行っている可能性が考えられます。

海外転送サービスの指定住所の場合、住所の末尾がアルファベットや数字の羅列となっています。一般的な住所は番地や部屋番号などになるため、違和感のある表記の場合は注意しましょう。

荷受代行のアルバイトが受け取るケース

荷受代行のアルバイトを雇い、商品を代理で購入・受け取りまで行わせる手口です。

ECサイト運営者としては、転売による値崩れが発生する恐れがあるほか、商品を別の目的で不正に利用される可能性もあることから、商品価値を下げる可能性があります。

購入者情報を変えて複数回注文するケース

不正注文のブラックリスト入りを避けるために、購入者情報を変えて複数回注文する手口です。

住所情報の表記揺れなどを利用し、システムによるブロックを巧妙に回避してきます。

たとえば漢字表記を仮名表記に変えても、配送業者は不達にすることなく、同じ住所に届けてくれます。そのため、問題が顕在化しにくく、見逃しやすい不正注文です。

繁忙期を狙って注文するケース

不正注文のチェックを掻い潜るために、繁忙期を狙って注文する手口です。

おもに、以下5つのタイミングは狙われやすくなっています。

  • 売れ筋商品の入荷時期
  • 土日祝日
  • 季節の変わり目
  • セール中

業務が忙しく、入念にチェックを行えないタイミングを狙ってくるので、繁忙期でも業務を効率的に捌ける体制を築いておくことが大切です。

本記事の最後では、ECシステムを活用した業務の効率化・自動化について解説しているので、合わせて参考にしてみてください。

ECサイトの不正注文対策4つ

ECサイトの不正注文対策は、おもに4つの方法が存在します。

それぞれの不正注文対策を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

3Dセキュアを使った本人確認

3Dセキュアとは、クレジットカード決済の安全性を高めるために行う本人確認サービスのことです。

この仕組みは、クレジットカード登録時に設定した会員パスワードや生体認証、ワンタイムパスワードを入力してもらうことで、第三者による不正利用防止に役立ちます。

従来3Dセキュアではクレジットカード情報を入力する手間が増えるので、注文を途中でやめてしまう「カゴ落ち」のリスクが高まる点には注意しなければなりませんでした。しかし現在主流の3Dセキュア2.0では、リスクの高いユーザーに対してのみ、追加認証を行うことが可能になっています。

カゴ落ち対策については、以下の記事で詳しく解説しています。

不正検知システムの利用

不正検知システムを利用すれば、不正注文の可能性を事前に察知し、注文をブロックすることが可能です。

過去の被害履歴や情報の整合性からシステムが判断してくれるため、EC事業者側のチェック工数の削減も期待できます。

不正検知システムを導入することによって、購入者の手間が増えることもないので、カゴ落ち対策にも有効です。

券面認証(セキュリティコード)の導入

券面認証は、クレジットカードの裏面に記載されている3桁もしくは4桁の番号を入力してもらうシステムです。

これにより、入力するクレジットカード情報が増えるので、第三者によるなりすまし被害を軽減できます。

上記で紹介している3Dセキュアや不正検知システムとあわせて導入すれば、安全性がより高まるでしょう。

ただし、券面認証に関してもカゴ落ち対策を別途行う必要がある点には注意が必要です。

配送先情報の蓄積

不正注文に利用された配送先情報を蓄積しておけば、同じ住所で再注文された際に注文をブロックできます。

受注管理システムと情報を連携させれば、システムによって自動でブロックしてもらうことも可能です。

しかし、配送先情報の蓄積には時間がかかるので、はじめのうちは外部提供されている不正住所照合サービスを活用するのが得策といえるでしょう。

不正注文のリスクを事前に把握して対策を打とう!

不正注文による被害は年々拡大しているため、ECサイト運営者による適切な対策措置が必要です。自社の売り上げや利益を確保するとともに、サイトユーザーの安全を確保することにもつながります。

不正注文は注文情報を目視で違和感のある購入者情報に気を付けるという基本的なチェックがとても大切になってきます。

その他にも3Dセキュアや不正検知システムなどを導入し、クレジットカード情報を保護することで対策できるケースも多々ありますので、不正注文を防ぐための対策をしていきましょう。

不正注文対策を行う余裕がない?ネクストエンジンで効率化しよう!

日々の業務に追われ、不正注文が疑われる受注に気を配る余裕がない事業者の方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのがEC一元管理システム「ネクストエンジン」の導入です。

ネクストエンジンは、以下のようなバックヤード業務の自動化や効率化に役立ちます。

バックヤード業務がラクになることで、不正注文対策に時間を割く余裕が出てきます。

加えて、ネクストエンジンでは不正注文の課題解決にも定評のあるACROVE社のサービスのご紹介もしています。

また、ネクストエンジンは、多くの事業者様にご利用いただけるよう、2023年6月から毎月の料金を3,000円+従量課金制に改定しております。

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