
「TikTok Shop」は、動画やライブ配信を通じて商品を発見し、購買が完結する、従来のECとは一線を画す新しい「ディスカバリーEC」体験を提供し、今注目を集めています。
単なる情報閲覧だけでなく、検索エンジンとしても影響力を持つTikTokアプリ内で、集客から販売まで完結できる点が大きな魅力です。
本記事では、日本のEC事業者が知っておくべきTikTok Shopの魅力や出店・運用の具体的なステップ、成功の秘訣まで徹底解説します。
TikTok Shopとは?TikTokとの違いと注目理由

TikTok Shopとは?動画で売れる新しいECの仕組みと注目理由
TikTok Shop(TikTok e-commerce)は、モバイル向けエンターテイメント動画プラットフォームであるTikTokアプリ内で、商品を見つけて購入まで完結できるEC機能です。
TikTok自体は、人々の生活を豊かにすることを目指したモバイル向けエンターテイメント動画プラットフォームであり、クリエイティブで楽しくポジティブな体験を提供しています。
TikTok Shopは、このプラットフォームにEC機能が統合されたもので、ユーザーは「おすすめ」フィード内の動画やLIVE配信から直接買い物ができる、シームレスな購買体験を提供します。
セラー(出品者)は店舗登録や商品出品を行い、動画投稿やLIVE配信を通じて商品を販売できます
従来型ECプラットフォーム(楽天市場、Amazon など)との違い
従来のECプラットフォーム(例:Amazon、楽天など)との違いは、従来のECプラットフォームは、消費者の「検索」に基づいて商品を見つける「検索型Eコマース」であるのに対し、
TikTok Shopは、コンテンツ視聴中に商品を発見し、そのまま購入へと繋げる「発見型Eコマース」(Discovery E-commerce)という点です。
今注目される理由とは
TikTokは、もはや最新情報を見るだけの場所ではなく、商品検索エンジンとしても大きな影響力を持っており、米国の調査によると、TikTokユーザーのうち最大22%がTikTok上で商品情報を検索し、その後の購入を検討している(出典: Capital One Shopping 調査「TikTok Shop Statistics」)というデータもあります。
TikTok Shopは、ショート動画やLIVE配信に商品リンクを埋め込むことで、ユーザーが「おすすめ」フィード内の動画からわずか数タップで直接買い物ができる、シームレスな購入体験を提供します。
閲覧から決済まで、アプリ内で完結できる仕組みが特徴です。
この「SNSとECが融合した“シームレスコマース”」は、コンテンツを通じて消費者と商品をダイレクトに繋ぎ、高いエンゲージメントとコンバージョンを実現します。
ソーシャルコマース市場は2030年までに6.2兆ドルに達する見込み(出典: ResearchAndMarkets.com「世界ソーシャルコマース市場動向・分析レポート2022」)で、従来のEコマースと比較して4倍の成長率が予測されています。
世界の主要ブランドの多くがすでにTikTok Shopに参画していることからも、その成長性と注目度の高さが伺えます。
TikTokの国内利用者数とECとの親和性について

TikTokの日本での利用率
TikTokはグローバルでダウンロード数No.1の地位を誇り、日本においても数千万人のユーザーへのタッチポイントを提供しています。
2023年時点での日本のTikTokユーザーの平均年齢は36歳(出典:博報堂「2023年『コンテンツファン消費行動調査』」)であり、10代から60代以上まで幅広い年齢層に利用されています。
ECとの親和性
ユーザーのEC(電子商取引)との親和性は非常に高く、TikTok for Business Japan 調査によるとTikTokの動画を見た後に商品を購買したことがあるユーザーは36.2%に達します。
これらのデータは、TikTokが単なるエンターテイメントプラットフォームにとどまらず、ユーザーの購買行動に直接的な影響を与える媒体となっていることを明確に示しています。
集客から販売まで完結できる新しいチャネルへ
TikTok Shopは、このようなユーザーの行動特性を最大限に活かす設計となっています。
コンテンツを閲覧しながら商品を発見し、そのままアプリ内で購入まで完結できるため、「SNS+動画+コマース」が融合した自然な購買体験が可能です。
EC事業者にとっては、日本の数千万人のユーザーに対して、認知、興味、購入、シェアといった一連の購買行動をアプリ内で完結させることができ、新規ユーザー獲得やチャネル拡大、ファン育成を推進できる新しいチャネルとして大きなメリットがあります。
TikTok Shopで売れる商品とは?人気傾向・共通点など成功のコツ

TikTok Shopでは、「発見型Eコマース」という特性上、動画で魅力が伝わりやすい商品が売れやすい傾向にあります。
ユーザーはショート動画やLIVE配信を通じて商品を発見し、わずか数タップで直接購入できる、シームレスな購買体験が可能です。
売れやすい商品ジャンル
特に売れ筋となるジャンルは以下の通りです。
・美容商品
ビフォーアフターや使用感、効果などを視覚的に伝えやすいことから、美容系商品はTikTokコンテンツと非常に相性が良いジャンルです。ショート動画やライブ配信を通じて、リアルな使用感を訴求できる点がユーザーの購買意欲を高めます。
・ファッション、電化製品、FMCG(日用消費財)、パーソナルケア、ライフスタイル
これらのカテゴリは、グローバルでもTikTok Shopへの出店が盛んな分野です。日常的に使うアイテムや身近な商材は、動画内での紹介や使用シーンの演出によって購買につながりやすい傾向があります。
・雑貨やガジェット
これらは、その機能や使い方を短い動画で効果的にデモンストレーションできるため、ユーザーの関心を集めやすいジャンルです。見ているだけで「欲しくなる」視覚体験を演出できる商品は、TikTok Shopと非常に親和性が高いといえるでしょう。
売れ筋の傾向・共通点
さらに、TikTokのコンテンツエコシステムを考えると、トレンドに乗りやすい商品や、ユーザーがリアクションしやすい商品も強みを発揮します。
動画内で商品がユニークな使われ方をされたり、特定のハッシュタグチャレンジと結びついたりすることで、爆発的な拡散と販売に繋がる可能性があります。
最も重要なのは、「ストーリーが語れる」商品が強いという点です。
TikTok Shopの動画制作では「信頼・共感・行動」がカギとされており、商品の背景にある物語や開発秘話、特定の課題を解決するまでのプロセスなどを動画で表現することで、単なる機能以上の価値を伝え、深い共感を生むことが期待されます。
▼SNSに関する集客施策や成功事例については以下の記事でも詳しく解説しています。こちらもご参考にしてみてください。
TikTok Shopを使用する上でのメリット&注意点とは

TikTok Shopは動画コンテンツで購買を促す「発見型Eコマース」として、事業者にとって大きな可能性を秘めています。そんなTikTok Shopのメリットと注意点について紹介いたします。
TikTok Shopを利用するメリット
メリットは、日本で数千万人のユーザーにリーチできる高い集客力と若年層を含む広範なユーザー層へのリーチです。
ソーシャルコマース市場の急成長から、先行者優位を築くチャンスと言えます。
ショート動画やLIVE配信、ショップタブを通じたシームレスなアプリ内購買体験は、コンテンツを通じた衝動買いを誘発しやすい特性を持ち、プラットフォーム販促クーポンも購入を後押しします。
TikTok Shopを利用する際の注意点
TikTok Shopを使うときに気をつけたいのは、運営にかかる手間が少し多いことです。
例えば、商品の発送は基本的に自分で行わなければならず、ほかのECサイトと同じ商品を扱う場合、在庫の管理が難しくなりやすいです。そのため、発送が遅れたり、お客さまの満足度が下がったりするリスクがあります。
また、お店を始めるまでにいくつかの手続きや準備が必要で、少し時間がかかることもあります。
(※出店時に必要な準備や手続きについては、次の項目「TikTok Shopの始め方|出店方法とステップ」で詳しくご紹介しています。あわせてご確認ください。)
さらに、TikTok Shopで成功するためには、「売れる動画」を作ることがとても大切です。
動画の最初の3秒で視聴者の心をつかむことや、適切なキーワードを使うなど、TikTokの仕組みに合わせて動画を工夫し続ける必要があります。これにはかなりの時間や努力が必要です。
最後に、TikTokの特性として「その場のノリで購入する」ユーザーが多いため、衝動買いによる返品・キャンセルが発生しやすい点にも注意が必要です。事前に返品ポリシーを明確にしておくと、トラブル回避につながります。
TikTok Shopの始め方|出店方法とステップ

TikTok Shopの出店条件
TikTok Shopの出店は、企業(ブランド、リテーラーなどのEC販売業者)だけでなく、個人(個人のEC販売者)も対象となり、法人・個人を問わず出店が可能です。
商品発送などの物流は、企業の場合は既存のソリューションをそのまま利用でき、個人の場合はセラー自身が実施します。
なお、初期費用に関する記載は、提供されたソースには含まれていません。
出店に必要な準備とは
TikTok Shopの出店・販売に向けた主な準備とステップは以下の通りです。
1.ショップセットアップとアカウント開設
まず、TikTokのセラーセンターから登録を行い、ショップのセットアップを開始します。
このプロセスの一環として、TikTokのアカウントを開設する必要があります。
また、運用体制の検討も重要です。マーケティング、制作、ECオペレーションなどの運用体制を検討し、担当者をアサインします。API接続を開発する場合は、技術系メンバーの確保も必要です。
もしリソースが不足している場合は、TikTokが運営代行のパートナー企業を紹介することも可能です。
2.商品情報の準備とカタログアップロード
販売したい商品のカタログをアップロードするために、事前の準備が必要です。
具体的には、商品紹介画像(比率1:1、解像度600×600ピクセル)と説明文の準備が求められます。
クリエイターに商品を紹介してもらうことを想定している場合は、サンプル商品の準備も推奨されます。
3.コンテンツ戦略と作成準備
TikTok Shopでの販売は、ショート動画やLIVE配信といったコンテンツを通じて行われるため、コンテンツ作成の準備が重要です。
閲覧数の高い動画の作成方法を試行錯誤し、フォロワー獲得を目指す継続的な取り組みが推奨されます。
もし契約しているクリエイターがいる場合は、彼らと連携してショート動画の作成を先行して進めることが効果的です。
▼商品写真を活用した訴求力のある見せ方については、以下のダウンロード資料でご紹介しています。ぜひご活用ください。
出店する際の注意点
TikTok Shopに出店する際、アカウントの開設と運用をスムーズに進めるためには、本人確認と銀行口座登録の段階で以下の点に注意が必要です。
これらの注意点を理解し、正確な情報と適切な書類を準備することで、TikTok Shopの出店プロセスをスムーズに進めることができます。
1. 本人確認での審査落ちとその対応
TikTok Shopでは、アカウント開設後に身元や事業の適格性を確認するため、書類の認証が必要です。このプロセスで審査に落ちるケースが考えられます。
提出書類の選択と要件
- ショップの種類を「法人(Corporation)」または「個人事業主(Individually-owned Business)」から選択します。
- 個人事業主の場合は、パスポート、国民ID、運転免許証の表裏の画像をアップロードする必要があります。
- 法人の場合は、法人の代表者、会社役員、または実質的支配者の政府発行の身分証明書と、事業許可証、登録証、またはそれに類する公式文書の画像をアップロードする必要があります。
審査と再提出
- 必要書類をすべてアップロードして提出した後、アカウント申請は承認されるまで「保留中(pending)」となります。
- もしアカウントが審査に通過しなかった場合、書類を再提出する方法について記載されたメールが届きます。これは、提出された情報に不備があったり、要件を満たしていなかったりする場合に起こります。メールの指示に従い、正確な情報を再提出することが重要です。
2. 銀行口座登録の不備とその注意点
商品の売上金を受け取り、返品処理を行うためには、ショップに銀行口座を紐付ける必要があります。この際、以下の点に注意が必要です。
口座情報の正確な入力
セラーセンターのホームぺージから「銀行口座を紐付ける(Link Bank Account)」を選択し、口座名、銀行名、銀行口座番号、メールアドレス、住所、建物番号を入力します。
口座名義の一致
- 重要な注意点として、個人事業主の口座名義は登録名と同一でなければなりません。
- 法人の口座名義は会社名と同一でなければなりません。
- これらの名義が一致しない場合、口座の紐付けが承認されず、売上金の受け取りに支障が出る可能性があります。入力時には、登録した事業者名(個人名または会社名)と銀行口座の名義が完全に一致していることを確認してください。
TikTok Shopの運用中に押さえておきたいポイントと注意点

TikTok Shop運用で成果を上げるための集客・販売促進のポイント
TikTok Shopでは、「発見型Eコマース」という特性上、動画でいかに商品の魅力を伝え、ユーザーの興味を引き出すかが売上向上の鍵となります。
その際に売上につながる集客と販売のために以下の2点を考慮することが大事です。
1. TikTok内での露出増加と「バズれば売れる」構造
TikTokは単なる情報収集の場ではなく、検索エンジンとしても大きな影響力を持つため、ユーザーの「おすすめ」フィードに表示され、バズることでフォロワー数に関わらず売上に繋がりやすい構造です。
動画コンテンツの質が重要で、冒頭3秒で興味を引くこと、「信頼・共感・行動」を促す内容、そして商品を中心に映すことが推奨されます。
また、トレンドに乗りやすい商品や、ユーザーがリアクションしやすい商品は、ハッシュタグチャレンジなどと結びつきやすく、爆発的な拡散と販売に繋がる可能性があります。
さらに、「ストーリーが語れる」商品は、商品の背景にある物語や開発秘話などを動画で表現することで、深い共感を生み、購買意欲を強く刺激します。
2. ライブ配信とインフルエンサー連携による販促手法
LIVE配信(LIVEコマース)数百万人のクリエイターとのマッチングの機会を提供しており、「クリエイターアフィリエイト」という仕組みを通じて、彼らが動画やLIVEで商品を宣伝し、報酬を得ることができます。
これにより、インフルエンサーとのコラボレーションが強力な販促手法となります。
▼ECサイトの集客施策については以下の記事でも詳しく解説しています。こちらもご参考にしてみてください。
TikTok Shop運用で注意すべき課題
TikTok Shopの運用においては、そのユニークな「発見型Eコマース」の特性を活かす一方で、実務上のオペレーション課題と注意点が存在します。
以下のような運用課題を克服することで、顧客からの信頼を得て、持続的なビジネス成長を実現できるでしょう。
注文・在庫処理の煩雑化
まず、注文・在庫処理の煩雑化が挙げられます。
TikTok Shopでは、企業セラーも個人セラーも、商品発送などの物流は基本的にセラー自身のソリューションを利用して実施します。
そのため、他のECモールや自社ECサイトと商品を「併売」している場合、複数チャネルからの注文を一元的に管理し、リアルタイムで在庫を同期させることが困難となり、在庫ズレによる注文ミスが増える可能性があります。
出荷遅延によるキャンセルや評価リスク
次に、出荷遅延によるキャンセルや評価リスクです。
商品の発送責任がセラーにあるため、注文処理の遅れや物流上の問題は、顧客への商品到着遅延に直結します。
顧客はTikTokアプリ内でシームレスな購入体験を期待しているため、出荷遅延は顧客満足度を著しく低下させ、結果としてキャンセルやネガティブな評価に繋がり、店舗の評判を損なうリスクがあります。
Seller Centerは顧客サービスとエンゲージメントを管理する機能を提供しますが、これらのリスクを避けるためには、効率的な注文管理システムの導入、正確な在庫データのリアルタイム更新、そして迅速かつ安定した出荷プロセスの構築が不可欠です。
EC運営をラクにするならネクストエンジン
TikTok Shopの運用では、セラー自身での物流や在庫管理が課題になりがちです。
特に他モールと「併売」している場合、注文や在庫の管理が煩雑になりやすく、在庫ズレや出荷遅延といったリスクが高まります。
こうした課題の解決には、ネクストエンジンのようなEC一元管理ツールの導入が効果的です。
ネクストエンジンなら、複数チャネルからの注文を自動で集約し、在庫もリアルタイムで同期。
人為的ミスを大幅に減らしながら、受注~出荷までの業務フローを最大99%自動化できます。

その結果、人手を増やさずに作業効率を大幅に向上でき、実際に販路を3倍以上に拡大した事例も。
業務効率化で生まれた余力を、マーケティングや顧客体験の向上に再投資できるため、TikTok Shopでの成功を支える強力な土台となります。
また現在、ネクストエンジンではTikTok Shopとのシステム連携について前向きに検討を開始しております。今後の方針についてはまた随時ご共有をいたします。
▼ネクストエンジンの機能や仕組みについて知りたい方は、こちらの概要資料もぜひご参照ください。
まとめ|TikTok Shopは「今乗るべき販路」
TikTok Shopは「発見型Eコマース」として大きな可能性を秘め、今まさに「今乗るべき販路」といえるでしょう。
グローバルのソーシャルコマース市場は2030年までに6.2兆ドルに達する見込み(出典: ResearchAndMarkets.com「世界ソーシャルコマース市場動向・分析レポート2022」)で、従来のECを上回る成長率が予測されており、日本でも数千万人のユーザーへのタッチポイントを提供し、新規ユーザー獲得やチャネル拡大に貢献します。今が「先行者優位」を確立するチャンスと言えるでしょう。
成功のポイントは、以下の3つです。
1 売れる商品を見つけること
2 動画の工夫(信頼・共感・行動を促す動画作成や冒頭3秒での引き付け、キーワード活用など)、
3 運用体制の整備
また、TikTok Shopの物流はセラー自身が担うため、他ECとの併売による注文・在庫処理の煩雑化や在庫ズレ、出荷遅延リスクが懸念されます。
これらを解決し、持続的なビジネス成長を実現するには、ネクストエンジンのようなEC一元管理ツールの導入が不可欠です。複数チャネルの注文自動集約とリアルタイム在庫同期でミスを削減し、業務を約99%自動化します。これにより省人運営が可能となり、人員を増やさずに売上・利益を向上させた事例もあるため、中長期的なスケールにも対応できます 。
しっかり準備し、業務基盤を整えた上でTikTok Shopへの参入を切ることが、成功への鍵となるでしょう。
▼ネクストエンジンの導入事例は、以下の資料から無料ダウンロード後、ご覧いただけます。
最後に|ネクストエンジンの導入をご検討中の方へ
ネクストエンジンでは、機能や料金、導入の流れなどについて、担当スタッフがわかりやすくご案内しています。
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