横浜中華街・王府井(ワンフーチン)の小籠包を全国に届ける男──EC担当・小池さんのドキュメンタリー

横浜中華街の活気ある一角で、王府井(ワンフーチン)の店頭には今日も途切れることのない行列ができています。湯気が立ち上るセイロの中で、熱々の小籠包が、人々を魅了し続けているのです。

しかし、王府井の挑戦は、店頭だけにとどまりません。

「この究極の肉汁体験を、遠方に住むすべての人にも届けたい」

その強い想いから、王府井は早くから通販事業に着手し、今や店頭に並ぶのと同じくらい多くのファンが、自宅でその味を楽しんでいます。
この全国への配送という壮大なミッションを、ECの現場で支えているのが、EC担当の小池さんです。

職人が生み出す最高の味を、冷凍という難題を乗り越えて、最高の状態でお客様の手に届ける
その裏側には、EC未経験ながら、たった2日の引き継ぎで現場を背負うことになった一人の男の熱い覚悟と、王府井が大切にする「届け方の哲学」がありました。

横浜中華街の名店・王府井(ワンフーチン)とは

王府井本店の外観

王府井は、小籠包の代名詞として中華街で圧倒的な存在感を放ってきました。
蒸籠の蓋を開けた瞬間の湯気、箸で皮を割った瞬間にあふれ出す黄金色の肉汁、そして口に運んだ瞬間に広がる奥深い旨味と、生姜の清涼感。

この「奇跡の一滴」を生み出すため、王府井の職人たちは、日々、研ぎ澄まされた感覚で小籠包に向き合います。
肉餡の温度、皮の厚み…。
僅かな調整が、肉汁の量や食感を左右するため、最高の瞬間を追求する妥協のない仕事が続けられています。

看板商品の小籠包が全国で愛される理由

蒸したての王府井の小籠包から肉汁があふれる様子

王府井の小籠包は、職人が毎日ひとつずつ心を込めて手包みしています。
肉汁をこぼさずにしっかり閉じ込めるための絶妙な配合と温度管理は、まさに職人技。
この丁寧な手仕事こそが、店頭で行列を作り、通販でも高い支持を得る王府井ブランドの根幹なのです。

通販で届けるための鮮度と製法のこだわり

王府井の職人が小籠包を手包みしている作業風景

通販で最も難しいのは、「店舗と同じ感動を再現できるか」という点です。
王府井では、その課題を乗り越えるため、徹底した工夫を凝らしています。

  • 出来立ての旨味と肉汁を逃さないよう、急速冷凍技術で「肉汁」を瞬間ロック
  • 冷凍・解凍を経ても食感が損なわれないよう、皮の配合を何度も調整
  • 季節や配送地域に応じて、最適な保冷材と梱包材を微調整
  • 贈答品としてふさわしい、特別感のあるパッケージも用意

これらの技術的な改善と、お客様を思う心が一つになることで、王府井の小籠包は、全国の食卓へ、最高の品質のまま届けられているのです。

王府井の小籠包通販を支えるEC担当・小池さん

王府井でEC業務を担当する小池さんがインタビューに答える様子

EC未経験で王府井に入社した背景

小池さんは、前職ではECとは全く異なる仕事をしていました。
しかし、「横浜中華街の魅力を全国に届けたい」という王府井の文化と、圧倒的な商品力に惹かれ、EC担当として入社を決意。

小池さんにとって、それは熱意に満ちた新しい挑戦の始まりのはずでした。
ところが入社直後、予期せぬ状況が訪れます。

たった2日の引き継ぎで現場を任されるまでの葛藤

王府井のECバックヤードで注文処理を行っている現場

入社して間もないある日、前任者が突然、「今日と明日で辞めます」と告げてきました。
引き継ぎ期間は、わずか2日間。
手元に残されたのは、業務の全てが詰まった手書きの走り書きのメモ数枚。
翌週からは、小池さんが一人で、王府井の通販事業を全て担当することになったのです。

当然、不安は大きかったはずです。しかし、小池さんはこう覚悟を決めました。

「戸惑っている暇はない。全国で、王府井の商品を心待ちにしているお客様がいるなら、やるしかない」

注文50件から500件への繁忙期をどう乗り越えたのか

王府井の通販注文数が50件から500件へ急増した際の様子

引き継ぎを終えた直後、まさに「火の洗礼」と呼ぶべき事態が起こります。
EC業界最大のイベントの一つである楽天スーパーセールが始まったのです。

未経験なのに戦場の真ん中に立たされた日

通常1日50件程度の注文数が、セール期間に入ると一気に500件に跳ね上がります。
ECの経験がない小池さんにとって、この膨大な注文処理、顧客対応、発送準備の全てが初めての経験でした。

操作に手間取り、心身ともに追い詰められる日々。
まさに、一人で戦場の真ん中に立たされた状況でした。

この味を待つ人がいるという覚悟が生んだ決断

未経験の業務量に溺れそうになりながらも、小池さんが固く決めていたことがあります。
それは、「全ての注文を必ず目視で確認する」ということでした。

通常、この規模の注文量では、システムによる自動処理が主流です。
しかし、小池さんはすべてを自動に任せず、誠実にお客様一人ひとりの注文に目を通し続けました。
この地道な対応が、後に大きなトラブルを防ぎ、王府井の信頼を確固たるものにすることになるのです。

王府井が大切にする届け方の哲学と小池さんの仕事術

王府井には、味だけでなく、届け方にも誠実であるべき」というゆるぎない文化があります。
小池さんはこの哲学を、ECの現場で徹底して体現していました。
システムだけでは見抜けない、人の気持ちに寄り添った対応を欠かさなかったのです。

すべての注文を目視確認する理由

  • システムが弾かない、些細な住所の誤記を見つけ出し、修正するため
  • ギフト用途の意図を読み取るため
  • 熨斗の種類や季節感を確認するため
  • 離島など配送リスクのある地域を把握し、発送日を調整するため

ギフト文化への理解が生む恥をかかせない対応

ギフト用に梱包された商品に熨斗がついた様子

小池さんが特に注意を払うのは、ギフトや熨斗の対応です。

もし熨斗の文言や用途が間違っていれば、それは贈り主の方に恥をかかせてしまうことになりかねません。小池さんは、少しでも不審な点があれば、手間を惜しまずお客様にメールで提案や確認を行うなど、細心の注意を払っています。

遠方配送や離島対応に宿るプロ意識

王府井のEC担当である小池さんが遠方配送や離島対応の確認作業に集中している様子

遠方や離島など、配送に日数を要する地域への対応は、小池さんのプロ意識が光る部分です。

天候や温度管理を考慮し、お客様が受け取ったときに最高の状態を保証できるタイミングまで発送日を調整します。お客様の「美味しい」という笑顔のため、リスクを冒さない、細部まで気を配る職人気質が、ここにも宿っているのです。

現場を支える基盤としてのネクストエンジン活用術

王府井が利用しているネクストエンジンの注文管理画面

目視チェック文化とシステムの両立

小池さんの仕事は、徹底した「人によるチェック」と、システムによる「効率化」のバランスの上に成り立っています。

王府井では受注管理にネクストエンジンを利用していますが、小池さんは全ての新規注文を朝一番で必ず目視確認します。そして、問題のない注文だけをシステムに取り込み、ギフトや特殊対応の注文は、人の手で細かく調整していました。

大量注文時には一括処理アプリで効率化

注文が1,000件を超えるような繁忙期には、ネクストエンジンの一括処理アプリを積極的に活用します。しかし、ここでも「全てを自動化」はしません。

遠方配送やギフト注文といった「人の判断が必要な部分」は必ず目視で分類し、システムと人の手を柔軟に組み合わせることで、スピードと品質の両立を実現しています。

過去の履歴をもとにクレームを予防する文化

小池さんは、ネクストエンジンの履歴を単なるデータとしてでなく、「未来への教訓」として活用しています。

過去の苦情、遅延の発生した地域、備考欄に隠されたお客様の「クセ」など、注意すべき注文パターンを日々記録し、社内で共有し続けました。
これにより、同じミスを繰り返さないという改善の文化が定着し、トラブルの未然防止に繋がっているのです。

王府井のブランド価値を高めた小池さんの現場力

小池さんの地道な取り組みは、目に見える数字となって王府井のブランド価値を高めました。

レビューが3.7から4.75へ改善

王府井の楽天レビュー評価が3.7から4.75へ改善し歓喜する小池さん

誠実な対応が積み重なった結果、お客様からの信頼度が飛躍的に向上し、ECモールのレビュー平均点が3.7から4.75へと大幅に改善しました。
これは、単なる商品の評価ではなく、「王府井の対応」への評価の証でもあります。

伝票処理時間が半分から3分の1に短縮

伝票処理時間が3分の1に短縮された作業効率化の図解

手作業と一括処理の最適な組み合わせを見つけたことで、繁忙期の伝票処理時間が大幅に短縮され、以前の半分から3分の1という驚異的な効率化を実現しました。

誤配送ゼロを実現した細部の気づき

日々記録し、共有し続けた「注意点」と「人の目による確認」が功を奏し、誤配送はほとんど起きなくなりました。
お客様への最高の状態での配送を実現し続ける、誤配送ゼロの体制が確立されたのです。

解放された時間が新しい価値を生む:王府井の挑戦

現場が整い、時間に余裕が生まれたことで、王府井は新しい挑戦にも積極的に取り組めるようになりました。

電子レンジ専用小籠包の開発

王府井の通販用の小籠包のパッケージ

「もっと手軽に王府井の味を楽しめないか」というお客様の声に応え、電子レンジ専用の小籠包が開発されました。

「小籠包の焼き方」は、実は非常に難しいものです。油の量、火加減、焼き上がりの見極めなど、店の職人が行うような作業を一般家庭で再現するのは至難の業。筆者自身も、フライパンに焦げつかせてしまい、中の肉餡だけ食べた経験が何度もあります。

そこで、王府井は、瞬間冷凍の技術を駆使して、電子レンジで温めるだけで、誰でもお店のクオリティを自宅で楽しめる商品を開発。
手軽さと美味しさを両立したこの商品は、贈り物としても重宝され、広く愛されています。

小籠包を全国の冷蔵庫にというビジョン

小池さんが描く未来は、「小籠包で家族の時間がもっと豊かになること」です。

中華街の食べ歩きで親しまれている王府井の小籠包が、いつか「全国の冷蔵庫」に常備され、疲れた日の夜、急な来客、家族の団欒のひとときを、手軽な本格中華で彩る。
その壮大なビジョンに向け、小池さんの挑戦は続きます。

まとめ:王府井の小籠包通販を支える人の熱狂

活気あふれるお店の入り口で、調理スタッフやホール担当の従業員が、チーム一丸となってお客様を歓迎している様子。温かいおもてなしの気持ちが伝わってきます。

横浜中華街・王府井の小籠包が、全国でこれほどまでに愛されているのは、単に「味がいい」からだけではありません。
その裏側には、お客様への「誠実さ」という揺るぎない哲学があります。

  • 職人の技: 最高の小籠包を生み出す技術と情熱。
  • 小池さんの情熱: たった2日で現場を背負い、人の目でお客様を守り続けた覚悟。
  • システムの支え: 効率化を実現し、品質を安定させる基盤。
  • 顧客を想う文化: 味だけでなく、届け方にも心を尽くす企業文化。

これらの積み重ねこそが、王府井の小籠包という「物語」を形づくり、今も全国へ感動を届け続けているのです。

最後に

横浜中華街の名店・王府井の熱いストーリーを最後までお読みいただき、ありがとうございました。
王府井の現場力と品質向上を支えたネクストエンジンについては以下のリンク先でご紹介しています。
ぜひ併せてご覧ください。




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