ECと実店舗の在庫管理を一元化する方法|売り越しを防ぐ手順

実店舗とネットショップの在庫を別々に管理していると、店舗で売れた商品がネットではまだ在庫ありと表示され、在庫以上に注文を受けてしまう「売り越し」が起きがちです。また、在庫を店舗用とネット用に分けると、片方だけが売り切れになることもあります。
ECと実店舗の在庫をまとめる方法はいくつかありますが、店舗のPOSレジとつないだ一元管理システムで在庫をまとめて持つと、手で直す作業がいちばん少なくなります。
本記事では、ECと実店舗の在庫を一元管理する3つの方法のメリット・デメリットを比べ、進めるときの注意点と、一元管理システムで店舗とネットの在庫をまとめる手順を解説します。
ECと実店舗の在庫を一元管理する3つの方法は?
ECと実店舗の在庫を一元管理する方法は、次の3つです。
- 在庫表を共有して手で直す
- POSレジとECカートをつなぐ
- 一元管理システムでまとめて持つ
1. 在庫表を共有して手で直す
メリット: 店舗とネットの担当者が同じ在庫表を見て数を書き換えれば、片方で売れた数をもう片方も知ることができるでしょう。ネットには実際より少なめの在庫数を出しておけば、注文が重なっても在庫が残るので、売り越しは一部減ります。
片方だけの売り切れも、店舗と倉庫の在庫を1つの表で見て、全体の数からネットに出す数を決めれば、一部は防ぐことが可能です。
デメリット: 表を書き換えるまでのあいだは、売り越しも片方だけの売り切れも起こり得ます。また、売れるたびに担当者が在庫表とすべてのネットショップの管理画面で数を書き換えるので、更新の遅れや打ち間違いで、実際の在庫と表示が合わなくなります。
店舗とネットの販売数が少ないうちは続けられても、販路が増えるほど、数の書き換えは売れる速さに追いつきません。
2. POSレジとECカートをつなぐ
メリット: POSレジやECカートのなかには、互いの在庫数をつなぐ機能や連携アプリを持つものがあります。つなぐと、店舗のレジで売れてレジの在庫数が減るたびに、その数がカートの在庫数にも送られる仕組みです。店舗とネットで同じ在庫数を使うので、売り越し、片方だけの売り切れ、手で直す作業が一部減ります。
デメリット: レジで売れてからカートの在庫数が変わるまでに時間差があるので、そのあいだの売り越しは残ります。また、在庫数がつながるのは、互いの連携に対応しているレジとカートのあいだだけです。
つないだカート以外のモールやカートでは、片方だけの売り切れも、在庫数を手で直す作業も残ります。使っているレジとカートがつながるかは、レジとカートそれぞれの提供会社のサービスサイト上で確かめてください。
3. 一元管理システムでまとめて持つ
メリット: 一元管理システムを使えば、在庫数を1つのシステムで管理し、連携している複数のネットショップへ自動で送れます。送る数は、在庫数から出荷待ちの注文の分を差し引いた「販売できる数」です。ネットでも店舗でも売れるたびにこの数が更新されるので、各ネットショップの在庫数もそろいます。
店舗で売れた数は、POSレジとシステムを連携アプリでつなぐと、レジの在庫数が減るたびにシステムへ送られます。そのため、売れるたびに担当者が各ネットショップの在庫数を書き換える作業がなくなり、遅れや打ち間違いによるずれも出ません。
店舗のレジと複数のネットショップの在庫数を、手で直さずにそろえられるのは、3つの方法のなかでこの方法だけです。
また、システムによっては、倉庫と実店舗の在庫を置き場所ごとに記録し、両方をネットショップに結びつけられます。これなら、店舗の在庫がなくなっても、倉庫に在庫があるうちはネットで売り続けられるのが利点です。
デメリット: 一元管理システムには、初期費用や月額の利用料がかかり、受注件数やつなぐネットショップの数に応じて料金が増えるものもあります。POSレジとつなぐ連携アプリにも、別に費用がかかることがあります。
また、在庫の連携は一定の間隔で動く処理のため、そのあいだに注文が集中すると売り越しが起きます。使っているPOSレジがシステムと連携していなければ、店舗で売れた数をシステムに入れる作業も残ったままです。
ECと実店舗の在庫の一元管理を進めるときの注意点は?
ECと実店舗の在庫の一元管理をうまく進めるには、取りかかる前の準備と、店舗の担当者との決めごとが欠かせません。
1. つなぐ店舗・倉庫・ネットショップを先に書き出す
在庫をまとめる先は、店舗のPOSレジ、倉庫、出店しているモールやカートと、いくつにも分かれます。どこをつなぐかを決めずにシステムを選ぶと、あとから出店先の1つが在庫連携に対応していなかった、ということが起きがちです。
まずは、使っているPOSレジ、在庫を置いている店舗と倉庫、出店しているモールとカートを一覧に書き出しましょう。これから出店したいモールやカートも書き足しておくと、システムを選ぶときに、すべてがつながるかを確かめられます。
2. ネットに出す在庫の数を、店舗の担当者と決めておく
店舗の在庫をネットでも売るようになると、接客の途中にネットで売れて、目の前のお客様に渡す商品がなくなることがあります。店舗の担当者が在庫をまとめることに反対し、話が進まないこともあるでしょう。
そのため、店舗とネットの在庫をつなぐ前に、ネットに出す数の上限を店舗の担当者と決めておくのがおすすめです。ネットに出す数を在庫数より少なくしておけば、店舗で売る分が残り、ネットで注文が重なったときの売り越しも抑えられます。
3. POSレジとカートを直接つないでいるなら、切り替える日を決めておく
POSレジとECカートをすでに直接つないでいる事業者が、出店先を増やすために一元管理システムを入れることもあるでしょう。
このとき、POSレジとカートの既存の連携を残したまま一元管理システムからも在庫を送り始めると、同じカートの在庫数を2つの仕組みが書き換えてしまいます。2つの仕組みで同時に連携すると、エラーや不具合が起きることもあるため注意が必要です。
POSレジとカートの既存の連携は、一元管理システムの在庫連携を始める日に止めましょう。前日までに準備を済ませ、既存の連携を当日に止めてから一元管理システムの在庫連携を始めれば、在庫数が食い違うのを防げます。
一元管理システムで実店舗とECの在庫をまとめる手順は?
実店舗とネットの在庫を一元管理システムでまとめるには、まず、店舗のレジで売れた数をネットショップの在庫へ自動で反映できる、POSレジとの連携機能を備えたシステムを選ぶ必要があります。そのうえで、手順は次の4つです。

1. ECと店舗で商品コードをそろえる
同じ商品が「TS-001-RED-M」と「ts001rm」のように別のコードで登録されていると、システムは別の商品として扱い、在庫連携が正しく動きません。店舗のPOSレジのコードを基準にして、ネットショップのコードをそろえます。
システムによっては、ネットショップ側のコードを変えずに、システムに登録したコードへ結びつけられるので、コードを一から付け直す必要はありません。ただ、この結びつける機能に対応するモールやカートは限られるため、システムのサービスサイト上で、出店している先が対応しているかを確かめます。
商品コードの決め方は、次の記事で詳しく解説しています。
2. 店舗のPOSレジをシステムにつなぐ
店舗で売れた数をシステムに入れるために、POSレジとシステムを連携アプリでつなぎます。使っているPOSレジが連携先に入っているかは、システムのサービスサイト上にある連携先の一覧で確かめておきましょう。
連携アプリでできることは、アプリごとにさまざまです。レジの在庫数をシステムへ送るだけのものもあれば、ネットの注文をレジ側にも取り込むものもあります。システムにある各アプリの説明ページで、何をどちらへ送るか、店舗の在庫をどの置き場所で受け取るか、費用を確かめておきましょう。
3. 店舗と倉庫の在庫を分けて登録する
店舗の在庫は、倉庫とは別の置き場所として登録し、両方をネットショップに結びつけます。店舗の在庫だけを結びつけると、店舗の在庫がなくなった時点で、倉庫に在庫が残っていてもネットでは売り切れと表示されてしまうからです。
ただ、モールやカートによっては、置き場所ごとに分けた在庫を受け取れず、決まった1つの置き場所の数しか送れないことがあります。この場合、ほかの置き場所の在庫は、そのモールやカートでは売れません。
出店しているモールやカートが置き場所ごとの在庫連携に対応しているかは、システムのサービスサイト上にある連携先の一覧に載っていることが多いので、事前に確かめておくと確実です。
あわせて、店舗の担当者と決めた、ネットに出す数の上限やネットショップごとの割合も、ここでシステムに設定しておくとよいでしょう。
置き場所ごとに在庫を連携できる「ネクストエンジン」を見てみる
4. 在庫数を登録してから、在庫連携を始める
在庫連携を始めると、ネットショップの在庫数は、その時点でシステムに入っている数で上書きされます。そのため、システムに正しい在庫数を登録し終えてから、在庫連携を始めましょう。
登録の前には、モールやカートの管理画面から今の在庫数を書き出して保存しておきます。システムに登録した在庫数と、書き出した在庫数を突き合わせれば、登録の誤りに気づけます。
一元管理システムを選ぶときや乗り換えるときに確かめたいことは、次の記事でまとめています。
ECと実店舗の在庫を一元管理した事例
実店舗とネットショップの在庫や注文を、1つのシステムでまとめて管理することに取り組んだ事業者の事例を、2社紹介します。
モール間の在庫のずれを解消し、コロナ禍の休業中に店舗とECの在庫連携まで進めた
株式会社ウッディーハウス様は、京都府舞鶴市でセレクトショップを運営し、リアル店舗8店舗に加えて、楽天・Amazon・3つの自社サイトで販売しています。Amazonと自社サイトが売れ始めると人海戦術が追いつかず、以前のサービスでは在庫がずれて欠品が相次いでいました。
2018年に一元管理システムを導入すると、モール間で在庫がずれなくなり、反映もすぐにされるようになっています。店舗との在庫連携には、接客の途中にECサイトで売れて欠品になったらどうするのか、という現場の反対がありました。そこで、コロナ禍で店舗が休業したタイミングで進め、いまはECで売れるとレジからレシートが出て、在庫が減ったことがわかります。
ネットショップと実店舗の顧客・商品・在庫情報を統一し、在庫連携を自動化
ネットショップのほか実店舗も運営するアパレルのS様は、複数のネットショップの在庫連携に時間がかかり、ネットショップと実店舗で顧客・商品・在庫の情報も統一できていませんでした。
在庫連携の相談から、実店舗のデータも一緒に扱いたいという要望が見つかり、販売管理システムとネットショップをつなぐハブとして一元管理システムを使いました。その結果、ネットショップの在庫は自動で連携され、実店舗のデータともつながっています。
まとめ
3つの方法のなかで、店舗のレジと複数のネットショップの在庫数を手で直さずにそろえられるのは、POSレジとつないだ一元管理システムだけです。
店舗に加えてモールやカートにも出店しているなら、使っているPOSレジと連携でき、在庫を置き場所ごとに持てる一元管理システムも選択肢の1つでしょう。
よくある質問
Q. 実店舗とECで在庫を分けて持つのと、1つにまとめるのはどちらがよいですか?
店舗用とネット用に在庫を別々に割り当てると、もう片方に在庫があるのに売れない状態が起きます。店舗とネットの在庫を1つのシステムで管理し、販売できる数をネットに送るほうが、売れる機会を逃しにくくなります。
Q. 店舗のレジで売れた数は、ネットショップの在庫に自動で反映できますか?
できます。方法は、POSレジとECカートを直接つなぐか、POSレジと一元管理システムを連携アプリでつなぐかの2つです。出店先が複数のモールやカートにまたがるなら、レジで売れた数が連携している複数のネットショップの在庫にまとめて反映される、一元管理システムを通す方法が向いています。
Q. 実店舗とECの在庫をまとめると、売り越しはなくなりますか?
ゼロにはなりません。在庫の連携は一定の間隔で動くので、そのあいだに注文が集中すると売り越しが起きます。ただ、各ネットショップに出す在庫数に上限を設けておけば、売り越しが起きる件数は減らせます。
Q. 実店舗とネットショップの在庫を一元管理する前に、何を準備すればよいですか?
店舗のレジとネットショップの商品コードをそろえ、ネットショップの在庫数を書き出して保存しておきます。システムに在庫数を登録し終えてから在庫連携を始めれば、ネットショップの在庫数が予期しない数で上書きされずに済みます。
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