近年、EC市場の成長・拡大によって各企業がECサイトの導入に向けた取り組みを行なっていますが、メーカーと販売店をつなぐ卸売業者も同様にECサイトの需要が高まっています。しかし、卸売をEC化するには注意すべきポイントが多く、難しいと考えている方も多いでしょう。
本記事では、卸売をEC化する際に重視すべきポイント等をご紹介するのでぜひ参考にしてください。
なお、卸売の受注・在庫管理をラクにするポイントを解説した動画が以下からご視聴いただけます。
卸売とは?メーカーと販売店をつなぐBtoBビジネス
卸売業とは、中間流通業・問屋とも呼ばれ、メーカーから商品を仕入れて販売店に商品を提供する事業形態のことです。販売店が必要な時期に必要な数量を仕入れられるように、卸売業者がメーカーから商品を仕入れ、保管や配送を行なってバランスを保っています。
卸売を行う企業が存在しなければ、メーカーは全国に数多く存在する販売店に自ら配送を行う必要があり、販売店は数多く存在するメーカーにそれぞれ発注を行うので、物流コストや業務負担が大きくなってしまいます。
卸売業界のEC化が進んでいる
以下は、経済産業省が公表している調査結果で、2019~20年度までの各業界のEC市場とEC化率の推移を示しています。卸売業界においては、EC市場の売り上げは、おそらく新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け10.3%減少しているものの、EC化率が30.6%増加しているため、卸売業界のEC導入が進んでいることが読み取れます。
卸売業がECサイトを導入するメリット
卸売業がECサイトを導入するメリットを3つ見ていきましょう。業務の効率化やサービスの利便性向上など、事業者・顧客の双方にメリットがあります。
これまでアプローチできなかった顧客の開拓ができる
卸売がEC導入を図れば、立地の関係でこれまで営業担当が回りきれなかったエリアの顧客にまでアプローチができるようになります。これにより、顧客の新規獲得が期待できると同時に、売り上げの向上も見込めるでしょう。
業務効率化を図れる
従来の卸売業務は、受発注の際、電話・FAX・メールなどのアナログな手段を用いていました。しかし、EC活用を図ればアナログ業務をデジタル化できるので、業務が格段に効率化できるでしょう。
また、アナログ作業で発生した転記ミスや聞き間違いなどのヒューマンエラーが削減できるのも大きなメリットです。
顧客側の利便性を向上して満足度が高まる
卸売業がECサイトを導入することで、顧客である販売店はECサイト上で必要な商品を見つけ出し、注文内容を入力するだけで発注業務が完了します。販売店側も業務の手間が省けるのです。業務の手間が省けることにより、販売店側の利便性も向上するため、それに伴う顧客満足度の向上も期待できます。
また、電話で発注する場合は卸売業者の営業時間内でなければ発注ができませんが、ECサイトを経由することにより24時間365日対応できるので、このような面においても顧客の利便性は大幅に向上します。
卸売業がECサイトを導入する方法2つ
卸売がECを導入する方法を見ていきましょう。導入には自社でECサイトを立ち上げる方法と、既存の仕入れ・卸売サイトに出店する方法の2種類が存在します。
自社でECサイトを立ち上げる
自社商品を取り扱うECサイトを自社で構築し、運用する方法です。自社でECサイトの構築や運用を行うので、サイト構築に詳しい人材がいれば、デザイン性の高いバナーで集客するなど、取り扱う商品に合わせた自由度の高い運用が可能です。
自社でECサイトを構築・運用できるエンジニアがいなければ、外部企業に委託するのもよいでしょう。
しかし、オリジナルのECサイトを構築し運用を行う分、ECサイトの運用・保守に多くのコストを割くことになります。
既存の仕入れ・卸のサイトに出店する
販売店が商品を仕入れるために利用している仕入れ・卸のサイトに出店すれば、そのサイトを通じて商品の購入が行われます。既存の仕入れ・卸のサイトに出店するメリットは、すでに構築されているプラットフォームを利用できるため、自社でECサイトを構築・運用するよりも費用を抑えることが可能です。
また、開発に期間がかかる自社サイトと違い、既存のECサイトと自社商品を連携するだけで出店が行えるので、ECサイトの導入をスムーズに行うことも可能です。
しかし、自社でECサイトを構築することと比べると運用の自由度は低く、ライバルが多く存在するという点に注意しましょう。
卸売業が利用するECサイトの選定時に確認したいポイント
自社商品を出店するためのECサイトは、どれを選んでもよいわけではありません。卸売業では、販売店が顧客となるため、BtoB向けの機能が充実しているECサイトを選ぶ必要があります。そのほかにも、合計4つのポイントを紹介するので、それぞれ確認していきましょう。
BtoB向けの機能の有無
多くのECサイトは、BtoC向けのサービスが中心となっているため、BtoB向けの機能が備わっていないこともあります。
そのため、BtoB向けの機能の有無は事前によく確認しておきましょう。卸売業者であれば、販売店や発注ロットによって、価格設定を変えていることがほとんどであるため、このような機能が備わっているかがポイントになります。
BtoB向けの導入実績の有無
出店するECサイトを選択する際、BtoB向けの導入実績の有無も確認しておきましょう。先に、競合他社が利用しているECサイトを調査したり、お手本となるECサイトを見つけたりすることでスムーズに選択することができます。
カスタマイズ性の高さ
取引先ごとに価格を変えていたり、異なる配送手段を利用していたりと、社内で複雑なルールを設けていることもあるでしょう。そのような場合に、ECサイトの標準機能だけでは対応できないこともあります。
卸売業務を効率良く行うためにも、事業者の状況に応じて、柔軟にカスタマイズできるECサイトを選択するようにしましょう。
サポート体制の充実度
ECサイトに出店し、運用を開始した直後は、使いこなすまでに時間がかかることが予想されます。
したがって、操作方法などのマニュアルが完備しているのはもちろんのこと、疑問点やトラブルがあった際にすぐに対応してくれるものを選ぶと安心です。ECサイトの選定を行う際は、サポート体制の充実度にも目を向けましょう。
卸売のECサイトを成功させるポイント
卸売のECサイトを成功させるポイントを見ていきましょう。ターゲット像を事前に設定しておくことや顧客の利便性を重視するといった、2つのポイントがあげられます。
ターゲット像をしっかりと設定する
ECサイトを利用して商品を販売する場合、従来の対面型の営業とは異なり、顧客の声を直に聞くことができません。
また、これまでアプローチできなかった層もECサイトに訪れる可能性があるため、顧客の需要が異なってくる場合もあるでしょう。このような問題を解決するためには、事前にECサイトを利用するターゲット像をしっかり設定しておく必要があります。販売店の事業規模などから、商品価格やロットを適切なものに設定し、決済手段も幅広く用意しておくとよいでしょう。
顧客の利便性を重視したサイトを作る
購入に至るまでの手順が複雑であったり、希望する決済手段や配送方法を選べなかったりした場合、購入にまで至らず、サイトを離脱されてしまうことが予想されます。顧客が求める商品を適切な価格で販売していたとしても、サイトの利便性が悪いことは致命傷になりかねません。購入のボタンを大きくしたり、購入までのステップを簡素化・明確化したりするなど、顧客の利便性を重視したサイト作りを行うことが重要です。
重視したい卸売サイトの機能
卸売で商品を販売する際、誰でも同じ商品を同じ価格で購入できるBtoC向けのサービスとは異なり、卸先ごとに価格の設定や販売する商品を変えているケースがほとんどでしょう。
このようなケースに対応できる機能など、卸売サイトに必要な機能を2つご紹介します。
卸先ごとの価格設定機能
卸先ごとに価格設定を変えている場合に便利な機能です。この機能では、卸先ごとに詳細な金額の設定や、掛率の設定ができます。
また、発注ロットごとに割引を適用することもできるので、割引が一目で確認でき、顧客の利便性の向上にもつながるでしょう。
顧客のアナログ注文を受注側で登録できる機能
ECサイト上で卸売商品の取り扱いを始めたとしても、顧客によっては従来のアナログな方法で発注を希望することもあるでしょう。このような場合に備えて、顧客のアナログ注文を受注側で登録できる機能があると便利です。
現在では、アプリを利用して、顧客の代わりに注文を登録できる機能も開発されているので、ぜひ利用してみましょう。
まとめ:卸売もECサイトを導入して作業効率をアップさせよう
EC市場が拡大している近年、卸売事業でEC化を目指す事業者は増えています。卸売事業でもアナログ管理をシステム管理にすることで、作業効率を大幅にアップさせることができますし、新規で顧客を獲得するチャンスも広がります。
ただ、ECサイトの導入を検討する際は、自社に合ったECが実現できるのか、また、卸売を行う上で便利な機能が備わっているかなど確認するのを忘れないようにしましょう。卸売もECサイトを導入して、売り上げアップを目指しましょう!
卸売ECサイト運営もネクストエンジンで効率化できる!
EC事業の効率化でお悩みの方は、一元管理システム「ネクストエンジン」の導入をぜひご検討ください。ネクストエンジンには、受発注業務の自動化や在庫の自動連携を可能にする機能が備わっているため、導入することでECサイトの運営を効率的に行えます。
卸売を行なっている事業者様には、ネクストエンジンが提供している「BtoBオーダーアプリ」の利用が便利です。BtoBオーダーアプリには、卸先ごとに商品の価格や送料を設定する機能が備わっているため、ECサイト上での卸売販売を、自社ルールを適用しながら行えます。
また、アプリに卸先を直接招待できるほか、卸先に代わって注文を登録することもできるので、これまでアナログで対応していた業務も効率化できるでしょう。卸売業務のEC化を行うのであれば、ぜひネクストエンジンの導入も合わせてご検討ください。
ネクストエンジンを使った卸売の受注処理の効率化については、以下の記事で具体的に解説しています。
また、ネクストエンジンのアプリBtoBオーダーについて詳しくはこちら(「卸の受注の手間を削減!WEB受発注システム BtoBオーダーアプリのご紹介」)もご参考ください。